読者の質問にお答えします ―― 民主党の「年金流用禁止法案」になぜ反対?

▼答える人▼
参院厚生労働委員会理事 渡辺孝男氏

<問い>
民主党が今国会に提出した“年金保険料流用禁止法案”が2日、野党の賛成多数で参議院を通過しましたが、自民党と公明党が反対したのはなぜですか。(福島 K・I)



 反対の理由は、大きく三つあります。

 『無責任な民主党法案』
 『ムダ排除の仕組みは一切なし』
 『条文に「流用」の2文字なし』
 『新たな財源捻出の具体策なし』


 第一は、法案の趣旨と内容がかけ離れていることです。民主党はこの法案で、年金保険料を財源とするムダな支出をなくして年金制度への信頼回復を図るのが目的としていますが、内容を見ると、単に保険料を財源としてきたものを税金に付け替えているに過ぎず、年金事務費におけるムダな支出を排除する仕組みは一切盛り込まれていません。民主党は、こんな法案を「年金保険料流用禁止法案」と称して、あたかもムダ遣いがなくなるような幻想を振りまいていますが、実態は「年金事務費財源付け替え法案」と呼ぶのが正しいもの。何より“財源の付け替え”だけでムダが排除される訳でないことは、民主党の発議者も認めているところです。

 保険料も税金も国民が負担するもので、その支出のムダを徹底的に排除することは当然です。だからこそ政府・与党は、今年6月に成立した社会保険庁改革関連法で既に、「ムダ遣い」と批判されてきた福祉施設や職員宿舎などを建設できないようにし、保険料で充当できる範囲を年金相談や情報提供など年金給付と密接不可分なものに限定したのです。こうした年金事務費に保険料を充当するのは、諸外国でも一般的に行われており、受益と負担の関係からみても妥当だと思います。

 第二に、法案の内容がいい加減なことです。「年金保険料流用禁止法案」と呼びながら、法案には「流用」の言葉は一切ありませんし、財政法上の「流用」の定義とも異なっています。さらに、この法案の付則第2条に「この法律の施行に伴う関係法律の整理その他必要な事項については、別に法律で定める」と規定していますが、この法律は公布の日から施行するとされているのに、今日に至るまで関係法律の整備等に係る法律案は提出されずじまい。全くいい加減過ぎます。

 第三に、財源確保の見通しが不明確なこと。民主党は、この法律の施行に必要な経費は約2000億円と試算していますが、その積算根拠は過去の傾向を踏まえたに過ぎず、また、その財源の具体的捻出方法も明確にできない無責任ぶりです。

 仮に年金事務費に2000億円を充当すれば、他の福祉施策の財源にしわ寄せが及び、国民生活に影響が出てきます。それは、断じて認めるわけにはいかないとの立場から、公明党は反対を主張しました。

(2007年11月5日付 公明新聞から)