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郵政法案 なぜ強行するのか

与党による採決強行の郵政見直し関連法案は、従来の民営化路線を根底から覆す欠陥法案だ。
同法案の主な問題点をまとめた。
(2010年6月1日付 公明新聞)

『6時間の審議で採決――05年には110時間 改革逆行をゴリ押し』

 第一の問題点は、郵政資金を民間に移し、経済活性化を促す民営化路線を転換し、官業の肥大化を招く点だ。

 郵政見直し関連法案は、現在5社体制の日本郵政グループを3社に再編。ユニバーサル(全国一律)サービスの維持を名目に、同グループへの政府関与を残したまま、金融事業の自由度を広げた。

 政府は、政令改正で、ゆうちょ銀行の預入限度額を2000万円(現行1000万円)、かんぽ生命保険の保険金上限額を2500万円(同1300万円)に引き上げる方針。

 2005年の郵政民営化をめぐっては、衆院で約110時間もの法案審議を行ったにもかかわらず、今回はたった一日、わずか6時間だ。国会で十分な議論をせず、強行採決でゴリ押しする与党の対応は「国会の自殺行為」にほかならない。

『中小企業融資は停滞――郵貯へ預金が流出 民間金融に打撃も』

  官業の肥大化で民間金融機関の経営は圧迫され、中小企業も打撃を被りかねない。

 政府の後ろ盾がある郵貯へ民間金融機関の預金が流出する恐れがあるからだ。実際、1991年実施の預入限度額の引き上げで、ゆうちょ銀行の預金伸び率は大幅に上昇する一方、国内銀行や信用金庫の伸び率は大きく減少した【表参照】

 融資の原資となる預金が減少すれば、融資が滞る恐れがある。景況が厳しい中、苦境に立つ中小企業にとっては死活問題だ。

 さらに、今回の法案では、郵貯、簡保の金融事業について現行の「認可制」から「届け出制」へと変更した。ゆうちょ銀行や、かんぽ生命保険の事業拡大が容易になるが、民間金融機関との競争条件を公平に保てるかは不透明だ。

『安易な国債発行許す――ムダ生んだ「財投」復活か』

  ゆうちょ銀行や、かんぽ生命保険に集まる郵政資金の運用に対する懸念も強い。

 郵貯と簡保を合計した総資産額は約300兆円にも達し、政府は、その大半を安全資産の国債で運用。ただ、今後膨らむ郵政資金も国債運用となれば、政府の安易な国債発行を許し、国の財政悪化に拍車が掛かる。

 一方、政府内では、郵政資金の新たな運用として、公共施設の整備や海外の社会資本整備への投融資などに活用する案が出ている。

 だが、これは「財政投融資」(財投=郵政資金を特殊法人への投融資などに活用する事業)の復活そのもの。財投は国会などのチェックが十分に及ばず、ムダ遣いの温床となっていただけに、今回の案が同じ過ちを繰り返さないか注視が必要だ。

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