ガソリン税の暫定税率 Q&A

◆延長法案が年度内に成立しないと国民生活が混乱
 通常国会では、ガソリン税の暫定税率を延長するための法案の行方が焦点になっています。なぜ政府・与党は暫定税率を維持するのか。民主党などの反対で法案の成立が遅れた場合、国民生活にどのような影響があるのかなどをQ&Aでまとめました。
 (2008年1月24日付 公明新聞)

 Q:ガソリン税の暫定税率とは?

 
A:本来の税率(1リットル約29円)の約2倍を負担
 1リットル=150円前後のガソリン代には、約54円のガソリン税が含まれています。本来の税は約29円ですが、“一時的な措置”として約25円の税金が上乗せされています。この上乗せ分を暫定税率と言います。

 この上乗せにより現在、自動車のユーザー(利用者)は本来の税金の約2倍を負担しています。ただし、イギリスでは1リットル当たり約150円の税金をかけており、諸外国に比べて日本の税負担は低くなっています。

 ガソリン税がかけられているのは、「道路整備費は利益を受ける自動車利用者が負担する」との考え方からです。車検時にかかる「自動車重量税」なども同じで、集められた税金は、使い道が道路整備に限られることから道路特定財源と呼ばれ、総額は約5兆6000億円(2007年度)に上ります。

 ガソリン税には、国の税収となる揮発油税(48・6円)と、全額が国から地方に回る地方道路税(5・2円)があります。






 Q:なぜ「暫定」が34年も続くのか?

 
A:道路計画に見合った財源確保のために延長
 ガソリン税には1974年から暫定税率が導入されました。これは当時の道路整備5カ年計画(第7次)に基づいて、そのために必要な事業の財源として、国会で審議されて決まったものです。

 当時の第1次オイルショックを踏まえ、ガソリンの消費抑制や環境への配慮が必要だったことも導入理由の一つでした。

 以後、道路整備計画がつくられるごとに、それに見合う財源を確保するため、国会の決定を経て暫定税率が主に5年ごとに更新されてきました(現在の暫定税率の期限は今年3月末)。

 その一方で、国民から「ムダな道路も造っている」などの批判の声が高まりました。このため、公明党が1999年に連立政権に参画してからは、徹底した行政改革が行われる中で道路整備費も削減されてきました。

 その結果、今では国と地方の道路予算はピーク時の半分に過ぎません。入札改革やコスト縮減も進んでいます。


 Q:暫定税率を維持する理由は?

 
A:真に必要な道路のためで、今後、見直しも検討
 政府・与党は昨年12月に道路特定財源の見直し案をまとめました。今後10年間の道路中期計画では、真に必要な道路づくりの費用を59兆円とし、先の5カ年計画(38兆円)に比べて大幅に絞り込んだ上で、そのための財源として、ガソリン税など道路特定財源の暫定税率を10年間維持する方針を決めました。

 中期計画には全国で15万ある橋の点検・補修や、歩道のない危険な通学路(約4万キロメートル)の整備などの安全対策も含まれています。

 加えて、暫定税率を含めた自動車関係諸税のあり方について、数年のうちに行われる抜本的な税制改革で見直しを検討するとともに、5年後の中期計画見直しと10年後の中期計画終了時点でも同じく検討を行うことにしました。

 暫定税率の見直し検討を明記したことは、「納税者の理解を得る見直しを」との公明党の強い主張が反映されたものです。道路特定財源を、高速道路の料金引き下げや地方の生活道路整備などに活用できる仕組みを整えたことも、公明党の取り組みの成果です。


 Q:民主党は廃止を主張するが?

