すぐ分かるニュース教室――迷走する民主年金案
日本は超高齢社会に突入し、老後の暮らしを支える年金改革が「待ったなし」の緊急課題となっている。特に無年金・低年金者の増大を食い止める対策の実行が急がれる。ところが、民主党の年金案が迷走し、いまだにはっきりしない。民主案の問題点と公明党案のポイントを解説する。 (2011年2月20日付 公明新聞)
『数字なく“絵に描いた餅”』
Q 問題点は何か?
A 具体的数字が一切不明の無責任さ。中堅層は減額確実、一元化は首相自ら「大変難しい」と明言。
日本の年金制度は、2階建ての構造が基本になっている。1階部分は土台になる基礎年金(国民年金)で、20歳以上60歳未満の全ての人が加入する。
自営業者などが老後に受け取る年金は、基本的にこの部分からだ。加入した期間によって受給額が決まる仕組みで、40年間加入すると満額(月額約6万6000円)が支給される。
2階部分は、会社員などが加入する厚生年金と、公務員などが加入する共済年金だ。厚生・共済年金の加入者は、国民年金にも同時に加入する。これらの加入者の年金は、2階部分の厚生・共済年金に加入した期間の長さと給料に比例する年金額に加え、1階部分の基礎年金を上乗せした形で支給される。いずれの年金も、加入者が保険料を収めることで年金を受給する「社会保険方式」になっている。
民主党が2003年の衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げた年金改革案は、こうした現行制度を批判し、「すべての年金を一元化し、最低保障年金を創設する」としている。
まず、自営業者やサラリーマンなど職業によって分かれている現行制度を一元化すると主張しているが、問題は山積している。
例えば、国民年金には、厚生年金などと違い事業主が保険料を半分負担する制度がない。つまり、一元化したら自営業者などの保険料負担は“倍額”になってしまう。
また、仮に民主党案が成立したとしても、一元化の移行には40年もかかるとされる。一元化については菅首相自らも「大変難しい」と白状している。
もう一つの柱である全額消費税による「月7万円の最低保障年金の創設」についても、いまだに「給付する対象範囲」や「消費税は何%になるか」など、具体的な数字は一切不明のままだ【グラフ参照】。

8日の衆院予算委員会で公明党の坂口力副代表は、民主党の最低保障年金の支給対象について「年収200万円未満の人と設定した場合、12兆円という巨額の財源が必要」との試算を提示。これに対し、菅首相が財源などの明言を避けたため、坂口副代表は「民主党案は“絵に描いた餅”だ」と厳しく指摘した。
また、同党案では、中堅所得層には最低保障年金の上乗せもなく、現行の基礎年金もなくなるため、中堅サラリーマンの年金額が減ると指摘されている。これも大きな問題だ。
民主党案は発表以来、8年もたつが何一つ具体化されていない。既に破綻していることは明白だ。
『加算年金制度の創設めざす』
Q 公明党の提案は?
A 無年金・低年金問題の解消に向け、基礎年金を25%上乗せする「加算年金制度」の創設を提唱。
公明党は、現行の年金制度をより良い制度に改善するため、無年金・低年金問題を、解決すべき第一の課題と考えている。
具体的には、(1)年金保険料の事後納付期間の延長(現行2年を10年に)(2)受給資格期間の短縮(現行25年を10年に)(3)低所得者への加算年金制度の創設(基礎年金を25%上乗せ)―などを訴えている。
国民年金の未納保険料を遡って払うことができる事後納付期間の延長は、無年金・低年金者対策の一つとして公明党が2004年以来、一貫して推進してきたものだ。
国民年金などの受給資格を得るには、25年以上の加入期間が必要になる。しかし、不況や年金不信などの影響で保険料未納が増えていて、将来、そうした人が無年金・低年金者になると心配されている。一方、年数を経てから未納に気付いて、事後納付を希望する人も少なくない。
こうした事態を受け、公明党のリードで、事後納付の期間を2年から10年に延長する「年金確保支援法案」が国会に提出され、継続審議となっている。併せて年金受給者を拡大する策として、受給資格期間を現行25年から10年に短縮することも提案している。
その上で公明党は、年金の受給額が少ない人には基礎年金を税金で25%上乗せする「加算年金制度」の創設を掲げている。
年金が満額(約6万6000円)なら、8万3000円程度になる計算だ。夫婦世帯なら年収200万円未満、単身なら同160万円未満の人を対象に上乗せする。現在の国庫負担(約11兆円)に、1兆円程度の追加財源が必要になる。
他に、子育て世帯にも配慮し、現在は被用者年金に限られている育児休業期間中の保険料免除について、国民年金についても同様に保険料を免除する制度を推進していく方針だ。
