
政府は20日、2007年度予算の財務省原案を各省庁に内示しました。原案については同日開かれた自民、公明両党の与党合同会議で政府側から説明が行われました。
会議の冒頭であいさつに立った公明党の斉藤鉄夫政務調査会長は、予算編成を通じて与党の政治姿勢を国民に示す重要性を強調した上で、「国民の理解を得られる予算案になるよう協議していきたい」と述べました。
原案で予算全体の規模を示す一般会計の総額は、06年度当初予算に比べ3兆2227億円増の82兆9088億円。新規国債発行額は、税収増と歳出削減の徹底で同4兆5410億円減の25兆4320億円と過去最大の減額となりました。
政策に使う経費である一般歳出は、社会保障関係費の自然増などにより同6123億円増の46兆9783億円。公務員人件費や公共事業費などを軒並み削減する一方、少子化対策や経済成長などへの施策に重点配分したメリハリのある内容になっています。児童手当の乳幼児加算や、いじめ対策など、公明党の主張の多くも反映されました。
歳入面では、景気回復の影響で、7兆5890億円の税収増を見込み、53兆4670億円とした。増額幅は過去最大。
公債発行を除いた歳入と公債の元利払い費を除いた歳出の差として、財政健全化の指標となる基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字は06年度(11兆2114億円)から6割以上も改善し、4兆4332億円になる。財政健全化が進み、11年度までの基礎的財政収支(国と地方合計)の黒字化を掲げる政府の目標達成が大きく前進しました。
政府は、今後の復活折衝を踏まえ、24日に07年度予算政府案を決定。次期通常国会に提出します。
『子育て支援――児童手当の乳幼児加算』
子育て支援(少子化対策関係費)として厚生労働省は、2006年度比約1700億円増の約1兆4800億円を計上。ゼロ歳―2歳児がいる世帯の第1、2子分に限り児童手当を月額5000円上乗せするなど、同手当の国庫負担金を285億円増額。仕事と育児の両立支援では、賃金の40%となっている育児休業給付率を50%に引き上げるため、給付額全体で211億円上積みします。
地域の子育て支援では、生後4カ月までの乳児がいる世帯を全戸訪問し、育児支援情報を提供する「こんにちは赤ちゃん事業」を創設するほか、父親の育児参加を推進する「子育てパパ応援事業」を展開します。
保育所の受け入れ児童を約4万5000人増やし「待機児童ゼロ作戦」を推進します。子どもが保育所で急病にかかっても、看護師らが医務室で対応できるようにする「病児・病後児保育」も拡充します。
特定不妊治療の経費は、現行の年間上限額10万円を20万円に倍増です。
『教育再生――カウンセラー配置など』
文教関係費は06年度比0・3%減の3兆9256億円。「教育再生」に対応した政策的経費には3・8%増の6007億円を確保しました。
主に、スクールカウンセラーの配置や、子どもからのSOSを一日24時間、無休で受け付ける電話相談体制の強化を柱とするいじめ対策、全国の小学校6年生と中学校3年生を対象に07年度から実施する全国学力テスト、学校改革に向けた学校評価の推進などに重点的に配分した内容となりました。
いじめ対策に関しては、07年度財務省原案で06年度当初比28・2%増の約62億円が計上され、全中学校へのスクールカウンセラー配置などが急ピッチで進みます。
『経済活性化――地域振興、若年雇用に配慮』
経済成長戦略関連の施策に3010億円が計上されました。次世代知能ロボットの開発に19億円、インターネット次世代検索エンジンの開発に46億円をそれぞれ投入するなど、将来の成長に向け野心的な事業を支援します。
一方、民間主導の広域プロジェクトを後押しする「地域自立・活性化交付金」の創設も盛り込まれました。複数の県に波及効果がある工場立地などと、それに対する都道府県の環境整備を一体的に推進します。07年度交付金は200億円で、関連の基盤整備事業費と合わせ350億円規模の支援制度となります。
このプロジェクトは、工場や物流センター、美術館などの観光拠点、都市と農村の交流施設といった民間事業を核に、都道府県がソフト事業や公共事業を柔軟に組み合わせるのが特徴です。
また、雇用ではフリーター、ニートの自立支援や常用雇用促進など若年者雇用対策の拡充に、144億円を投入。雇用回復が著しく遅れている地域の雇用創造などに36億円を計上します。
『医療、福祉――医師確保、がん対策大幅増』
社会保障関係費は2006年度比2・7%増の21兆1341億円。深刻化している医師不足への対策費は、小児救急医療の拠点病院の医師確保などで06年度予算の2倍を超える約92億円を計上しました。
医療関係ではほかに、終末期医療に関する国民や医療関係者の意識調査を新たに実施。福祉関係では、障害者自立支援や、自閉症など発達障害を持つ人の就労支援について06年度の3倍以上の9億6000万円を盛り込みます。
介護関係は、要介護状態にならないよう予防サービスを提供する地域支援事業の交付金が、66億円増の539億円です。
がん対策は放射線治療機器24台の設置などで3割増、肝炎対策も4割増とそれぞれ大きく伸ばしました。
『防災、防犯――竜巻監視へレーダー整備』
台風や竜巻に伴う被害が相次いでいることを踏まえ、風水害対策に重点を置いた。増加傾向にある集中豪雨などについては、堤防整備や土砂災害防止などの緊急対策に14・2%増の1947億円を計上。竜巻被害の防止に向け、きめ細かく雨や風の動きを観測するドップラーレーダーの整備に、06年度補正予算と合わせて15億円を投じる。
また、警察庁関係費は0・2%増の2598億6200万円。全国100地区で防犯ボランティアを支援する「地域安全安心ステーション」事業や匿名通報モデル事業など、子どもを守る対策費は11億円。犯罪の発生状況を地図上に示し犯人逮捕に生かす情報分析支援システムや、DNA型鑑定の最新機器整備などは64億円とした。
『財務省原案の骨子』
●一般会計総額は4.0%増の82兆9088億円と2年ぶり増、7年ぶり高水準
●新規国債発行額は25兆4320億円、減額幅は4兆5410億円で過去最大
●税収は53兆4670億円、過去最大の16.5%増
●一般歳出は1.3%増の46兆9783億円、3年ぶり増
●社会保障費2.7%増、公共事業費3.5%減、防衛費0.3%減、科学技術振興費0.7%増
●地方交付税交付金等2.6%増の14兆9316億円
●国債費11.9%増の20兆9988億円
●公債依存度37.6%から30.7%に低下
●基礎的財政収支は4.4兆円の赤字、6.8兆円の改善