ブックスタート10年――絵本で広がる笑顔の子育て
【東京・立川市】
初めての読み聞かせ
健診時に楽しく体験
家庭と行政を結び、育児支援情報の提供も
赤ちゃんと保護者に地方自治体が絵本を贈り、赤ちゃんと一緒に絵本を開く楽しさを親子で体験してもらう「ブックスタート」が、日本で始まって今年4月、10年目を迎えた。2001年4月から順次、導入が始まったこの取り組みは、公明党の強力な後押しなどもあり、今や親子のコミュニケーション手段として多くの自治体に広がっている。
東京都立川市では、赤ちゃんたちが本をつかんだり泣いたりするそばで、ボランティアと親子一組ずつが向き合って座り、ブックスタートが行われていた。
「がたんごとん。がたんごとん。がたんごとん。乗せてくださーい」「乗れるかな」。ボランティアが赤ちゃんに優しく語り掛け、絵本を読み進めていく。すると様子は一変、赤ちゃんはボランテイアの顔をじっと見つめたり、ニコニコ笑ったりと、実に豊かな表情を示す。思いも寄らぬわが子の反応に、保護者からは笑顔がこぼれ、いつしか楽しく温かな時間が流れる。
立川市のブックスタートは、子ども家庭支援センターが中心となり、乳児健診を担当する健康推進課、図書館、ボランティアが連携して2007年8月から始まった。3~4カ月健診の問診や測定の後に実施されており、親子に絵本2冊などが入った「ブックスタート・パック」を手渡すとともに、希望者にはボランティアによる読み聞かせ体験が行われる。
この日、長女の健診に夫婦で訪れた齋藤アツ子さんは、「子どもがこんなに絵本に集中するとは思いもしませんでした。本当に勉強になりました」と驚きを隠さない。これに対しボランティアの笹田恵子さんは「声の調子は明るく、高めがいいですよ。絵本を通していっぱい話し掛けたり、歌ってあげてくださいね」と、アドバイスを送る。
同市ではブックスタートの際、行政が提供する育児支援の情報も同時に提供している。この点について子ども家庭支援センターの赤坂修司係長は、「立川市の場合は、子育て支援に重きを置いているのが特徴です。ブックスタートは、家庭と行政を結ぶ役割も担っています」と話す。
『草の根で着実に普及。実施自治体700超すまでに』
ブックスタートは、1992年に英国のバーミンガム市で始まった運動で、日本には2000年の「子ども読書年」を契機に紹介され、市区町村を単位に自治体への導入が始まった。
その多くが乳幼児健診などの機会をとらえて行われている。具体的な実施方法は地域の事情に応じてさまざまだが、(1)地域に生まれたすべての赤ちゃんを対象としている(2)赤ちゃんと絵本を開く時間の楽しさを実際に体験してもらいながら、絵本を手渡す――という点は共通している。
また、「赤ちゃんの健やかな成長を応援する」との観点から、各地域で図書館や母子保健、子育て支援など幅広い分野の関係者が協力して実施されている点も特徴といえる。
推進団体として自治体への情報提供などを行うNPOブックスタートによれば、01年4月に12市町村で始まった活動は、10年2月末時点で、全国1778市区町村の40%に当たる718市区町村で実施するまでに広がった【グラフ参照】。

各地の取り組みについて、同NPOの斉藤かおり統括マネージャーは、「関係者がスクラムを組んで、ひと手間も、ふた手間も掛けるなかで活動が充実し、発展しています。絵本の手渡し方次第で何倍もの価値を持ちます」と指摘する。
市民や行政などの現場レベルから声が上がり、草の根的に全国に広がったブックスタートの取り組みは、現在も着実に増えている。
『親子の絆深める交流の時間。公明が制度導入を強力に後押し――公明党子ども読書運動プロジェクトチーム座長 池坊保子衆院議員』
公明党は2000年1月に「子ども読書運動プロジェクトチーム」を設置して以来、子どもたちの読書環境の整備に一貫して取り組んできました。ブックスタートについても、女性議員を中心に党を挙げて学校や家庭・地域での「読み聞かせ運動」を進める中で、いち早く注目し、議会質問を通して制度の導入を求めるなど、自治体への普及を強力に後押ししてきました。
言うまでもなくブックスタートは、親子の絆を深めるキッカケを届ける活動です。絵本を通して、自分を大切に思ってくれる人からたくさんの愛情あふれる言葉を受け取った経験は、人生を歩む上で必ずや大きな力となることでしょう。
一方、親にとっても読み聞かせは、大切な時間となります。絵本を通してわが子と向き合うことで、新たな発見や驚きを覚え、その中で親としての自覚が深まり、子どもへの情愛、愛着がより増すのだと感じています。つまり読み聞かせは、親と子を結ぶ貴重な交流の時間でもあるのです。
読書は単に知識を得るだけでなく、その知識を正しく使いこなす豊かな人間性をも育みます。鳩山政権は今年度、子ども読書活動に関する予算を大幅削減しましたが、公明党は今後もブックスタート、読み聞かせ運動、朝の10分間読書がさらに広がるよう、全力で取り組んでまいります。
<公明新聞2010年4月1日付>