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読者の質問にお答えします――二重ローン救済「機構」

(2011年8月11日付 公明新聞)

【問い】 「二重ローン」対策で焦点となっている「機構」とはどのようなものか教えてください。(仙台市 M・T)

事業者向け債権を買い取り、債務負担を軽減
野党案 法律制定し使い勝手を良く
政府・民主党案 既存制度活用で対策に限界

 東日本大震災の被災者が事業再建のために新たな借金を抱える「二重ローン」の救済に向け、新設される機関のことです。機構の最も大きな役割は、金融機関が持つ事業者向け債権(借り手への請求権)を買い取り、債務(借金を返す義務)免除などを通じて事業者の債務負担を軽減することです。

 金融庁の調査によれば、被災3県(岩手、宮城、福島県)で買い取りなどの支援が必要な債権額は5500億円を超え、このうち約4500億円が事業者向け債権です。巨額の債務から事業者を救うには、既存の枠組みにとらわれない思い切った支援策が必要です。  このため、公明党は6月に発表した二重ローン救済に向けた提言で機構による債権の買い取りを提唱。その後の民主、自民、公明3党の二重ローン対策実務者協議で機構の新設を主張してきました。

 にもかかわらず、民主党は機構の新設に消極的で、既存の中小企業再生ファンドを活用した案に固執しました。同ファンドは、再生できた企業数が7年半で156社と実績に乏しい上、リターン(利益)を求める傾向が強く、大震災という非常事態にあって十分な成果は期待できません。

 実務者協議でこれらの問題点を指摘された民主党は機構の設立を約束しましたが、その後、政府・民主党が提示した具体案は、既存制度活用の域を出ないお粗末なものでした。

 被災県に「産業復興機構」を新設するとはいえ、実態は中小企業再生ファンドとほとんど変わりません。その上、これに8割を出資するのは中小企業基盤整備機構です。経済産業省所管の独立行政法人で、経産省所管外の農林漁業者などへの支援は期待できません。

 また、政府・民主党案では相談窓口として「産業復興相談センター」を設けるとしていますが、相談窓口と債権の買い取り機関が別々で事業者にとって使い勝手が良くありません。債権の買い取り額は1500億~2000億円と言われており、巨額の債務に対して十分な対応ができるか疑問です。

 結局、機構をめぐって3党は合意に至らず、公明党など野党は7月、機構設立のための「東日本大震災事業者再生支援機構法案」(議員立法)を参院に提出。同29日に参院を通過しました。

 野党が提出した法案では、中小企業や農林漁業者、医療法人などを対象に、機構が相談から支援までをワンストップ(1カ所)で実施(リース契約も含む)。債権買い取りのほか、融資なども手掛け、これらに必要な資金額として2兆円程度を見込んでいます。

 事業者にとって野党案と政府・民主党案のどちらが有益かは明白です。与党は野党案の実現に協力すべきです。

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