すぐ分かるニュース教室――政治資金規正法の改正
あす18日に召集される通常国会では、鳩山首相の献金偽装問題が大きな焦点の一つになりそうだ。公明党は再発防止策として「秘書がやった」と言い訳できないよう、秘書の違法行為に対して議員の監督責任を問い、公民権を停止させる政治資金規正法改正案を国会に提出している。
(2010年1月17日付 公明新聞)
『「秘書がやった」と言い逃れ』
『Q 背景と現状は?』
『A 不祥事発覚のたびに改正を重ねてきたが、今も「秘書がやった」との言い逃れを許している。』
政治資金規正法(政規法)は、政治団体などによる政治活動が常に国民の監視と批判の下に行われるようにするため、(1)政治団体の届け出(2)政治資金の収支の公開(3)政治資金の授受の規正(献金の制限など)――などを定めている。
政治資金の「入り」(収入)と「出」(支出)の流れを“ガラス張り”にすることで、「政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与する」ことが目的だ。
政規法はこれまで、政治資金をめぐる国会議員らの不祥事が発覚するたびに再発防止策が議論され、収支の公開方法や献金規制の強化などの改正が繰り返されてきた。
特に、公明党が1999年10月に連立政権入りしてからは、「政治とカネ」の問題を一掃するために政規法を何度も改正。同年12月には、自民党の存続方針を撤回させて政治家個人(資金管理団体)への企業・団体献金を禁止する改正法を成立(2000年1月施行)させたほか、“ねじれ国会”となった07年には、公明党が自民、民主両党の“橋渡し役”となって、政治資金支出の1円以上の領収書公開を実現させた。
しかし、「政治とカネ」の問題はまだ続いている。
先月末、鳩山首相の“金庫番”だった元秘書が総額4億円にも上る虚偽記載をしたとして起訴された。
実際には献金していない人の名前を収支報告書の寄付者欄に記載するなど、ずさんな実態が暴かれた上、母親からの約12億6000万円もの巨額な資金提供まで明るみに出た。
首相は政治資金の流れについて「(元秘書に)安心してすべてを任せ切っていた」と自らの関与を否定。母親からの資金提供についても「本当に全く承知していなかった」と釈明して贈与税を納めたが、国民の納得は得られていない。
民主党の小沢幹事長に対しても、土地取引をめぐる不明朗な資金移動問題が取りざたされている。
首相はかつて、「政治家と秘書は同罪」「政治家は金銭に絡む疑惑事件が発生すると、しばしば『あれは秘書のやったこと』と嘯いて、自らの責任を逃れようとするが、とんでもない」などと言ってきた。
首相の対応は過去の発言を真っ向から否定するものだが、「秘書がやった」との言い逃れを許さないためには、秘書の不正に対して議員が責任を取る具体的な仕組みづくりが必要だ。
『秘書の不正で議員を政界退場』
『Q 公明の改正案は』
『A 秘書など会計責任者の違法行為に対して、国会議員の公民権を停止し、政界から退場させる。』
公明党は昨年11月、秘書などの会計責任者が収支報告書の虚偽記載をした場合に、監督責任のある国会議員の公民権(選挙権や被選挙権)を停止する独自の政規法改正案を国会に提出した。
公民権が停止されれば被選挙権を失うため、国会議員は国会法の規定によって失職し、政界から退場することになる。
現行法では、国会議員など政治団体の代表者が「会計責任者の選任及び監督」について「相当の注意を怠ったときは、50万円以下の罰金に処する」と定められている。
罰金刑になれば公民権は停止されるが、それは議員が会計責任者の監督だけでなく、選任する際にも「その人柄、能力などの調査に相当の注意を怠ったとき」(総務省政治資金課)に限られる。
すなわち、議員に対しては、会計責任者の「監督」と「選任」の両方の責任が問われなければ、罰金を科せられない仕組みになっている。これでは実効性に欠けている。
公明党の改正案は、会計責任者の「選任及び監督」を「選任又は監督」に変更することにより、会計責任者の違法行為に対して議員の監督責任を問い、公民権を停止するものだ。
これで「秘書がやった」との言い逃れは通用しなくなる。
さらに、公明党の山口那津男代表は政規法の改正に関して「例えば、収支報告書に議員が署名するようにし、議員の責任を問える形としたい」(10日付 本紙インタビュー)とも提案している。
ここまですれば、議員の監督責任を明確に問えるようになるはずだ。
政規法の改正では、よく「政治活動の自由が制限される」などの反対論が沸き起こるが、それは逆に、法改正への対応が「政治家や政党の本気度を測るリトマス試験紙」(山口代表)であることを意味している。
どの政党、どの政治家が政界浄化に真剣か。通常国会では、その「本気度」が試されている。