わかる経済Q&A――COP15閉幕、「ポスト京都」前途険しく
新枠組みを先送り
各国の利害対立根深く
「温暖化」合意は了承
デンマークのコペンハーゲンで開かれていた第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)は19日、日米欧や中国など主要二十数カ国がまとめた「政治合意(コペンハーゲン合意)」を大筋了承し、閉幕しました。2013年以降の具体的な地球温暖化対策の枠組み(ポスト京都議定書)づくりが焦点でしたが、調整が難航し先送りされました。二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス削減をめぐり、先進国と途上国が激しく対立したのが要因です。(京都議定書はメモ参照)
(2009年12月21日付 公明新聞)
Q COP15は、かなり難航したようですね。
A 先進国と途上国の主張の溝が埋まらず、今回のCOP15までに結論を得るはずだったポスト京都議定書をめぐる交渉は、先送りされました。
日米欧や中国など主要二十数カ国は、産業革命以降の気候上昇幅を2度以内に抑えることなどを明記した政治合意をまとめましたが、その文書の作成に加わらなかった途上国などから異論が噴出しました。
最終的に、全会一致が原則の政治合意の採択は断念しました。協議の完全な決裂という最悪の事態を回避するため、政治合意に「留意する」との文書を採択しました。賛成国のみに合意の効力が及ぶ形にとどめ、反発する途上国に配慮した、あいまいな表現で決着させました。
Q その政治合意の内容は。
A 政治合意によると、京都議定書から離脱した米国を含む先進国は、来年1月末までに2020年までの温室効果ガス削減の具体的な数値目標を条約事務局に提出しなければなりません。また、振興国・途上国も、原則として、同時期までに排出抑制計画を提示することになりました。ただ、削減目標に法的拘束力を持たせるかどうかについては言及していません。京都議定書に続く13年以降の新たな枠組みを採択する期限も記されていません。
Q 途上国支援も課題になっていましたが。
A 温暖化対策に取り組む途上国への支援策として、先進国は10~12年までの3年間に総額300億ドル、20年の時点では年間1000億ドルを拠出するとしています。途上国の温暖化対策に実効性を持たせるため、先進国の支援を受けて実施する排出削減策は、効果があったかを国際的に監視することが盛り込まれました。
Q なぜ意見が対立しているのですか。
A 日本や欧州連合(EU)は、ポスト京都議定書の枠組みづくりをめざし、当初、京都議定書の延長を主張していた中国などの新興国も歩み寄りました。しかし、一部の途上国は、強硬に反対。各国それぞれが自国以外の削減強化を訴える中、利害関係が複雑に絡み合い、議論は平行線をたどりました。今後の交渉も非常に難航することが予想されます。
Q 各国独自の目標もあるようですが。
A COPの協議が難航する一方で、各国は温室ガス削減に関する独自の中期目標を相次ぎ発表しています。日本政府は、「20年までに1990年比で25%削減」との目標を打ち出しました。これを合意のリストに登録するかどうかが焦点の一つです。また、20年までの目標として米国は05年比17%、カナダは06年比20%、中国は国内総生産(GDP)あたりのCO2排出量を40~45%削減などとする目標を掲げています【表参照】。
ただ、米国の目標は、日本と同様に90年比で換算すると3~5%、カナダは3%にすぎません。
Q 日本が25%削減をめざす場合の経済負担を心配する声があります。
A 先月、温室効果ガス削減の経済的影響を検証する政府の専門家会合が開かれ、家計負担に関する試算の中間報告が行われました。
それによると、25%すべてを自国で削減する場合、1世帯当たり年間13万~76・5万円の負担増になるという試算が示されました。ただ、温室ガスの排出権を海外から購入する分を増やせば、その分、家計負担は軽減できるとしています。
ところが、「菅直人副総理・国家戦略相らが負担を強調しすぎる試算に反対した」(11月25日付「日経」)ため、専門家会合のメンバーを入れ替えて再試算する方針を決めました。来年初めにも、新たな試算をまとめるとしています。政府は国民に対し、企業や家計の負担がどれぐらいになるのか説明し、理解を得る努力が必要です。