すぐ分かるニュース教室――児童扶養手当法の改正
母子家庭の家計を助け、子どもの育成を支援する児童扶養手当の支給拡充を求める強い声を受け、児童扶養手当法改正案の審議が国会でスタートする。
公明党は「ひとり親家庭」の支援拡充を進める立場から独自の改正案を提出した。
そこで、今回の改正の意義や公明党案のポイントを解説する。
(2010年2月14日付 公明新聞)
「ひとり親家庭」の支援急務
父子家庭に加えDV被害者も支給対象
『Q 現状と課題は?』
『A 児童扶養手当の受給者は増加。さらに、支給対象を父子家庭などにも広げるよう求める声が強い。』
児童扶養手当は、離婚で父親から養育を受けることができない母子家庭などの子どもの育成と生活の安定を目的として支給される手当だ。
支給対象は18歳(障がい児は20歳)までの子どもを育てる母親もしくは養育者。支給額は、母親などの所得や子どもの人数、児童扶養手当の受給期間などで決まる。子ども1人の世帯で、月額9850~4万1720円。2人目は5000円、3人目以降は1人につき3000円が加算される。
児童扶養手当の受給者は、1980年から97年までは毎年45万~65万人の間で推移。98年の約62万5000人から上昇を続け、今年1月末の受給者は約102万4000人となった。
受給者が増加を続ける理由として、母子家庭の増加が挙げられる。2005年の国勢調査によれば、母子家庭は約74万9000所帯で、前回調査(00年)と比べ19・7%増加している。また、母子家庭の厳しい就業環境も挙げられる。08年の労働力調査によれば母子家庭の完全失業率は6・6%と、一般世帯の1・6倍も高い。
こうした母子家庭の家計を支える児童扶養手当は欠かせない支援となっているが、さらに、支給対象の拡充が求められている。
とりわけ、支給が望まれているのは約10万世帯あるとされる父子家庭だ。父子家庭の平均年収は、06年の全国母子世帯等調査によれば、母子家庭の213万円より高い421万円。しかし、平均年収が300万円未満の父子家庭は全体の37・2%を占めるなど、現下の厳しい経済情勢の下で苦しい家計を強いられている父子家庭も少なくない。
また、父子家庭は母子家庭と比べ、行政からの支援は限定的で経済的な負担感が大きいのが実態だ。
また、DV(ドメスティック・バイオレンス=配偶者などからの暴力)の被害に遭い、事実上、離婚状態にある母子への支給も望まれている。DV被害が原因の場合、父親との話し合いが進まないなどの理由で離婚成立は困難とされる。こうした母親を経済的に支援するためにも、児童扶養手当の支給が求められている。
「ひとり親家庭」というと母子家庭を連想しがちだが、健やかな子どもの育成のため、実態を反映した児童扶養手当の拡充は早急に対処すべき課題である。
『Q 公明案の内容は?』
『A 公明党案は支給対象を父子家庭やDV被害者などにも広げ、「子どもの福祉」を重視している。』
支給対象の拡充を求める声を受け、公明党は党独自の「児童扶養手当法改正案」を今月1日、議員立法で参院に提出した。
公明党案では、父子家庭の父親を新たに児童扶養手当の支給対象としたほか、DV被害などが原因で、事実上、離婚状態にある母親も支給対象とした。さらに、母子家庭の母親が失踪し、その子どもが公的年金を受給している祖父母と暮らしている場合、現行法では児童扶養手当の支給が停止されているが、公明党案では支給を認めることとした。
公明党案では新たに父子家庭が約10万世帯、DV被害者が約3000世帯、公的年金受給者が約21万世帯と、計31万を超す世帯の追加が見込まれる。
こうした支給対象の拡充に加え、公明党案では児童扶養手当の一部削減を撤廃する。一部削減とは、母子家庭の自立を促す観点から、支給開始から5年が経過すると最大2分の1を削減するというものだ。この一部削減については08年4月から実施予定だったが、公明党の推進で、すでに受給者が求職活動中もしくは障がいがある場合は適用除外とされ、凍結されている。公明党は今回、この一部削減の凍結をさらに「撤廃」へと踏み込んだ。
また、公明党案では支給回数を現行の年3回(4、8、12月)から年6回(偶数月)に見直す。
公明党案の発議者である渡辺孝男・党厚生労働部会長(参院議員)は「“子どもの福祉”に着眼し、拡充案をまとめた。経済的に厳しい状況であり、早期の成立をめざす」と述べている。
一方、公明党案に先立ち提出されている政府案は、支給対象の拡充を父子家庭に限定したほか、「家庭の自立を促す」ため支給制限を設けている。公明党案で盛り込まれているDV被害者などへの支給は、強い要望があるにもかかわらず、3年をめどとする検討事項とした。
「ひとり親家庭」の家計の改善は、子どもの養育に直結する重要な問題だけに、公明党案に沿った法改正が強く望まれる。
