<問い>
9月7日の与党責任者会議で民法772条の規定見直しに向けて協議の再開が決定しました。民法772条問題とは何ですか。また、公明党の取り組みはどのようなものでしょうか。(川崎市 E・Nさん)
『離婚前妊娠救済へ与党で協議再開』
『離婚後のケースは医師の証明書で「現夫の子」に』
『「無戸籍の子どもを救え」と公明がリード』
「民法」の772条2項には、「婚姻の解消若しくは解消の日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」とする嫡出推定の規定があります。この規定によって、再婚(禁止期間は離婚後180日)して新しい夫との間にできた子どもであっても、離婚後300日以内の出生であれば、前の夫の子と推定され、出生届の提出時に前夫の戸籍に入ることになります。
子どもを本来の父親の戸籍に戻すためには、前夫を巻き込んだ親子関係不存在の調停や嫡出否認の裁判をしなければならず、当事者に時間、経済、精神的負担が掛かっていました。また、たとえ調停や裁判で認められたとしても、子どもの戸籍にその記録が残ってしまうことには変わりがないため、出生届を届けず、あえて無戸籍のままにしている人もいます。法務省は、そのような問題を抱えている子どもたちが年間約3000人いると推定しています。
この300日規定は、明治31年(1898年)に制定された民法をそのまま引き継いでいます。もともとは法律上の父親をはっきりさせて子どもの身分を早期に安定させるためのものでしたが、制定から100年以上たって時代に合わなくなっています。近年では離婚が増え、結婚するカップルの4分の1が、一方か双方が再婚するという状況となっています。
このような中、無戸籍になっている子どもたちへの、何らかの救済措置を求める声を受け、公明党は、今年2月にプロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、子どもの福祉を優先させるべきとの考えから、議員立法での救済措置に向けた検討を開始しました。さらに、自民党にも呼び掛け、法案骨子の起草までこぎ着けましたが、自民党側から離婚前妊娠の救済まで含む同法案骨子に対し、不倫を許容し、社会的倫理に反する恐れがあるとの強い批判があり、議論が一時中断しました。
しかし、公明党はその後も、自民党を粘り強く説得し続け、4月25日、自民、公明の両政務調査会長の間で、(1)離婚後妊娠の場合、法務省通達で対応(2)離婚前妊娠の場合、社会通念上やむを得ないと考えられるものについて救済措置を検討――することで合意しました。
法務省通達は離婚後妊娠の場合に限り、現在の夫の子とする医師の証明書を添付することで現在の夫の子とするもので、5月7日に通達が発出され、同21日から出生届の受理が開始されました。
これまで、236件の出生届が出され、218件(9月14日現在)が受理されました。しかし、この場合の救済対象は全体の1割程度にすぎず、離婚前妊娠の場合に踏み込んだ救済措置が必要と考えられています。
離婚前妊娠のケースについては、ようやく今月7日の与党政策責任者会議で与党PTでの協議再開が決定しました。今後は、離婚前妊娠の場合における救済措置の創設に向け、過去の裁判例などを参考にし、具体的方法を検討していきます。
(2007年9月28日付 公明新聞から)