新たな平和貢献の舞台へ――荒木清寛参院議員に聞く


省庁のあっせん禁止
基本法制定し、人事制度全般も見直し

 27日の参院本会議で国際刑事裁判所設立条約(ICC規程)が承認されICC協力法案も可決、成立しました。政府は必要な規則などを整備し夏に加入書を寄託、10月の加入実現を目指します。公明党・ICC設立条約早期批准推進小委員会座長の荒木清寛参院議員に加盟の意義などを聞きました。

『「法の支配」を確立』
『「暴力の連鎖」断つ役割担う』
『武力紛争の再発防止を願う』


――公明党が国際刑事裁判所(ICC)加盟を推進した理由は?

荒木清寛氏 ICCが「人道の世紀」を開くカギを握っているからです。世界は1989年の冷戦終結で平和を期待しましたが、その後も地域紛争や内戦など複雑な背景をもつ武力紛争が頻発しています。しかも停戦が実現し新出発をしたかに見えた国が、紛争に逆戻りする例も相次いでいます。国連は、90年代に一度は紛争から抜け出した国の約半数が5年以内に再び暴力の世界に戻って苦しんでいると報告しています。

 再発の原因を探ることは困難ですが、紛争中の重大犯罪の責任を不明確にしたことが復しゅうなど「暴力の連鎖」を招いていることも事実です。そのため国際社会は、重大犯罪を犯した者は例え最高権力者や将軍であっても責任を追及し、「何が正義か」を明確にすることで「暴力の連鎖」を断ち切ろうと考えたのです。ICCはそのための国際機関であり、「法の支配」の確立を通して「人道の世紀」を開く可能性をもっています。

 日本はこのICC加盟によって、国際平和に向けた新たな貢献の舞台に上がることができます。


『マニフェストに掲げ取組む』

――公明党は加入に向けてどう取り組んだのか?

荒木 ICC設立条約(ICC規程)が採択されたのは98年7月。新しい公明党が出発する4カ月前でした。公明党は11月の結成大会で「国際刑事裁判所の創設推進」を含む基本政策大綱を採択、国会での活動を開始しました。

 神崎武法代表(当時)も先頭に立ち、2002年2月の衆院本会議代表質問で、ICC早期加盟は「『人道大国』としてわが国が目指すべき方向」と主張。同5月には党内にICC設立条約早期批准推進小委員会を設置し、私が座長に、遠山清彦参院議員が事務局長になり、本格的活動に入りました。03年のマニフェスト(政策綱領)にも掲げました。

 また、昨年6月には自民党のICC議員連盟と共に財務省など5省庁に早期加盟の提言書を提出。ついに10月、参院予算委員会で公明党の魚住裕一郎氏に対し、安倍晋三首相が政府として正式に「07年中にICC規程を締約できるように進める」と表明しました。


『侵略、テロ問題で議論を主導』

――加盟後、日本はどのような貢献をすべきか?

荒木 まず09年にICC規程の見直し会合があります。そこで、懸案事項である「侵略の罪」の定義や、さらに、テロ行為をICCの対象犯罪にすべきか否か、また、大量破壊兵器の使用を戦争犯罪に含めるか否かという諸問題についても、平和国家として議論をリードすべきです。また、裁判官の選挙もあるので、日本人の裁判官誕生も目指したいと思います。

 また、国連安保理の常任理事国でありながら未加盟の米、中、ロ3カ国や、加盟国が少ないアジア諸国に対し、日本は粘り強い対話で早期加盟を訴える努力をすべきでしょう。


『今秋、国際刑事裁判所に加盟』
『個人の責任裁く常設裁判所』
『ICCの仕組み』 




 国際刑事裁判所(ICC)は、(1)民族など集団の破壊を意図した集団殺害(ジェノサイド)(2)奴隷化や拷問、性暴力などの人道に対する罪(3)民間人や非軍事目標に対する攻撃などの戦争犯罪(4)侵略の罪――を対象犯罪とし、それらを犯した個人の刑事責任を追及し処罰する初の常設裁判所((4)は定義がまとまらず将来の課題に)で、現在、104カ国が加盟している。1998年にICC設立条約(ICC規程)が国連主催の会議で採択され、2002年7月に発効。03年3月にオランダのハーグで正式に発足した。

 ICCは世界のどこで起きた事件でも捜査・訴追できるわけではなく、国家主権に配慮した「補完性の原則」の採用により管轄権は限定される。「補完性の原則」は、被疑者の捜査・訴追は基本的に加盟国が行うという原則。加盟国に訴追の能力や意思がない場合、始めてICCが捜査・訴追に乗り出す。

 ICCの管轄権は、犯罪の実行地国(犯罪が行われた国)が加盟国か否か、また、被疑者(捜査対象の人)の国籍国が加盟国か否かで変わってくる。

 まず、実行地国が加盟国の場合、被疑者の国籍国がどこであっても管轄権がある。次に、実行地国が非加盟国の場合、被疑者の国籍国が加盟国であればICCに管轄権があるが、非加盟国の場合には(1)実行地国または被疑者国籍国がICC管轄を認めれば管轄権があるが、(2)実行地国、被疑者国籍国ともにICC管轄を認めなければ管轄権は及ばない。管轄権があれば(1)加盟国による付託(2)国連安保理による付託(3)ICC検察官の独自の捜査着手――のいずれかで動き出す。

 ICCの手続きは、裁判部の予審部が捜査令状を発布、公判部が審理し判決を下す。上訴は上訴部が担当する二審制。刑罰は無期または30年以下の拘禁刑。合わせて罰金刑も可能。死刑はない。裁判官は18人(任期9年、3年ごと6人ずつ改選)。現在、ウガンダ、コンゴ民主共和国、スーダンで活動中。

(2007年4月30日付 公明新聞)