うつ病から国民を守れ
うつ病対策が着実に前進――。公明党の「うつ対策ワーキングチーム」(WT、座長=古屋範子衆院議員)が先ごろ開いた会合で、党WTが提言した、うつ病対策の具体化が着実に進む現状が報告された。
近年、うつ病患者の増加が目立ち、社会問題化しつつあるだけに、国を挙げた取り組みが不可欠だ。
そこで、うつ病対策の現状や課題、公明党の取り組みをまとめた。
『早期発見・治療が不可欠。欧米に比べ低水準 受診率向上へ体制整備を』
うつ病とは、理由なく強い憂うつ感が続き、意欲が出ない状態が続く状態のこと。眠れなかったり、疲れやすくなるなどの身体的な症状が出るのも特徴だ。
脳の機能が異常をきたすことで発症する病気で、「心の弱さ」などは原因ではない。発症の疑いがある際は、医師の診察を早めに受けることが必要だ。
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厚生労働省は、うつ病患者数を250万人と推計。経済・社会構造の変化を背景に、近年、患者数は増加傾向で、社会問題化しつつある。
うつ病で最も懸念されるのは、自殺との関係だ。
警察庁によれば、2009年に自殺した人は3万2753人と、過去5番目に多い数字で、12年連続で3万人を突破した。一日に約90人が自殺で亡くなっている計算だ。これに加え、自殺未遂者はその10倍を超えるという。

日本の自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)は世界的に見て水準が高い。
世界保健機関(WHO)によれば、日本の自殺率は23・7%(06年)と世界で第8位。米国の2倍、英国やイタリアの3倍以上にも上る高い数値だ。
08年の自殺の動機として最も多いのが「健康問題」(1万5153人)。このうち、うつ病を理由とするものは最多で、6490人にも達した。うつ状態では、物事をマイナスに捉えがちで、生きる意欲をなくし、自殺に追い込まれてしまうケースがあるようだ。
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国民の命を守るためにも、うつ病への対策は急務だ。
うつ病対策を考える上で第一のポイントは、うつ病の早期発見・治療だ。治療が遅れれば遅れるほど、回復率が低くなる恐れがあることから、早期発見・治療が欠かせない。特に、患者に身近な、かかりつけ医が的確に、うつ病を診断し、専門医につなげられるのかが重要だ。
うつ病患者の受診率向上も待ったなしだ。日本の、うつ病患者の受診率は25%と欧米に比べ低水準であることから、これを引き上げなくてはならない。
治療法では、薬物療法と、認知行動療法(否定的な思考を前向きに変える訓練)という精神療法の併用が効果的なだけに、二つの療法を受けられる治療体制を広げることが必要だ。患者が安心して治療が受けられ、社会復帰がしやすい体制の構築も急がれる。
『公明の提言 着実に前進。小児科医も医師研修の対象に』
こうした中、公明党は党内にWTを設置し、うつ病をめぐる実態を精力的に調査。これを踏まえ、08年7月には、うつ病対策の具体案を政府に提言した。
提言では、(1)うつ病の早期発見・治療の促進へ医師の診断能力の向上(2)患者の専門医受診率を5割以上に引き上げ(3)薬物療法と精神療法の併用を普及(4)労災の休業補償など、安心して治療に専念できる社会づくり(5)患者の社会復帰のプログラムを整備し再発率を抑制――などを要望。児童精神科医の不足解消を念頭に、子どもの、うつ対策の強化も求めた。
先ごろ開いた党WTの会合では、これらの提言が施策に反映されている現状が厚労省から報告された。
具体的には、医師の診断能力の向上に向け、08年度から「かかりつけ医うつ病対応力向上研修」を実施。08年度は研修が全国44の都道府県・指定都市で106回行われた。子どもの、うつ対策として、10年度からは研修の対象に小児科医などを加える予定だ。
また、認知行動療法の促進へ、10年度の診療報酬改定では、同療法の評価を新設。職場復帰への支援(リワーク支援)も充実し、支援対象者は大きく増えた。
提言に盛り込まれていた事業者や労働者、家族らからの相談などに応じる「メンタルヘルス(心の健康)対策」に関しては、08年度に全国47都道府県に設置した支援センターで予防から復職支援までの総合的な支援が行われている。
10年度からは職場での対策として重要な役割を担う管理職に対し、職場環境の改善に向けた教育を実施する方針だ。
『古屋範子党WT座長に聞く――職場復帰の支援さらに。認知行動療法 専門医の育成が急務』
近年、うつ病患者は増加傾向で、今や“国民病”となりつつあります。
にもかかわらず、受診率が低い状況などに危機感を抱いた公明党は一昨年、政府に対策を提言、具体化が着実に進んでいます。
特に、「かかりつけ医心の健康対応力向上研修事業」の拡充で、10年度から小児科かかりつけ医などに研修が拡大され、早期発見・治療の体制が充実するのは大きな前進です。
認知行動療法の評価が診療報酬改定で新設される意義も大きいといえます。ただ、認知行動療法の専門医が少ないため、今後は専門医の育成を急がなくてはなりません。
また、職場復帰のための施策も拡充しましたが、職場復帰のためのプログラムを受けたいと要望する人が多く、“受講待ち”が少なくありません。一人でも多くの人が早く受講できるよう体制をさらに充実させることが求められています。 このほか、うつ病が医療費の自己負担1割の「自立支援医療」の対象であることの周知徹底や、かかりつけ医の研修に養護教諭を加えることも進めなくてはならない重要な課題です。
実は、うつ病患者は男性よりも女性が多いといわれています。出産や更年期障害などに伴う「女性特有のうつ」への対策も、きめ細かく対応していく決意です。
<公明新聞2010年3月16日付>