変わる税と社会保険料 Q&A

 これまでの税制改正の影響などで、6月以降の税や社会保険料の負担額が変わる場合が出てきます。そこで、読者からの主な疑問にお答えします。
 (2007年6月24日付 公明新聞)


 給与明細を見たら住民税が増えていた

 
地方への税源移譲と定率減税廃止が主な要因
 6月から住民税が増えた原因は、主に国から地方への税源移譲と定率減税の廃止によります。

 税源移譲とは、国の税源の一部を地方自治体(都道府県や市区町村)に移すことです。地方の責任で行政サービスを行うためには、国からの補助金よりも地方自ら集める地方税を充実させる必要があります。それによって、国民生活により密着している自治体が地域の実情や要望に合ったサービスを展開しやすくなります。

 一方、定率減税は所得税で税額の20%(上限は年間25万円)、住民税で15%(同4万円)を差し引く制度で、1999年に導入されました。


 税源移譲で年間の税負担はどうなる

 所得税が減税されているので納税額に変化なし
 税源移譲では、1月から国税である所得税を先行して減税、6月から地方税である住民税を増やします。所得税の減額分と住民税の増額分はほぼ同じですから、基本的に年間の納税額は変わりません。

 このため、税源移譲では、所得税の税率とともに、税負担が増えないよう、住民税の税率も変更されています。

 具体的には、所得に応じて3段階となっていた住民税率が一律10%になる一方、所得税率が4段階から6段階に細分化されました【図参照】。これにより、住民税率が10%に上がっても、所得税率が下がることなどによって年間の合計納税額が同じになります。






 なぜ、定率減税が廃止されたのか

 景気回復への特例措置で導入。経済改善で見直し

 定率減税は、景気回復までの臨時、異例の措置であったため、経済が改善した場合は、見直すことになっていました。

 定率減税の導入当時は、大手金融機関の破たんが相次ぎ、“日本発の世界恐慌”が現実味を増すなど、日本経済は危機的な状況でした。しかし、最近は株価の上昇や失業率の改善などが進み、景気は回復基調です。これを受け、昨年から定率減税の減税規模が半分となり、今年から廃止されることになりました。

 また、定率減税で減った税収は、公債の発行という国の借金で賄っていたため、次世代に借金の“ツケ”を回さないためにも、定率減税の見直しが必要でした。


 定率減税の廃止分は何に使われているのか

 増収分は基礎年金の財源に活用。将来は国民に還元

 定率減税の廃止によって増えた税収は、既にその一部が基礎年金の国庫負担引き上げの財源に充てられており、将来、年金給付として国民に還元されます。

 老後を安心して過ごすには、年金制度の安定化が欠かせません。このため、与党は2009年度までに基礎年金の国の負担割合を3分の1から2分の1に段階的に引き上げることで合意。これを確実に実現します。

 公明党は、03年の衆院選向けマニフェストの中で定率減税の廃止分などを財源に充てるよう主張していました。

 これを逆手に取って、一部野党は公明党を“増税の旗振り役”などと批判していますが、無責任極まりない政治姿勢です。


 住宅ローン減税への影響が心配

 影響分を住民税から差し引けるので大丈夫

 心配ありません。減税額が減らないよう、公明党の主張を受け、特例措置が設けられています。

 住宅ローン減税は、年末の住宅ローン残高の一定割合を所得税額から差し引く措置ですが、今年から税源移譲で所得税が減ったことに伴い、中低所得者で住宅ローン減税の減税額も減る可能性があります。

 そこで、特例では2006年末までに住宅を取得し入居した人について、税源移譲後のローン減税の目減り分を申告により住民税額から控除します。

 また、今年と来年に住宅を取得し、入居した人に対しては、毎年の減税額を減らしつつ、減税期間を延長することで、これまでの減税額を確保しています(従来の制度との選択制)【図参照】。






 高齢者の住民税負担はどうなる

 世代間の負担の公平性確保へ、非課税措置を段階的に廃止

 高齢者は、税源移譲や定率減税の廃止のほか、老年者非課税措置の廃止により、住民税の負担額が変わる場合があります。

 老年者非課税措置とは、65歳以上で年間所得が125万円以下の高齢者を住民税非課税としていた制度です。課税される最低限の所得が現役世代の給与所得者よりも高かったことを踏まえ、世代間の負担の公平性を図るために、2005年度の税制改正で廃止が決定。

 しかし、税負担の急激な上昇を抑えるため、公明党の強い主張により、05年1月1日時点で65歳以上の高齢者を対象に、昨年から3年をかけて段階的に廃止することになっています。


 国民健康保険料と介護保険料も変わるのか

 一部地域で住民税増額や非課税措置の廃止により影響

 東京23区などの自治体では、6月以降、国民健康保険料がアップする場合があります。これは、保険料を決める基準を住民税額にしているため、住民税の増額によって起こるものです。

 40歳から64歳までの自営業者などの国民健康保険料には、介護保険分が含まれていますが、介護保険分が住民税額を基にしている自治体があり、このような場合も住民税の増額により保険料が上がる可能性があります。

 また、65歳以上の介護保険料は、老年者非課税措置の廃止などの影響で保険料段階が上がり、保険料もアップする場合があります(自治体では、3年かけて段階的に引き上げる緩和措置を設けています)。


 保険料の増加は生活に影響する

 政府、自治体で急激な負担を緩和する対策を実施中

 社会保険料の急上昇を抑えるため、政府や自治体では、軽減措置を導入しています。

 このうち、政府は低所得世帯を対象に、所得額に応じて保険料の均等割(国民健康保険料を計算する上で加入者一律に課す)を2―7割減額する制度を実施。また、2005年の年金課税の見直しに伴う措置として、保険料を決める際、住民税額から一定額を差し引く制度なども導入しています(昨年から2年間の措置)。

 一方、自治体では保険料の計算式を変更して、負担額の増加を調整しているほか、地方議会公明党の要請などを受け、低所得者の保険料の減免などを行っています(具体的な制度の内容は自治体により異なります)。


 保険料と税の関係性を見直せないか

 公明の主張受け、政府が見直しを検討中

 住民税に連動して社会保険料が上昇する仕組みは、国民生活に影響を与えかねません。例えば、高齢者の介護保険料は、住民税の課税状況などによって大きな差があり、市町村民税非課税だった高齢者が非課税措置の廃止などで課税されるようになると保険料が大きく上がります。

 そこで、公明党は高齢者の介護保険料を決める際は所得の増減に比例して緩やかに保険料が変化する仕組みに改めるよう求めています。

 これに対し厚生労働省は、省内に検討会を設け、高齢者の負担に配慮した制度への見直しを含めて、介護保険料のあり方を検討しています。