『公明、権利の拡大に尽力』
犯罪被害者と遺族の悲願が実現へ――。法務省は犯罪被害者の権利拡大や保護などを目的とする刑事訴訟法などの改正案を国会へ提出しました。今国会での成立をめざします。
同改正案には、犯罪被害者を刑事裁判に参加させる制度や、刑事裁判の証拠などを利用して損害賠償請求を行う制度などが盛り込まれており、成立すれば、“被害者不在”と言われている日本の刑事裁判制度が大きく変わります。
改正案の柱の一つは犯罪被害者が刑事裁判に参加する制度。殺人、誘拐、業務上過失致死傷罪などの刑事裁判で、被害者らが裁判所の許可を受けた上で、情状に関する証人尋問や被告人への直接質問、意見陳述ができるようにします。
特に、検察官の論告求刑後に行う意見陳述は、法定刑の範囲内なら検察官と異なる求刑も可能になります。
ただ、裁判への参加が被害者の権利を拡大する一方で、被告の社会的責任をただす公平・公正な裁判を妨げる恐れがあるとの声もあります。このことから同改正案では、被害者が法廷で感情的、報復的な訴訟活動を行わないように、被害者は内容について検察官と事前に打ち合わせを行います。あくまで、被害者は検察官の協力人であり、検察官と被告人が当事者として向かい合う刑事裁判の基本は変わりません。
また、被告や傍聴人と対面することで被害者が精神の平穏を著しく害する恐れのある場合は、遮へい物などで、被告や傍聴人から見えないようにすることもでき、被害者の負担を軽減する配慮もされています。
もう一方の柱は損害賠償請求に関し刑事手続きの成果を利用する制度。刑事裁判での有罪判決の後、同じ裁判官が引き続いて、損害賠償請求の民事裁判を行います。現行では、被害者は刑事裁判とは別に、民事訴訟を起こして損害賠償請求しなければなりません。
同改正案では、有罪の言い渡しがあった後、最初の期日に刑事事件の訴訟記録を取り調べた上で、原則として4回以内の期日で終結させることとしており、被害者の犯罪立証責任や時間的負担を大きく軽減します。
さらに、同改正案には、損害賠償請求額に応じて決まっていた手数料を一律2000円とすることも明記。例えば、現行制度では、請求額5000万円なら17万円、1億円なら32万円の手数料がそれぞれ必要だが、これによって経済的負担が大きく軽減されます。
このほか、(1)法廷での性犯罪被害者の特定情報の秘匿(2)刑事裁判の公判記録の閲覧、謄写(3)テレビモニターを通じて証人や当事者に尋問を行うビデオリンクの民事裁判への導入――などが盛り込まれています。
公明党は1980年から一貫して犯罪被害者の保護に取り組み、2004年12月の「犯罪被害者等基本法」の成立に尽力。また、05年12月に閣議決定された「犯罪被害者等基本計画」の策定に当たっては、日本の刑事裁判制度の中で“忘れられた存在”とされてきた被害者の権利の拡大をめざして、被害者団体などと積極的に意見交換。施策の充実や強化に取り組んできました。「同基本計画」に基づき法務省は、被害者の刑事裁判参加や刑事手続きの成果を利用した損害賠償請求などの法制化を検討してきました。
<公明新聞2007年3月20日付>