 
A:明確な財源の裏付けない極めて無責任な政策
 民主党は「暫定税率を廃止すれば25円ガソリン代が安くなる」などと世論をあおっていますが、とんでもないことです。

 暫定税率が廃止された場合、国と地方分を合わせた税収に年間2兆6000億円(地方分は9000億円で、国からの交付金を含めると1兆6000億円)もの穴が開き、その分、十分な道路整備ができなくなります。

 しかも、民主党は穴埋めのための明確な財源を示さずに、「地方における道路整備は従来水準を維持する」と、つじつまの合わない説明をしています。

 この無責任極まりない“政策”は、マスコミからも「廃止すれば、地方の道路整備の水準を維持できるわけがない」(読売)、「減税を先行させれば、あとで財源不足の穴を国債で埋めることになりかねない」(朝日)などと批判を浴びています。

 ガソリン価格が高騰している中で、値下げを喜ばない人はいないでしょう。しかし、財源の裏付けがない政策などはあり得ず、「大衆迎合的な措置」(毎日)に過ぎません。




山口県の場合 
道路予算の3割近くを道路特定財源でまかない、暫定税率が廃止されると国からの交付金84億円も入らないため、200億円の減収となります。国からの補助金の受け入れや借入金の調達にも支障をきたし、財政面で何らかの手当てをしなければ、道路予算の実に75%(約700億円)がなくなります。残りの予算は過去の借入金返済に充てられるため、事実上、「道路の整備も維持管理もできなくなる」(山口県)だけでなく、福祉や教育など一般の財源を切り崩して借金返済に充てなければなりません。


 Q:もし期限切れなら?

 
A:暮らしの安全脅かし、地方財政に深刻な影響
 暫定税率の期限が3月末(自動車重量税は4月末)に切れれば、国民生活に大きな混乱をもたらします。道路特定財源は、交通渋滞や開かずの踏切解消、高速道路料金の値下げのほか、通学路の安全対策や、災害・救急医療に欠かせない「命の道路」の整備、除雪作業などに活用され、国民生活を守る役割を果たしているからです。

 地方財政への影響も深刻です。全国知事会など地方6団体は21日に「暫定税率の廃止に強く反対し、維持を求める」との緊急声明を発表。「最低限の(道路の)維持・補修さえできない」と訴えるとともに、「教育や福祉といった他の行政サービスの低下など国民生活にも深刻な影響を及ぼしかねない」との懸念を示しました。

 暫定税率の廃止は地球温暖化防止にも逆行します。暫定税率が廃止されれば、自動車を利用する人が増え、二酸化炭素の排出量が年2400万トン増加すると試算されています。


 Q:国会審議の見通しは?

 
A:民主が採決引き延ばせば、年度内成立困難に
 ガソリン税などの暫定税率を維持する法案(租税特別措置法改正案)は23日に国会に提出されましたが、衆参で与野党が逆転する「ねじれ国会」では、年度内に成立するか予断を許しません。

 政府・与党は法案の提出に先立ち、民主党に法案骨子を示すなど、年度内成立への協力を呼び掛けています。

 しかし、民主党は3月末まで参院での法案採決をさせない構えを見せています。このため、「議論を始める前から、予算案や関連法案について『年度内成立はさせない』との発言が聞こえてくるのはいかがなものか」(朝日)、「国民生活を人質にとるような国会戦術は自重すべきだ」(日経)などと批判されています。
 年度内に成立できなければ、国民生活に混乱を招くだけでなく、景気悪化の引き金にもなりかねません。暫定税率問題を政争の具に使うことは断じて慎むべきでしょう。


 Q:負担軽減へ公明の取り組みは?

 
A:公明の主張で自賠責保険料が4月から引き下げへ
 公明党の主張によって、自動車ユーザーの負担軽減策として、自動車損害賠償責任保険(自賠責)の保険料が4月から引き下げられます。引き下げは11年ぶりで、自家用車の場合、現行2年契約で3万1730円の保険料(沖縄・離島を除く)が9260円安くなります。

 公明党は、昨年来の原油高騰に対処するために政府に対策本部をつくらせ、昨年12月に政府がまとめた緊急対策には、福祉灯油や中小企業への支援策が盛り込まれました。

 加えて、政府の原油高対策会議で、「自動車の一般ユーザーへの負担軽減策を検討すべき」(北側一雄幹事長)と訴え、自賠責保険料の引き下げを求めていました。

 公明党は、政府・与党の道路特定財源の見直し案に、暫定税率も含めた自動車関係諸税のあり方を総合的に検討するとの文言を入れさせましたが、今後もユーザーの負担軽減のために全力で取り組んでいきます。