イラク人道復興支援の重要な柱となっているメソポタミア湿原の再生に向けた取り組みが着実に進展している。2004年8月に日本政府の援助のもとで開始された国連環境計画(UNEP)のプロジェクトが着実に成果を挙げ、政府は来年度予算案で継続事業として100万ドル(約1億1000万円)の資金を拠出する方針を決定。湿原地域住民への清潔な飲料水提供や生活環境の向上を後押ししている。公明党は、同湿原の再生に向け、現地視察や署名活動、国会質問など積極的に取り組んできた。
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旧フセイン政権の影響で急激に縮小したメソポタミア湿原=UNEP報告書(2001)から=
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イラク南部とイランにまたがるメソポタミア湿原は、チグリス川とユーフラテス川が合流する一帯に広がる湿地帯。かつては、日本の四国よりも広い約2万平方キロメートルもの広さを持ち、豊富な水資源と多様な生態系によって流域住民の生活を支えてきた。
しかし、1970年代以降のダム建設や灌漑の影響で湿地帯が徐々に減少。湾岸戦争時には、流域住民の反政府的な行動に対する報復措置として、サダム・フセイン元大統領が水路を変更する排水設備を設置し、急激な破壊が進行。2001年にはUNEPが湿原の90%が消失したと警報を発した。
03年のフセイン政権崩壊後は、堤防の破壊などにより徐々に水が戻り、05年8月時点で約3500平方キロメートルまで湿原が回復。しかし、完全な再生にはさらに長い年月が必要と見られている。
1990年代以降の湿原の減少やフセイン政権による急激な破壊を受け、UNEPは2004年8月、「イラク南部湿原環境管理支援プロジェクト」をスタートさせた。これには、日本政府がイラク復興信託基金に拠出した金額のうち1100万ドル(約12億円)が活用されることになった。
同プロジェクトでは、(1)湿原の環境管理に関する政策立案のサポート(支援)と活動の調整(2)湿原状態のデータ収集と分析(3)イラク政府などの政策決定者を対象とした研修事業(4)飲料水の提供や排水、衛生設備の提供と環境に適正な技術(EST)の導入??などを実施。これまでに、衛星写真による湿原再生状態の調査や湿原管理に必要な人材の育成、飲料水や衛生設備の提供などの成果が挙がっている。
メソポタミア湿原の再生については公明党が積極的に推進し、04年2月に神崎武法代表が来日中のアナン国連事務総長に再生に向けた支援を要請したほか、同月に浜四津敏子代表代行を団長とする「党イラン・メソポタミア湿原視察団」が現地を視察。また、国会での再三にわたる質問や、党青年局を中心に、日本主導でメソポタミア湿原の再生に取り組むことを求める署名運動を行い、551万人余りの署名も集めた。
今回の約1億1000万円の予算確保についても、昨年12月の小泉純一郎首相と神崎代表の与党党首会談の場で、神崎代表がメソポタミア湿原の再生事業の必要性を要望するなど、党としての強い働きかけにより実現した。
【住民の生活向上に全力??遠山清彦党青年局長 】
日本政府が資金を提供し、UNEPが実施してきた事業の第2期分に対し、当初厳しい財政事情から来年度予算の確保が困難視されていたが、公明党の強い主張で復活することができた。これまでも公明党はメソポタミア湿原の現地視察、日本でのイラク人研修視察を2度実施し、党青年局を中心に署名活動も積極的に行ってきた。今後も戦争によって破壊されたイラクの自然環境の再生や地域住民の福祉の向上のために全力を尽くしていきたい。
また、イラク国内の治安状況の改善が進めば、ODA(政府開発援助)の2国間援助の枠組みで、さらに新しい支援プロジェクトを推進していきたい。
<公明新聞2006年2月6日付から>