
政府は20日午前の閣議で、2008年度予算の財務省原案を了承、各省庁に内示した。原案は同日午前、国会内で開かれた自民、公明両党の与党合同会議で政府側から説明が行われました。
会議の冒頭、あいさつした公明党の斉藤鉄夫政務調査会長は、「将来の日本に希望が持て、日々の生活に安心が持てる、国民の皆さまに評価していただける予算案になるよう最後のツメをしっかり行いたい」と述べました。
予算全体の規模を示す一般会計総額は、社会保障費の伸びや地方の税源偏在是正対策への上積みなどで07年度当初予算をやや上回る83兆613億円。財政健全化へ昨年の「骨太の方針」(経済財政改革の基本方針)で定めた歳出改革方針を確実に実施するとともに、成長力強化、地域経済活性化、国民生活の安全・安心などの重要課題にきめ細かく配慮したメリハリある内容になっています。
政策の実行に充てる一般歳出は前年度比3061億円増の47兆2845億円。これには公明党がリードし与党合意した基礎年金国庫負担割合の引き上げ分1356億円を含み、財源には所得税の定率減税廃止による増収分を充当します。地域活性化や成長力強化など重点分野を対象に設けた特別枠には5000億円強を計上しました。
財源不足が課題の地方対策として地方交付税交付金は地方特例交付金を含め前年度比6820億円上乗せして15兆6136億円で3年ぶりの増額。歳出の効率化を促進する観点から公共事業費は6年連続マイナスの対前年度比3・1%減。防衛省の装備品調達をめぐる汚職事件で問題となった随意契約の見直しなどにより防衛費の0・5%削減を実現しました。
一方で、公明党が主張してきたインターフェロン治療費助成を含む肝炎対策が大幅に拡充されたほか、がん対策、医師確保対策、教職員定数増、中小企業対策などでも思い切った予算配分が行われました。
歳入の柱である税収は大幅に伸ばした今年度予算にさらに上積みし53兆5540億円。特別会計からの繰り入れなど税外収入も増やし4兆1593億円。歳入の不足分を埋める新規国債発行額は歳出・歳入全般にわたる見直しの結果、4年連続削減し25兆3480億円で、過去最大幅の削減をした前年度(25兆4320億円)をさらに下回りました。基礎的財政収支の赤字額は5兆1848億円で5年ぶりの悪化となったが、歳入に占める国債の割合を示す国債依存度は新規国債額の減少で0・2%減らし、財政健全化の路線を堅持しました。
08年度予算案は復活折衝を経て、24日に政府予算案として閣議決定。年明けの通常国会に提出されます。
『社会保障』
『医師確保など推進』
医療関係では、医師を確保できない地域への派遣システム構築に21億3000万円を計上。また、病院勤務医の過重労働解消に向けた交代勤務の導入促進に4億8000万円、産科の経営支援に12億5000万円、結婚や出産で現場を離れた女性医師の復職支援に3億9000万円をそれぞれ新規に盛り込みました。介護関係では高齢者の健康増進を図り、要介護状態となるのを防ぐ介護予防事業の実施に677億円を充てます。
また、少子化対策関係費(厚生労働省分)は3・5%増の1兆3442億円。政府の重点戦略を踏まえ、仕事と育児の両立支援を強化。保育所に入れない待機児童を解消するため、仕事を持つ親や病気の親に代わって自宅に子どもを預かる「保育ママ」の支援に7億3000万円を計上したほか、親が昼間家庭にいない小学生らを預かる放課後児童クラブの推進に186億9000万円を割り当てました。
『地域再生』
『中小企業に手厚く』
地域経済の軸となる中小企業と農家の活性化に重点を置いた。中小企業対策予算は0・4%増の1646億円と2年連続でプラスとなりました。新規事業では、大企業を定年退職した団塊世代の人々が在職中に身に付けた技術やノウハウを中小企業のレベルアップに生かす「新現役チャレンジ支援」に21億円を計上。空き店舗を農水産品の販売場所などに活用する「中小商業活力向上」に10億円、小規模事業者が弁護士などから経営指導を受けられる「経営力向上・事業承継等先進的支援体制構築」に51億円を投じます。
一方、農業では大規模農家を育成・支援する新農業政策「品目横断的経営安定対策」推進のため、07年度比691億円増の2086億円を実施費用として計上しました。
このほか、農地情報整備や耕作放棄地解消など農地政策改革に30億円を投入。産地や表示の相次ぐ偽装で揺れる「食の安心・安全」の確保に向け、食品企業の法令順守体制整備などへ4億円を充てました。
『ムダ削減』
『随意契約を見直し』
財務省原案では、防衛省の装備品調達をめぐる汚職事件で問題となった随意契約を見直し、一般競争入札などに変更することで、07年度当初予算と比べて計381億円の歳出削減を実現しました。
減額する歳出項目は、自衛隊の誘導弾ミサイル地上器材の整備費(防衛省)59億円や情報システムやコピー機の借料(同)25億円、社会保険システムの関連機器の調達(厚労省)30億円などです。政府は06年6月に策定した随意契約見直し計画に基づき、原則として公共調達は一般競争入札に移行する方針を掲げています。
また、財務省が税金のムダ遣いをチェックする予算執行調査の結果、国土交通省の都市再生プロジェクトが廃止になるなど62事業が見直され、300億円の歳出減、35億円の歳入増となりました。会計検査院による06年度の決算検査報告も反映され、137億円の歳出が削減されました。
『環境』
『温暖化対策2・4倍』
京都議定書の約束期間入りを08年度に控え、地球温暖化対策に重点配分した。議定書で認められた「京都メカニズム」を活用した温室効果ガス排出枠の取得費は、07年度の2・4倍となる308億円を計上。3億円を投じて新たに実施する省エネ製品買い替え促進事業などを通じ、家庭やオフィスでの二酸化炭素(CO2)の排出削減をめざします。
このほか、ディーゼル車の排ガスなどに含まれ、ぜんそくや気管支炎を引き起こすと指摘される微小な粒子状物質(PM)の対策調査費として、8000万円を新規に盛り込みました。
政府開発援助(ODA)の地球温暖化対策では、最貧国などを対象に15億円の「環境プログラム無償資金協力」を創設します。
『財務省原案の骨子』
◎一般会計総額は2007年度当初比0.2%増の83兆613億円と2年連続増加
◎新規国債発行額は0.3%減の25兆3480億円と4年連続の減額
◎国債依存度は0.2ポイント減の30.5%。08年度末の国債残高見込みは553兆円で、国民1人当たり433万円
◎税収は0.2%増の53兆5540億円
◎一般歳出は0.7%増の47兆2845億円と2年連続増加
◎社会保障費3.0%増、公共事業費3.1%減、防衛費0.5%減、文教・科学振興費0.3%増
◎地方交付税交付金の総額は4.6%増の15兆6136億円
◎国債費は4.0%減の20兆1632億円
◎基礎的財政収支は5.1兆円の赤字、5年ぶりに悪化