使えぬ「繰越金」「資産」をあてにする、いい加減さ
「日本は道路が十分」に根拠なし
暫定税率失効で開かずの踏切、通学路対策に支障も
「暫定税率の期限切れによって、国と地方を合わせて年間約2・6兆円、一日当たり約70億円の税収減が予想されます。このため、既に国民生活や国、地方の財政にも大きな影響が出ています。
国交省によれば、当面の国民生活や地域経済への影響を考え、道路の維持管理や道路に関係する債務で支払い期限が来るものなどを中心に、道路予算全体の約12%にあたる5006億円を措置しています。しかし、予定している歳入に欠損が出て、予算全体の執行ができないため、緊急的なものを除き新たな工事発注は見合わせています。
地方に期待の高い国の直轄事業では、制度上、地方負担金が生じることもあって、現在進行中の117路線・738カ所の事業のうち、57%にあたる419カ所で本年度の予算が配分できず、新たな工事発注を見合わせているという状況です。
この事態が長引けば、国や自治体の財政や地域経済に大きな影響をもたらすのはもちろん、開かずの踏切対策や救急時のアクセス対策、通学路の安全対策をはじめ、国民の安全・安心のための道路事業にも支障を生じてしまいます。
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民主党が主張するように、もし暫定税率が廃止されれば、地方財源は年間約9000億円の減収になります。これについて同党の小沢代表は、テレビ番組などで、地方の直轄負担金を廃止し、道路特別会計(道路特会)の繰越金や資産を流用することで財源を手当てすればよいと主張しています。
しかし本当にそれで大丈夫でしょうか。
暫定税率廃止とともに直轄負担金の制度を廃止し、地方への補助金や道路整備臨時交付金を維持するという民主党の案を実施すると、現在約2兆円ある直轄事業費は5分の1の約4000億円まで激減してしまいます。
それに対し同党は、繰越金や資産を使えと言いますが、そもそも繰越金は、余っているお金ではありません。例えば道路を造る際の用地交渉が遅れたりして、支払いを翌年度に繰り越す場合があります。現在ある約9000億円の繰越金は、そうした性格のもので、ほとんどが契約済みのため、地方財源に回すことなどできません。
また道路特会の資産7兆円は、主に高速道路会社への出資金で、返済予定時期は40年も先です。今すぐに使えるものではないのです。それを今、無理に回収してしまうと、全国の高速道路の運営に支障が出ます。公明党が主張し、政府・与党合意に盛り込まれた高速道路料金の引き下げもできなくなります。
このように民主党の考えは、「対案」といっても財源の手当てがあまりにもいい加減で短絡的、まともに議論するにも値しないものばかりなのです。
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一方、小沢代表らは、日本の道路密度はイギリスやフランスの約2倍、アメリカの約3・5倍あり、日本の道路整備はかなり進んでいると主張しています。
しかし、同党が引用した資料では、日本は市町村道まで含めた約120万キロメートルをベースとしているのに対し、ドイツの道路延長約23万キロメートルには市町村道が含まれていないなど、単純な比較には無理があります。
一方で、時速60キロ以上で走行できる道路、日本でいえば高速道路などの高規格道路ですが、日本より国土面積が狭く、人口も少ないドイツとイギリスで日本の約2倍、約1・8倍それぞれ整備されているという事実があります。これを同党は、どう説明するのでしょうか。
比較できないものを無理やり比べて、自分たちに都合のよい結論に導こうとする民主党の姿勢は、国民から見透かされ始めています。同党は、批判に耐える合理的な政策を掲げ、国民本位の観点で、真っ正面からの協議に臨むべきです。