妊産婦の負担軽減を――。福井県勝山市は、市内で出産できる病院がなくなったのを受け、健診や出産などで市外の病院に行く妊産婦に交通費を助成する制度を先月からスタートさせた。全国でも珍しい取り組みとして注目されている。
今年4月、福井県奥越地方(勝山市、大野市)で唯一、出産を扱っていた福井社会保険病院(勝山市)が医師不足によって、その業務を取りやめた。
これに対応し、福井社保病院は勝山市に隣接する永平寺町の福井大学付属病院と出産に関し連携。同付属病院がこれまで行っていなかった高度医療を伴わない通常の出産・健診についても業務を実施することで、奥越地方の妊産婦の受け皿になっていた。
しかし、隣接しているとはいえ、勝山市内には、福井大付属病院まで約30キロ離れている地域もある上、豪雪地帯のため、雪が降り積もる冬場には一層、妊産婦の肉体的、経済的負担が大きくなることが予想された。
こうした妊産婦への負担を少しでも軽減しようと今回、交通費助成をスタートさせたもの。
対象は、福井社保病院で23週目までの妊産婦健診を受けた市民。助成額はタクシーなら一往復分(上限は片道1万円)を支給。バスや電車などの公共交通機関の場合は運賃、自家用車の場合はガソリン代を、いずれも回数に関係なく全額支給する。
昨年度、福井社保病院を利用した妊産婦は95人。うち45人が勝山市民だった。これまで、福井社保病院で健診を受け、今夏、出産予定の女性(勝山市在住)は「永平寺町の福井大付属病院で出産をする予定。健診を受けていた病院で出産ができないのは不安だが、市が交通費を助成してくれるだけでも、大いに助かります」と語っていた。
妊産婦の経済的負担軽減策については、勝山市議会公明党の北川晶子議員が3月議会で、市の提案に対して「交通費助成は交通機関だけではなく、自家用車を使った場合にも助成すべき」と訴えるなど、対象拡充を後押ししてきた。
北川議員は、「根本的に問題を解決するためにも、医師不足解消へ向けた取り組みに全力を挙げていきたい」と今後の抱負を語っていた。
<2007年6月>
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妊産婦への交通費助成について、妊娠中の市民と意見を交わす北川議員(左)
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