兄妹が一緒に通学でき安心です――。大分県日田市は3学期から、市内八幡町の児童が高瀬小学校に通う際に利用するスクール・タクシーの乗車対象を全児童に拡大、保護者から喜ばれています。同タクシー事業は、小学校が統廃合した22年前に導入された施策。しかし、利用できるのが低学年に限られていたことから、その後の社会情勢の変化も踏まえ保護者の間に利用条件の見直しを求める声が上がっていました。
対象が拡大されたきっかけは、同市議会公明党の城野禮子議員の昨年12月議会での質問。3人の児童・生徒を持つ那須登美枝さんの思いを訴え、市政に反映させました。始業式の日の10日早朝、同議員は早速、那須宅を訪問。登美枝さんはじめ、同小学校に通う一駿君(小5)、彩香さん(同3)兄妹と一緒に喜びを分かち合いました。
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「片道4キロの山道を毎日、歩いて通学している息子を思うと、心配で不びん。低学年対象のスクール・タクシーに、高学年生も乗せてほしい」
八幡町目串に住む登美枝さんが、城野議員の身内を通して同議員に苦しい胸の内を伝えたのは先月上旬。折しも、広島、栃木の両県で下校途中の小学校女子児童が相次いで殺害されるという痛ましい事件が発生していました。
八幡町は、筑後川の支流・大山川を4キロほど逆上った山村。目串と九膳ヶ畑の2集落があり、児童が通う高瀬小学校までは目串から約4キロ、九膳ヶ畑から約5キロ。その間、民家も街灯もなく暗く寂しい道が通学路に。
両集落の小学生は、現在6人。これまで、同タクシーを利用できたのは3年生の彩香さんだけ。他の6年生3人、5、4年生各1人は高学年のため、40分から1時間かけて徒歩通学していた。昨年、高瀬小周辺に不審者が出没、臨時の一斉早退を余儀なくされた時も、同タクシーが高学年を乗せることはありませんでした。
八幡町の児童を対象にした同タクシー制度が導入されたのは、九膳ヶ畑にあった九膳ヶ畑分校が高瀬小に統廃合された1983年4月。市は、4キロ以上の遠距離通学児童の通学条件を緩和するためスクールバスを走らせるには児童数が少ないことから、市単費でタクシー送迎することに決めました。その時の取り決めで、利用対象を低学年に限定。「高学年は体力づくりを理由に徒歩での通学となった」(市教委)。
しかし、その後の社会情勢の変化もあって、児童の登下校時の事故を心配する声が高まり、保護者らは毎年、市教委に高学年のタクシー利用を認める要望をしてきました。しかし、その都度「取り決めでやむを得ない」と、拒否されてきました。
先月上旬、相談を受けた城野議員は直ちに諫山康雄市教育長に面会。同タクシーを全児童が使えるよう要請し、直後に開かれた12月議会でも「児童の安全を第一義に考えるなら、学校統廃合時の取り決めを見直すべきだ」と強く迫りました。
十数年来の悲願が実った3学期初日の10日早朝、目串と九膳ヶ畑両集落には、それぞれ1台のタクシーが。登美枝さんは、タクシーに乗車する兄妹の姿を見ながら「高2の長女が小学校に入学した時からの願いでした。これで登下校も安心。息子も『俺、乗れるの』と大喜びでした」と語り、目を潤ませていました。
<2006年1月>
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| 兄妹一緒のスクール・タクシー通学を喜び合う那須登美枝さん(右から2人目)と城野議員(右端) |