子どもの権利を守れ、養子あっせんの指導強化
営利目的 罰則の“空文化”を防ぐ??厚労省が指針

『海外縁組の児童買春、臓器売買も懸念』

 生みの親が育てられない子どもを国内外の養親に紹介する養子縁組あっせん事業に関して、厚生労働省は、民間のあっせん事業者を対象とするガイドライン(運用指針)を策定した。8月28日付で都道府県・政令指定都市に通知した。児童福祉法で禁じられている「営利」目的の基準を明確にすることで、高額な寄付金の強要など、営利あっせんを防ぐ。

 指針では、事業者が養親に交通、通信などに要する実費を請求する場合に、明細を提示させるよう求めている。実費の具体例として、養親の研修や面接、カウンセリングなどの費用や、実母の出産費用、引き取りまでの養育費、ビザ申請書類の作成費などを示している。事業者への寄付金や謝礼金は任意に限り、縁組手続きを終える前の受け渡しや約束については、「任意性が確保されない恐れがある」として禁じた。

 養子あっせんは社会福祉事業として位置づけられるが、事業は社会福祉法に基づく届け出制であり違反しても罰則はない。一方、児童福祉法では、営利目的の養子あっせんは、罰則(3年以下の懲役または100万円以下の罰金)の対象となるが、営利の定義があいまいだったため、同法の罰則が適用された事例はなく、実質的な“空文化”が指摘されていた。

 国際社会では、国際養子縁組が、児童買春や児童ポルノ、臓器売買の隠れみのに使われている、との指摘がなされており、国内養子縁組よりも厳しい要件を課す場合が多い。1993年には、国際養子縁組での子どもの権利を保障するための共通ルールを定めたハーグ条約が締結されているが、日本は「国内法が未整備」との理由から、批准していない。

 公明党の遠山清彦参院議員(参院選予定候補=比例区)は昨年3月の参院厚生労働委員会で、海外養子縁組あっせん事業の問題を取り上げ、政府の早急な対応を求めていた。

【政府もやっと取り組み??遠山清彦 参院議員】

 昨年3月の参院厚生労働委員会で、日本で生まれた子どもの、営利を目的とした海外養子縁組の問題を取り上げた。民間の養子あっせん事業者が、一人当たり200万円から300万円、中には500万円を超える高額なあっせん料や寄付金を強要する事例もあり、実態の把握と規制の強化など、政府に対応を求めてきた。

 今回、養子希望者から実費として受け取れる範囲を具体的に例示したことは、児童福祉法の罰則などに実効性を持たせるために不可欠だ。政府も、ようやくこの問題に取り組みを始めたといえるもので、一つの前進だと評価したい。

 しかし、一方で、毎年数十人の子どもが海外に養子としてもらわれている実態については、政府も正確には把握できていないというのが実情である。

 今後、さらに実態を明確にするとともに、国内法の整備を図り、規制の強化と国際養子縁組に関する保護と協力について定めたハーグ条約の批准の実現に取り組んでいきたい。

<公明新聞2006年9月2日付から>