そこが聞きたい――防衛「省」移行について Q&A

国際平和協力活動を本来任務に
専守防衛、文民統制など基本は不変


 防衛庁の「省」移行を柱とする防衛庁設置法等改正案の審議が、今国会で始まりました。「省」移行については、「なぜ移行するのか」「軍事大国にならないか」などの声が上がっています。同改正案のポイントを紹介します。
                       (2006年10月30日付 公明新聞から)

 なぜ「省」にするのか

 
外交」「社会保障」「教育」などと並ぶ国の重要政策である「防衛」を主として担う責任ある「省」への移行は、国際平和協力を進める上でも理解できます

 自衛隊は発足当時、“存在する自衛隊”として、他国からの武力侵略を思いとどまらせる抑止力を持つことが期待されていました。

 しかし、冷戦後の安全保障環境は様変わりし、また、自衛隊の活動も、災害派遣、国際平和協力活動と大きく広がってきました。

 実際、1995年の阪神・淡路大震災以降、地下鉄サリン事件、新潟県中越地震などへの災害派遣や、他国からの不審船問題などに対応し、約9000回の活動で約273万人の自衛隊員が従事。また、カンボジア、モザンビーク、ルワンダ、イラク、スマトラ沖など世界各地で約20回の国際平和協力活動を実施し、約3万人の自衛隊員が参加しています。

 このように、自衛隊の“存在”に意味があった時代から、事実上、「運用の時代」に入っています。

 「防衛」は「外交」「社会保障」「教育」「財政」などと並ぶ国の重要な基本政策ですが、これまで、防衛を所管する防衛庁は内閣府の外局に位置付けられてきました。

 今回、他の行政組織と同格の「省」に移行させることによって、安全保障政策を主として担う責任ある行政組織となり、国の防衛や国際平和協力に関する課題に、的確に対応できるという政府の判断は理解できます。


 法案はどんな内容か

 
「省」への移行と、PKOや国際緊急援助活動などの国際平和協力活動を本来任務に加えることの2本柱です
 
 「国の防衛」は現在、内閣府の業務の一つになっています。防衛庁長官は防衛庁という組織のトップですが、「国の防衛」を主に担当する主任の大臣ではなく、内閣府の長である内閣総理大臣を通じなければ、予算の要求など重要な仕事ができない仕組みになっています。

 「省」に移行することで、「防衛」を専属的に担当する主任の大臣ができ、安全保障や危機管理の問題に取り組むことができます。

 また、現在、国際社会の平和と安定が、日本の平和と安全に結びついているため、従来にも増して、自衛隊が国際平和協力活動に積極的に取り組むことが望まれています。

 海外でも高い評価を受けている自衛隊のPKO(国連平和維持活動)協力や国際緊急援助活動などの国際平和協力活動は、現行では自衛隊法の「雑則」に規定されています。

 今国会で審議中の改正法案(防衛庁設置法等改正案)には、国際平和協力活動を自衛隊の「本来任務」とすることが、きちんと位置付けられています。これは、日本が国際社会と協力して平和と安定に取り組む姿勢を、強く発信することにもつながります。


 軍事大国にならないか

 
文民統制は堅持され、専守防衛、非核三原則などの防衛政策の基本は、全く変わりません

 「省」に移行しても、シビリアン・コントロール(文民統制)、専守防衛、節度ある防衛力の整備、集団的自衛権の不行使、非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)など、日本の防衛政策の基本は変わりません。

 「省」にすると、近隣諸国が懸念を持つと心配する声がありますが、大事なことは、わが国の防衛政策の基本に変更がないことを十分に説明し、理解してもらうことにあります。

 諸外国においても、防衛を担当する行政組織は、外交、社会保障、教育、財政などの他の行政組織と同格の「省」です。わが国が行政組織としての位置付けを変更することを通じて、日本の防衛や国際平和協力活動に取り組む体制を整えること自体を問題視する国はないと考えます。

 一方、防衛庁長官は防衛大臣となり、防衛政策の立案に責任を持つことになりますが、自衛隊の最高指揮監督権や防衛出動の命令など、首相の権限は今までと全く変わりません。

 公明党は、今国会で「省」に移行することで日本の防衛政策の基本が変わることがないよう強く主張。久間章生防衛庁長官は、「『省』移行に当たって、専守防衛、軍事大国とならないこと、非核三原則、文民統制の確保といった防衛政策の基本を変更することはない」(27日、衆院本会議で)と明確に答弁しています。