
衆院予算委員会は9日、安倍晋三首相と全閣僚が出席して、2007年度予算案の基本的質疑を行いました。公明党からは北側一雄幹事長が質問に立ち、日本経済のさらなる成長には、「中小企業の収益力強化が不可欠」と強調するとともに、高齢化が進む過疎地での地域再生が急務だと指摘。雇用対策では、長時間労働の抑制や、多様な働き方の促進、雇用形態に基づかない公平な待遇などを求めました。地域医療に関しては、医師偏在の解消へ、医師確保策の具体例を示しました。また、大口善徳氏が関連質問に立ちました。
【中小企業支援・地域再生】
北側幹事長は、「中小企業が元気にならないと、本格的な日本経済の再生とはいえない」として、雇用の7割を支える中小企業の収益力を強化する必要性を強調。この中で、取引先大企業が進めるコスト縮減の影響で下請け中小企業の経営状況が厳しいことなどを考慮して、支援策を講じるべきと主張しました。
一方、地域再生に関して、「地域格差は歴然としてある」と述べ、都道府県別の有効求人倍率に格差がある点を指摘。さらに、高齢化が進む過疎地では、災害時の対応が厳しくなるとした上で、「過疎化や高齢化が進む中で、いかに地域を活性化していくかが大事だ」と強調しました。
さらに、景気回復の流れを(1)大都市から地方、地域(2)大企業から中小企業(3)企業から家計――へと波及する「“三つの波”をどう起こすのか。政府全体で取り組んでいただきたい」と訴えました。
安倍首相は、就労支援や中小企業支援などを通して「三つの波は必ず起こる」として、地域のアイデアを生かした地域再生に全力を尽くす意向を示しました。
【雇用】
北側幹事長は雇用の課題について「少子化による労働人口の減少が避けられない中で、雇用の安定を図ることが不可欠」と強調。その上で、地域や家庭の中で活躍できる多様な働き方が求められており、「仕事と生活のバランスを確保するためには、長時間労働の抑制を図ることが必要」と訴えました。
安倍首相は「国民が安心して、多様な働き方を選択できる社会にしていかなければならない」と述べ、「働く人たちのための労働法制整備6法案を提出し、国民の要望に応える仕組みをつくっていきたい」と答えました。
また北側幹事長は、正規労働者が減り、非正規労働者が増加している近年の現状を指摘し、雇用形態の多様化が背景にあると強調。その上で、非正規労働者の現状は「一時的な雇用ではなく、企業を支える貴重な戦力となっている」と指摘し、正規、非正規という雇用の形態にかかわらず、「仕事の内容に応じて公平な待遇を図っていく体制を整備すべきだ」と訴えました。
【地域医療】
北側幹事長は、地域の医師不足に対する政府の見解を求めるとともに、新臨床研修制度導入をきっかけとする医局の医師派遣機能低下に言及。(1)卒後医師が都市部大病院を希望し、大学医局に入局しない(2)医局の医師不足を補うため、派遣先病院から医師を引き揚げる――などの問題点を指摘しました。さらに、公的病院における勤務医や看護師らの過酷な勤務実態なども示し、見解をただしました。
安倍首相は、「あらゆる面から医師確保に万全を期し、特に地方での医師確保は極めて重要と認識している」と応じた。柳沢伯夫厚生労働相は、医師不足の要因について「多くは同じ認識」と強調。結婚・出産の影響が大きい女性医師の就労環境や訴訟リスクへの対応も挙げ、「医師の偏在解消へ、手だてを講じていく」と述べました。
また、北側幹事長は、病院の集約化や診療所との連携強化、奨学金を活用した医師確保策などを例示し、地域医療の再構築に向けたビジョンの作成を主張しました。
柳沢厚労相は、「地域に応じた医師確保対策を考え直していきたい」と述べました。
『高齢者などに住宅の安全網を――大口氏』

一方、大口氏は官僚の天下りについて、省庁による押し付け的あっせんを根絶するため、厳しい行為規制を導入するよう求めるとともに、営利企業だけでなく公益法人などへのあっせんも対象とすべきと主張。また、内閣に新たな人材バンクを創設して再就職を進めるとの案について見解を求めました。渡辺喜美行政改革担当相は「人材バンクは大いにバージョンアップを図る必要がある」と答えました。
高齢者や子育て世帯への賃貸住宅の供給について大口氏は、バリアフリー化の遅れや入居制限、水準に満たない居住面積などの現状を指摘し、「民間活力を活用した賃貸住宅の供給(という)スピード感を持ったことをやらないと間に合わない」と主張。冬柴鉄三国土交通相(公明党)は「07年度予算で高齢者、障害者、子育て世帯に重点的に住宅が回るようにするために、地域優良賃貸住宅制度を創設する」と答えました。
また大口氏は、公明党が、低額所得者をはじめ住宅確保に特に配慮を要する人々のために、公営住宅・地域優良賃貸住宅・民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するための施策を構築する「住宅セーフティーネット(安全網)法案」の骨子を示し、議員立法をめざしていることを訴えました。