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下がらぬガソリンの値段――民主党のマニフェスト違反!

 1日から新年度税制改正が適用されている。この中で、民主党がマニフェスト(政権公約)で「廃止」を掲げていたガソリン(揮発油)や軽油などの暫定税率については、表面上はそれを廃止しながらも、実質的な税率はそのまま維持するという“見せ掛けの廃止”に終わらせてしまった。暫定税率をめぐる新年度税制改正の問題点や経緯などを紹介する。

『暫定税率を実質維持。そのまま残る2.3兆円の国民負担』

 「変わるのは、あなたの生活です。」――。民主党は昨年7月、こんなキャッチフレーズを掲げて衆院選向けのマニフェストを発表した。この中には、「ガソリン税、軽油引取税、自動車重量税、自動車取得税の暫定税率は廃止して、2・5兆円の減税を実施する」と明記されていた。

 しかし、4月1日からの税制改正では、表面的にはマニフェスト通りにガソリン税などにかかる暫定税率を廃止したと見せ掛けながらも、実際にかかる税率そのものは維持する形となっている。

 例えば、1リットルのガソリンには、これまで本則税率分の28・7円と暫定税率の上乗せ分の25・1円の計53・8円の税金がかかっていたが、暫定税率を“廃止した”とする税制改正後も、全体としての53・8円の税率分は維持されており、暫定税率の上乗せ分を特別な上乗せ課税分に置き換えただけにすぎないのだ【図参照】

 このため、マニフェストで「2・5兆円の減税を実施する」としていた国民との“契約”はほごにされ、自動車重量税の暫定税率を減少させた分(0・17兆円程度)以外の約2・3兆円の税負担は国民生活に背負わされたまま。民主党は一体、国民の生活のどこが「変わる」と言うのだろうか。

『期間がなくなった「当分の間」』

 しかも、暫定税率は文字通り“暫定的な”措置であり、きちんと租税特別措置法で期間が定められてきた。このため、その期間が終わりを迎えるたびに、法律改正が国会で審議されてきた。

 しかし、今回の税制改正で、特別な上乗せ課税については法律から期間が削除されてしまい「当分の間」と定められたため、以前よりも後退した内容になってしまった。

 これについて、民主党は、2011年度の創設をめざす温暖化対策のための税制と併せて検討を進めるとして、「3年も4年もというようなことでは考えていない」(原口総務相)と反論しているが、同税制の具体的な姿は、全く国民には示されていない。

『原油高騰時「トリガー条項」に業界困惑/税収減で混乱の可能性も』

 鳩山政権は、今回の“見せ掛け”の暫定税率の廃止に伴い、原油価格が高騰した場合に上乗せ課税を停止する「トリガー条項」を盛り込んだ。

 この条項は、上乗せ課税(ガソリン1リットル当たり25・1円、軽油1リットル当たり17・1円)について、ガソリンの平均小売価格が1リットル160円を超える期間が3カ月以上続いた場合、課税を停止する一方、逆に130円を下回る期間が3カ月以上続いた場合、課税を復活する仕組みだという。軽油はガソリンに連動する形だ。

 ところが、この「トリガー条項」が発動した場合、ガソリンなどの価格の乱高下を招くため、社会的混乱を招く恐れが懸念される。実際、2008年4月に暫定税率が1カ月間にわたり失効した際、消費者、業者、自治体の間に大混乱が引き起こされた。

 このため、石油業界も困惑顔だ。石油連盟の天坊昭彦会長(出光興産会長)は1月の定例会見で「マーケットは混乱するし、事務手続きを要するので労力、コストも余分にかかる。そんなことはやらなくてもいいのに」との懸念を表明している。

 また、同条項が発動された場合の税収への影響も小さくない。仮に1カ月間の課税停止が行われた場合の税収減は、国で1100億円、地方で400億円に上る。

 このように多方面に多大な影響を与える税制改正にもかかわらず、政府が関係者の意見をほとんど聴取しなかったことも明らかになっている。3月23日の参院総務委員会で公明党の沢雄二氏が導入の経緯をただしたのに対し、政府側は「若干の検討は党内でされていたというようには聞いている」(渡辺総務副大臣)とだけ答えるしかなかった。

『首相が一転、公約翻す』

 民主党がマニフェストに掲げた「暫定税率の廃止」という国民との約束を翻し、税率維持へと政策を転じた決定過程も不透明だ。

 なぜなら、昨年末の税制改正大綱の検討に当たり、暫定税率廃止のための2.5兆円の財源が見いだせずにいた際も、鳩山首相は公約違反になることを恐れ、税率維持に消極的だったからだ。

 ところが、12月16日に同党の小沢幹事長が暫定税率の維持を首相に申し入れたのを機に一転。同21日には、首相が税率維持を決めたことを明かし「マニフェストに沿えなかったことはおわびしたい」と主張を180度転換させた。

 そもそも、民主党は2008年、4月に期限を迎える暫定税率を失効させるため、「ガソリン値下げ隊」まで結成し、街頭キャンペーンや、本会議の開催を阻止するために衆院議長らを控室に閉じ込めるなどの妨害活動まで行い、国会を空転させた。

 それなのに、一転してマニフェストを撤回してしまった民主党。マスコミからの「暫定税率廃止の撤回は、方向転換や先送りのレベルの話ではない。『他人をだまして損害を与える』という詐欺の定義がそのままあてはまる」(1月14日付 産経)という酷評に、さてどう答えるのか。

<公明新聞2010年4月7日付>

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