本格復興の槌音早く。3次補正と公明党の取り組み――石井啓一政調会長に聞く
東日本大震災からの本格的な復興などに向けた総額12・1兆円の2011年度第3次補正予算案が10日に衆院を通過しました。同補正予算案には公明党が重ねて求めてきた提言が随所に反映されています。一方、復興財源をめぐる与野党協議が続いています。3次補正、復興財源などのポイントについて公明党の石井啓一政務調査会長に聞きました。
(2011年11月12日付公明新聞)
使いやすい交付金創設
学校の防災機能を大幅拡充
住宅エコポイント復活、円高・産業空洞化対策も
――本格復興に向けた民主党政権の対応が依然、遅すぎます。
石井啓一政務調査会長 民主党政権は復興予算の早期成立を望む被災地の声に応えようとせず、今年度第3次補正予算案の国会提出が10月28日と非常に遅れました。民主党政権は痛切に反省すべきです。政府の復興構想会議の五百旗頭真議長も10日、「復興が遅すぎる」と批判しています。そのことを野田佳彦首相はしっかり受け止めなければならない。
――公明党は被災地に足を運び続けて要望を聞き、政府への提言を重ねてきました。
石井 9月8日には本格的な復旧・復興予算に関する提言を官邸に申し入れました。特に強調した重点項目は、被災自治体にとって使い勝手の良い交付金の創設や、インフラ(社会資本)関連の本格的な復旧・復興、被災者の住宅再建などです。原発事故の対応では放射性物質の除染事業の本格化、「福島復興再生基金」の創設などを求め、円高対策を含む総合経済対策を提案。今回の第3次補正予算案には、これらの提案が概ね盛り込まれました。
中でも、復興計画を進める被災自治体を後押しする「復興交付金」に1兆5612億円、復旧・復興事業の地方負担分を実質ゼロにする「復興特別交付税」に1兆6635億円を計上。震災発生後に「命の道路」の役割を果たした三陸沿岸道路の整備をはじめ、港湾、漁港、堤防などの復旧に大幅な予算が確保できました。
被災地では、仮設住宅の入居やがれきの撤去を進めることはできましたが、この3次補正が成立することで初めて復興の槌音が聞こえてきます。そのためにも早急に成立させなければなりません。
――3次補正では、防災対策や円高対策など全国的な取り組みも前進します。
石井 東日本大震災の教訓を生かし、全国的な防災対策を進めることも喫緊の課題です。公明党は当初の政府案になかった学校の防災機能強化を盛り込ませ、学校耐震化の予算も大幅に拡充させました。
一方、急激な円高で産業の空洞化が非常に懸念されています。工場や研究施設など生産・開発拠点の国内立地を促す補助金をつくり、中小企業の資金繰り支援で「東日本大震災緊急保証・特別貸付」を大幅に拡充しました。節電エコ補助金の創設、住宅エコポイントの復活などの提言が盛り込まれたことも公明党の大きな成果です。
――3次補正の早期成立に加え、速やかに予算執行できる体制が不可欠です。
石井 3次補正の復興事業を迅速に進めるためにも復興庁設置法案と復興特区法案の今国会成立が必要です。公明党は両法案とも中身をより良くする修正を求めていきます。具体的には、復興庁は復興施策の実施権限をより強化させ、復興特区は法律上の規制を自治体が条例で撤廃できる「法律の上書き」を盛り込めるように全力を挙げます。
被災地は寒い冬を迎えます。政府には3次補正の成立後、いち早く現地での予算が執行できる体制整備を強く求めていきます。
国民の負担 最小限に
歳出削減、民間資金活用など税外収入確保を迫る
――復興財源に関する党の考え方は。
石井 大震災からの復旧・復興を確実、かつ迅速に進めるためには、どうしても独自の財源が必要だというのが前提です。その上で、歳出削減や政府保有株の売却などの税外収入で復興財源を賄うことが第一。たとえば、歳出削減では、子ども手当の見直しや高速道路無料化の中断を実施させました。
9日の衆院予算委員会では、税外収入の確保策を具体的に提案しました。歳出削減は政府が考えている当初5年間だけでなく、それ以降も取り組むことを要請しました。さらに、決算剰余金をなるべく復興債の償還に回すことと、民間資金を活用した社会資本整備(PFI)などの民間資金を活用することを提案。政府から実施の約束を取り付けました。
――臨時増税の実施については。
石井 税による国民負担を最小限にするのが私たちのスタンスです。とはいえ、この国難を乗り切るため、国民の皆さまに税負担をお願いせざるを得ない部分が出てきます。国税は法人税と所得税、地方税は住民税からご負担いただくことになりますが、政府案で当初10年としていた償還期間を最終的に25年に延ばし、毎年の税負担を軽減する工夫をさせていただきました。
衆院予算委の質疑では、当初5年間で19兆円、10年間の合計で23兆円という復興予算の政府推計を上回った場合、野田首相から「安易に国民に税負担をお願いせず、歳出削減、税外収入確保をやり抜く」との答弁を公明党が引き出しました。引き続き、税以外の財源を確保し、増税幅を圧縮する努力を政府に迫っていきます。