手記&リポート


米国の教育事情を調査

■池坊保子衆院議員
各地で大胆、柔軟な取組み
国際理解、学力の底上げなど


 米国東海岸のマサチューセッツ州、メリーランド州、ワシントンDC、ニューヨーク州、ニュージャージー州の各地を8月27日から9月1日にかけて視察しました。

 マサチューセッツ州では、MIT(マサチューセッツ工科大学)を訪問し、大学の教育研究と産業界とを橋渡しする産学連携プログラムのシニア・アドバイザーのカール・アカード氏と会談。

 米国の大学では一般に産学連携が進んでいますが、MITでは大学を挙げた組織的な取り組みが行われている点に特徴があります。これは大学で知識を培うのみならず、それを社会に役立つ形で還元しようというMITの建学の精神によるもののようです。その半面、市場主義的な色彩も濃く、日本の大学には、こうした米国的な市場主義とは一線を画した産学連携の道を進んでほしいと感じました。

 メリーランド州では、日本人住民も多いモンゴメリー郡にあるカレッジ・ガーデンズ小学校を訪問。この小学校では、国際教育の推進を目的とする国際バカロレア機構(スイス)が認定したカリキュラムを採用しており、国際理解教育や学力の向上に力を入れていますが、特筆すべき取り組みとして、中国語によるイマージョン(浸される)クラスを設けていました。算数や理科の授業は中国語を使って行うもので、子どもたちは小さいころから中国語に接し、次第に中国語を身につけていきます。中国の将来の経済発展を見込んで、子どもに中国語教育を受けさせたいという多くの保護者の声で実現したそうです。

 ワシントンDCでは連邦教育省、ニューヨーク州ではニューヨーク市教育局との間で、主に学力向上の取り組みについて意見交換。現在、米国では、2002年に制定された「落ちこぼれを作らないための初等中等教育法」に基づき、教育改革に大きな力を注いでいます。
 
 これは、学力の底上げを目的に、州内統一の学力テストの実施、基礎学力向上への集中投資、教育機会の選択拡大を中心とした施策です。これにより、全体的な学力にはまだ大きな変化は見られないものの、初等・中等教育段階や教育困難地域の多い都市部では学力向上が見られています。

 日本でも来年度から全国的な学力テストを実施しますが、実施すること自体が目的ではなく、実施した後、子どもたち一人ひとりの状況に応じてどのように支援していくのかが大切であると改めて認識しました。

 ニュージャージー州では、日本人学校を訪問しました。

 今回の訪問を通じて、米国らしい大胆で柔軟な教育への取り組みを知ることができました。人種間の問題など日本とは異なる背景もありますが、今後、日本の教育改革の参考にしていきたいと考えています。

(2006年9月25日付 公明新聞)