厚生労働省は今月6日、新人口推計に基づき、今後50年間、出生率が2005年の1・26から回復せず、ほぼ横ばいであったとしても、近年の景気回復傾向を経済に関する前提に反映させると、55年時点の給付水準は04年改正の見通しである50・2%を上回る51・6%を確保できるとの試算を発表しました。
年金財政に影響を与える主な要素は、(1)出生率(2)寿命(3)積立金の実質的な運用利回り(4)実質賃金上昇率(5)物価上昇率(6)厚生年金被保険者数、労働力率――などがあり、年金財政は出生率だけでなく、経済・雇用の動向に左右されます。
また、女性や高齢者などの社会参加の度合いも重要な変動要因で、女性が出産・育児で仕事を中断してしまうのではなく、働き続けられる社会、つまり男女共同参画社会を実現できれば、年金財政に大きな追い風となります。このように年金財政は総合的な見地から判断が必要であり、一時の出生率だけで一喜一憂するものではありません。
ちなみに、06年は出生数が前年を上回り、出生率は「1・29前後に回復する見通し」と報道されています。
足下の財政状況は堅調です。景気回復を背景とした年金積立金の好調な運用などで、05年度の厚生年金と国民年金の収支は04年改正の見通しを大きく上回っています<図1、図2参照>。
05年度の年金積立金の実質的な運用利回りは、7・01%で04年改正の前提である0・50%を6・51%(厚生年金6・50%、国民年金6・63%)も上回りました。この上回った利率を金額に換算すると、9兆3800億円(厚生年金8兆7600億円、国民年金6200億円)にもなります。
このように好調な年金積立金の運用や、厚生年金では被保険者数が想定より80万人も増えたことなどで、05年度は04年改正の前提では厚生年金、国民年金ともに収支が赤字で合計で3・8兆円の積立金を取り崩す見通しでしたが、逆に2・1兆円を積み増し、積立金残高は150兆円を突破しました。年金の支給は全く心配ありません。