イラク特措法延長 Q&A

 衆院テロ防止・イラク支援特別委員会では現在、今年7月で期限が切れるイラク復興支援特別措置法を2年間延長する改正案が審議されています。そこで、同法改正案についてQ&Aで解説します。
 (2007年5月8日付 公明新聞)


 Q なぜ2年間延長するのか 

 
数年間が復興のカギ。国連、イラクの要請に基づき支援継続
 イラク人道復興支援特別措置法による自衛隊の支援活動は、国際社会がイラクの速やかな国家再建と国民生活の安定のために支援を行うことを決めた国連安保理決議1483に基づいています。つまり、国連などの国際社会の総意による活動です。

 日本は2004年から陸上自衛隊によるイラク・ムサンナ県での人道復興支援(昨年7月までに活動終了)と、航空自衛隊による空輸支援活動(現在も継続中)を行い、国連やイラク政府などから高い評価を受けています。

 昨年5月に民主的手続きにより発足したイラク政府にとっては、今後、数年間が本格的な国づくりへの重要な時期です。そのため、イラクで活動する国連イラク支援ミッション(UNAMI)は、今後数年間の活動継続を表明しています。

 また、国連は円滑に人道復興支援を続ける上で、空自による空輸活動の重要性を指摘し、日本政府に対し継続を要望しています。イラク政府からも活動の継続を求められています。

 こうした要望に応え、日本は国際社会の責任ある一員として、イラク復興に寄与していくために、現在実施している空輸支援を継続する必要があると考え、7月末に期限を迎えるイラク特措法を2年間延長し、日本も安定した支援活動を実施することを決めました。


 Q 空自はどのような支援を

 国連などの人員、物資等を空輸
 航空自衛隊は2004年3月から、クウェートのアリ・アルサレム飛行場を拠点に、日本からの人道復興支援物資や関係国の物資、人員などの輸送活動を行っています。また、陸上自衛隊撤収後の昨年9月からは、国連の要請により国連に対する空輸支援も始めました。

 空輸は、クウェートのアリ飛行場と、南部のタリル飛行場、バグダッド国際空港、北部のアルビル飛行場(バグダッド経由)を結ぶ3ルートでC130輸送機により行われています。これまで、計498回、約523・284トンの物資、人員(4月26日現在)を輸送しました。

 特に、国連イラク支援ミッションの本部と支部を結ぶバグダッド―アルビル間は、民間航空機が就航しておらず、空自の空輸支援活動が国連の人員と物資を運ぶ唯一の手段になっています。国連の潘基文事務総長も「イラクの国民と政府を支援するための安保理決議1546に基づく任務を実行するのに役立っている」と述べ、感謝を表明しています。


 Q 自衛隊に危険はないのか

 継続的な情報収集などで安全確保

 イラクの治安情勢はまだ不安定です。しかし、現地で活動する自衛隊は自身の安全を確保するために、継続的な情報収集活動を続けており、危険を事前に察知して回避しています。そのような努力があって陸上自衛隊は、2年半の復興支援活動中、一発の銃弾も撃つことがありませんでした。航空自衛隊も運行に直接の支障を生じる事態に一度も遭遇していません。

 空自の場合、危険度が高くなる離着陸時でも急上昇や急旋回を行って危険を回避する高度な技術を有しています。また、輸送機には、広い視野を確保するバブルウィンドウ(半球体形の窓)や熱源追尾ミサイルを回避するフレア(火炎弾)装置などが装備され、安全確保に万全を期しています。

 イラク特措法には、もし、イラクの治安情勢が自衛隊にとって危険な状況になれば、速やかに活動を中断することが定められています。


 Q 支援は米国への追従では

 復興支援は国際社会の総意

 イラクへの復興支援活動は、国連安保理決議に基づき、国際社会の総意のもと、イラク政府や国連の要請によって行っています。米国に追従して行っているとの主張は偏った見方です。

 また、イラク復興支援活動への参加国のうち15カ国が既に撤退したことを取り上げ、米国を見限って撤退しているとする意見があります。しかし、イラクで復興支援活動を展開している各国の部隊は、それぞれ自国の政策に基づいて支援を行っているのであり、それぞれが設定した目標を達成したために部隊を引き揚げたのです。

 現に、日本の陸上自衛隊もムサンナ県での人道復興支援を終え、派遣部隊を引き揚げました。また、同地域の治安権限がイラク政府に移譲されたことで、治安活動に当たっていた英国も一部部隊の撤収を表明しています。


 Q 正当性のない戦争への加担では

 イラク戦争と復興支援は別問題

 イラクでの自衛隊の支援活動に対し、正当性のない戦争に加担しているなどとする意見がありますが、これは筋違いな話です。自衛隊の支援活動は、あくまでもイラク戦争終結後の復興支援を決めた国連安保理決議1483に基づくものです。

 米英によるイラクへの武力行使は、すべての大量破壊兵器の破棄と査察受け入れ再開を求めた国連安保理決議1441の履行をイラクが無視したことから起きました。当時、イラクは大量破壊兵器を製造し使用した過去があり、引き続き保有しているとの疑惑がありました。

 しかも、イラクは大量破壊兵器の破棄などを求めた国連安保理決議を12年間にわたり17回も違反し続け、最終的に、履行しなければ「深刻な結果に直面する」と警告した決議1441さえも無視した結果、米英の武力攻撃を招いたわけですから、開戦はやむを得なかったとする政府の対応は理解できます。

 一方、復興支援を決めた決議1483は、決議1441には反対したフランス、ロシア、中国も賛成して全会一致で採択されました。まさに、国際社会の総意としての決定です。

 こうした復興支援を戦争に加担しているというのはまったく的外れです。