憲法改正の手続き定める国民投票法案??経緯と論点

衆院特別委で公平なルールづくりめざす

 日本国憲法は1946(昭和21)年に公布されて以来、今年で60年になります。その第96条では、改正について衆参両院総議員の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票または国会の定める選挙において過半数の賛成で承認されると定められています(図参照)。本来、憲法制定時に国民投票の方法や手順などを定めた法律を一緒につくるべきだったのでしょうが、今日に至るまで整備されていません。

 これだけ長期間にわたって憲法を一回も改正していない国は世界に例がなく、国民主権、平和主義、基本的人権の3原則を柱とする現行憲法が、それだけ卓越した規範であることを示しているといえます。その一方で、制定後、半世紀以上に及ぶ期間に国内外の社会状況は急激に変化し、環境権、プライバシー権といった「新たな人権」など重要なテーマを憲法に反映させるべきだとの声が次第に高まってきました。

 憲法問題について公明党は「タブーを設けることなく、あらゆる角度から柔軟な発想でしっかり議論する」(神崎武法代表)との観点から取り組み、2004年10月31日の党全国大会で「加憲方式」を決定しました。これは、現行憲法を高く評価し維持する立場から、新しい条文を加えて補強する考え方です。例えば、第9条1項の戦争放棄、2項の戦力不保持の規定を堅持した上で、自衛隊の存在や国際貢献のあり方について新しい条文を加える方法です。具体的な加憲案の取りまとめへ向け、党内議論をさらに深めているところです。

 一方、衆参両院に設置された憲法調査会は、約5年の歳月をかけて憲法のあり方について議論を重ね、昨年4月に最終報告書にまとめました。これをきっかけに、国会内外で憲法論議が活発になってきました。自民党は、昨年11月の党大会で「新憲法草案」を決定、民主党も10月に「憲法提言」をまとめました。

 各党間の本格的な憲法論争に入る前に、改正の手続きを定めた国民投票法案を成立させる必要があることから、衆院は昨年秋に憲法調査会を、法案審議権を持つ憲法調査特別委員会に衣替えしました。国会における憲法論議を実りあるものにするためにも、国民の承認を得る制度の確立が不可欠です。

 自民、公明両党は、04年12月に国民投票法案の骨子をまとめましたが、公明党は与党案に固執せず、同特別委で公平なルールづくりをめざしています。一方、共産、社民両党は、“改憲阻止”の立場から国民投票法案に反対する構えを強めてきました。

 同法案制定については、衆院と参院との“温度差”も指摘されています。参院は現在も法案審議権のない憲法調査会のままで、「憲法改正に慎重な旧社会党系議員が参院民主党に多いことが影響しているというのが、大方の見方」(17日付「朝日」)です。憲法観の一本化が難しいとされてきた民主党の今後の動きが、論議の進展のカギになりそうです。


投票権者の年齢要件、記載法などを議論

 衆院憲法調査特別委員会では、憲法第96条の解釈をはじめ改正手続法を定める意義、国民投票制度の具体像などが議論されてきました。投票制度の主な論点は、(1)対象を憲法改正に限定するか(2)投票権者の年齢要件(3)幾つかの改正条項について一括して賛否を問うか個別か(4)国民の承認に必要な「過半数」の解釈(5)国民投票に関する運動の規制??などです(表参照)

 国民投票の対象について、公明党内の意見は、憲法改正国民投票に限定し一般的な国民投票と切り離して論じるべきだというのが大勢です。投票権者の年齢要件について、公明党はマニフェストで掲げた選挙権年齢の引き下げを踏まえ「18歳以上」を主張しています。国民投票法を先行して「18歳以上」として、ほかの法律の成人年齢の引き下げを促す付帯決議を行う案も浮上しています。民主党も「18歳以上」ですが、自民党の一部には「20歳以上」とする意見も根強いようです。

 投票用紙に関して憲法改正の個別テーマを一括して賛否を問うか、それぞれの条項について問うかも重要な論点になっています。公明党は個別条項ごとに「賛成○・反対×」とする投票方式を提唱。特別委の議論でも個別方式が大勢になってきました。その際に白票をどう扱うか、「棄権」の欄を設けるかといったことが検討課題です。改正に必要な「過半数」について、公明党は有効投票総数の過半数とする意見ですが、白票の扱いに関連して、なお検討が必要です。

 このほか、国民投票運動の規制に関して公明党は原則自由とし、投票の公正を確保するための最小限の規制を課すとの意見です。メディア規制ついても基本的に報道側の自主規制に任せてはどうかと主張しています。


                          <公明新聞2006年3月27日付から>