
医療制度改革関連法案は6日午後の衆院本会議で趣旨説明と質疑が行われて審議入りし、公明党から上田勇氏が質問に立ちました。
この中で上田氏は、昨年12月に政府・与党が取りまとめた「医療制度改革大綱」に基づき、(1)安心・信頼の医療の確保と予防の重視(2)医療費適正化の総合的な推進(3)超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現――などの構造改革を推進する点を強調。その上で、今回の改革の狙いについて政府の見解をただしました。
これに対し、小泉純一郎首相は、生活習慣病予防や長期入院の是正で医療費の伸びを抑制するなど、医療費適正化を総合的に推進すると主張。さらに「75歳以上の高齢者を対象とした新たな医療制度の創設や都道府県単位を軸とした保険者の再編統合など、超高齢社会を展望した医療保険制度体系の見直しを行い、将来にわたり持続可能な制度を構築していく」との考えを述べました。
また上田氏は、高齢者の患者負担の見直しについて、「2006年10月から現役並みの所得がある70歳以上の高齢者の患者負担を2割から3割にし、08年4月には70歳から74歳までの高齢者の患者負担を1割から2割に引き上げる内容になっている」と指摘し、低所得者に対する具体的な配慮を求めました。
川崎二郎厚生労働相は低所得の高齢者について「一般の高齢者より低額な自己負担限度額を設定している」と述べ、「見直し後も自己負担限度額を据え置くなどの処置を講じていく」と答えました。
さらに上田氏は、高齢者の自己負担について、家族が医療保険と介護保険の双方を利用すれば、自己負担の合計額が著しく高額になる場合があることから、公明党が負担軽減を訴え、「医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、新たに設定する限度額を超えた場合、その差額分が払い戻される制度が導入されることになった」と力説し、具体的な内容と検討状況を聞きました。
川崎厚労相は、08年度から新たに導入すると述べ、負担限度額については「75歳以上の一般所得者を年額56万円とすることを基本に、所得ごとの限度額をきめ細かく設定する」と説明、「例えば75歳以上の一般所得者は、これまでの医療と介護の限度額を合せて最大で年額98万円の負担が約42万円低減されることになる」と訴えた。
このほか上田氏は、予防重視への取り組みやレセプト(診療報酬明細書)のオンライン化の進め方などについて聞きました。
【解説――治療重点から「予防重視」に。75歳以上の高齢者、新たな保険制度を創設】
超高齢社会を展望し、持続可能な医療制度を構築するため、医療制度改革関連法案には、これまでの治療重点の医療から「予防重視の医療」への転換など、公明党の主張が随所に盛り込まれました。
同法案は、現役並みに所得がある70歳以上の高齢者の窓口負担を今年10月から、現行2割を3割に引き上げるなどの医療費抑制策や、75歳以上の高齢者を対象とした新たな保険制度の創設を盛り込みました。
新たな高齢者医療制度は08年度に創設。各都道府県内の全市町村で構成する広域連合が運営に当たる。対象者の医療費を75歳以上の高齢者から徴収する保険料、国や地方自治体の公費、会社員が加入する健康保険組合などからの支援金で賄います。
また、今年10月から70歳以上の長期入院患者の食費・居住費を自己負担とするほか、がん治療など高額の費用がかかった場合の自己負担限度額は低所得者を除くなど十分な配慮を行った上で引き上げます。
医療費抑制策では、都道府県に入院日数短縮の数値目標を明記した医療費適正化計画の策定を義務付けます。さらに、医療の必要性が薄いものの、家庭の事情などで高齢者が長期入院する「社会的入院」の解消策として、その受け皿となっている療養病床の削減に向け、介護型療養病床の12年度廃止も盛り込みました。
一方、少子化対策では、今年10月から出産育児一時金が現行30万円から35万円に増額。08年度から乳幼児医療費の自己負担割合が2割の対象を現行の3歳未満児から小学校入学前まで拡大します。
さらに、小児科や産科、へき地の医師不足への対応として、診療報酬で配慮するほか、都道府県単位で医師不足対策の推進を規定する。医療保険と介護保険の自己負担の合計が著しく高額になる場合、上限を設けて負担を軽減する制度が創設されます。