
(2007年2月9日付 公明新聞から)
<問い>
来年度税制改正では、中小企業支援として、留保金課税の撤廃や事業承継税制の拡充が実現したと聞きましたが、どのような制度ですか。改正点も含めて教えてください。(埼玉県 T・K)
留保金課税の廃止――積極的な経営を後押し
相続時精算課税制度の拡充――事業の円滑な承継促す
地域間格差是正へ公明が強力に推進
まず、留保金とは、企業の収益を社内に留めている資金のことで、経営者とその親族ら少数の株主で経営している同族会社では、法人税とは別に一定額を超えた留保金にも課税される仕組みになっています<図参照>。
大企業などでは、利益の一部を株式配当として株主に還元することが一般的ですが、配当には所得税がかかるため、株主でもある同族会社の経営者は、所得税の支払いを回避しようと、配当を見送ることができます。そこで、所得税の課税回避を防ぐために、留保金課税が導入されました。
しかし、中小企業の多くは財務体質が弱く、新規の事業展開や設備投資のため、配当を抑えて内部資金を厚めにしておかなければなりません。留保金課税は、こうした企業努力の阻害要因と指摘されてきました。
このため、来年度税制改正では、資本金1億円以下の中小企業特定同族会社(一つの株主グループで株式の過半数を保有している企業)を課税の対象外としました。
これにより、多くの中小企業で内部留保がしやすくなり、設備投資などに充てる資金も増え、経営体力の向上につながります。
一方、事業承継税制では、相続時精算課税制度(2003年度創設)が拡充されました。この制度は、親子間での生前贈与と相続に限って、贈与税と相続税を一体的に精算するもので、高齢化した中小企業経営者が後継者に容易に事業を託すことができるよう、生前贈与がしやすくなっている点が特徴です。
現行制度では、生前贈与を行う際の贈与税の非課税枠が2500万円で、短期間に多くの資産の生前贈与を可能にしています。
今後、高度経済成長の時期に創業した中小企業の経営者らの引退が本格化すると予想されることから、早い段階で計画的に後継者に事業を引き継ぎやすくすることが急務になっています。
このため、今回の改正では、非上場株式などを贈与する場合、贈与者(親)の年齢要件を現行の65歳以上から60歳以上に引き下げ、非課税枠を3000万円に拡大しました。
留保金課税撤廃と相続時精算課税制度の拡充は、地域間格差の是正へ、中小企業支援の強化を求める公明党の主張を受けて実現したものです。