そこが聞きたい――教育基本法案 Q&A

 1947年の施行以来、初めて全面的に改正された教育基本法が2006年12月に施行され、同法に基づいて現在、学校教育法など教育関連法の見直しが進められています。そこで改めて、旧法の理念を堅持しつつ、新たな時代に必要な条文を盛り込んだ教育基本法についてまとめました。
 (2007年3月22日付 公明新聞)


 なぜ改正したのか

 
新時代に即応した法律に
 教育現場が直面する時代の変化に対応するためです。旧法が制定された47年当時に比べ、高校や大学への進学率は飛躍的に上昇しています。さらに、不登校や学級崩壊、児童虐待、ニート(若年無業者)・フリーターの増加など、青少年を取り巻く社会環境と教育現場が大きく変わったため、新時代に即応した教育基本法をめざし、全面的に見直されました。



 最大の特徴は

 理念堅持し8条文を追加
 新しい教育基本法の最大の特徴は、「個人の尊厳」や「人格の完成」など旧法の骨格となる理念は堅持しつつ、時代の変化に対応した新しい項目を盛り込んだことです。

 具体的には、「生涯学習の理念」「大学」「私立学校」「教員」「家庭教育」「幼児期の教育」「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」「教育振興基本計画」――の八つの条文が盛り込まれました。大学の位置付けを明確にしたほか、家庭教育においては、父母の第一義的責任を明記し、国や地方自治体は、家庭教育の支援に努めるよう規定しています。また、「教育の目標」の条文では、「生命尊重」や「自然や環境との共生」といった概念が反映されています。

 理念を定めた基本法として、今後の教育改革に十分対応できるものです。






 国の管理が強化されないか

 「愛国心」評価せず政治的中立性を確保

 焦点の愛国心については、国会審議を通して、「内心の自由にかかわって評価するものではない」(安倍晋三首相)、「小学生に対して愛国心があるかどうか、そんな評価は必要ない」(小泉純一郎前首相)など、その評価の在り方をめぐる明確な方針が示されています。

 また、教育行政については、戦前の軍部政府による介入を教訓に旧法にうたわれた「不当な支配に服することなく」との文言も引き続き定められています。

 さらに、閣僚や首長の教育へのかかわり方についても「選挙で選ばれており政党のイズム(主義)を持っているので、教育委員会制度は、やはり置いておかなければいけない」(伊吹文明文部科学相)として、教育に対する政治の中立性は保たれます。


 今後は、どうなるのか

 振興計画に明確な目標。個別法で教育再生推進

 今後の焦点の一つが、基本法に新たに盛り込まれた「教育振興基本計画」の策定です。これは、5年程度の計画期間で、例えば「客観的な指標に基づく世界水準の英語力」など具体的な政策やその数値目標を示し、教育行政に“骨太”の方針を打ち出すものです。生涯学習や幼児期の教育なども含め、教育全般に関する明確な展望が示されます。

 また、学校教育法など、基本法の下に位置付けられる30を超える個別法を見直し、教育再生の具体化を進めます。国会審議を通して、教育委員会は、政治的中立性確保のため、存続させる方針は確認されましたが、一方で、形骸化も指摘されており、活性化に向けた法改正を行います。このほか、いじめや必修科目未履修問題など、教育現場が直面する課題についても、検討が進められています。


 公明の取り組みは

 国家主義の懸念を払しょく。完成度の高い法律に

 公明党は、基本法が戦前の国家主義を想起させる内容にならないよう、法案提出までに3年70回に及ぶ与党協議会などを通して、強く主張し続けました。教育について、国民の間にはさまざまな考え方があります。例えば、愛国心といっても、自己犠牲を求めるような愛国心を主張する意見もあれば、基本法に盛り込むこと自体に反対する声もありました。公明党の主張を受け、愛国心の表記については、誰もが容認できる「郷土愛」を基調とし、国際社会への広がりを持った表現に仕上げ、国家主義の懸念を払しょくしました。

 また、大きな議論になった「宗教教育」についても、一般的な教養を教えるにとどめました。憲法に抵触する恐れのない、幅広い意見を最大限尊重した内容になっています。

 教育基本法は、できるだけ多くの人たちが納得できるよう全条文に配慮が行き届いており、「公明党が与党にいたからこそできた、完成度が高い」(斉藤鉄夫・党政務調査会長)ものです。