
少子高齢社会においても持続可能な医療制度を構築するための医療制度改革関連法案の審議が、いよいよ国会で始まります。同法案には「国民の目線」に立った公明党の主張が数多く反映されています。本格論議を前に、改革のポイントを福島豊・公明党社会保障制度調査会長(衆院議員)に聞きました。
??なぜ今、医療制度改革が必要なのですか。
福島会長 高齢化の急速な進行で、医療費は増加の一途をたどっており、その適正化をどのように図るかが急務の課題となっています。
厚生労働省の推計では、現在31・5兆円の国民医療費は、2025年には65兆円にまで膨らむと見込まれています。

今後20年間で増加する約30兆円の医療費は新たに国民が保険料か、税金か、医療機関の窓口で負担しなければなりません。人口減少社会の中で将来世代の負担を軽減するためには医療費の伸びを抑制することが必要です。
今回の改革は、乳幼児期から高齢者まで、誰もが、いざという時に安心して医療を受けられる、わが国が世界に誇る「国民皆保険」の医療制度を、将来にわたって維持するために、医療費の増大を国民にとって負担可能な範囲で適正化することが目的です。
時機を失うことなく、将来の変化を織り込んだ改革を実現することは、まさに政治の責任であると考えます
◎治療重点から「予防重視」の医療に
◎75歳以上の高齢者に新保険制度を創設
◎都道府県単位で保険者を統合・再編
◎70歳以上の現役並み所得者は3割負担へ
?? 改革の柱に「安心と信頼の確保」が掲げられています。
福島 そうです。単に財政の観点からの改革ではなく、医療の質と安全性を高め、国民の信頼に応える医療を実現するという改革でなくてはなりません。このため今回の医療制度改革関連法案には、医療事故を防ぐための安全対策の充実や、小児科、産科など診療科による医師不足、また、へき地の医師不足への対応など、同時に盛り込まれています。
さらに、(1)受診した医療の細目が分かる領収書の発行の義務付け(2)複数の医師の判断を聞くセカンドオピニオンの推進(3)患者が医療機関を選ぶための情報を都道府県が提供する制度の創設??なども盛り込まれています。
??「医療費の適正化」については。
福島 これまでの治療に重点を置いた医療から、「予防重視の医療」への転換を図ることが大きな柱です。
食事や運動の習慣など、早い段階での生活習慣の改善が、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を抑制し、結果的に、心血管疾患や脳血管疾患を減少させ、医療費の増大を抑えることにつながります。
また、医療費のムダをなくすことも重要です。患者負担の軽減につながる対策として、医薬品では同じ効力で安価な「後発医薬品」の使用拡大や、世界に比べて極めて長い平均在院日数(36・4日)の短縮をめざします。
??そうした中長期的な医療費適正化対策に加え、短期的な対策としての医療費の窓口負担はどう変わりますか。
福島 高齢者に関しては、今年10月から70歳以上の現役並みの所得者(夫婦2人で年収約620万円以上。08年8月からは同520万円以上)の患者負担が現行の2割から3割に引き上げられます。また、08年度から、70〜74歳の患者負担が1割から2割に引き上げられます。
療養病床に入院している高齢者の食費、居住費については、すでに自己負担となっている介護保険施設の入所者との公平を図る観点から、自己負担していただくことになります。
厚労省の当初案では一般病棟の食費、居住費についても自己負担化の対象になっていましたが、公明党の反対で見送られました。
公明党の主張が随所に反映
◎患者負担額は低所得者に配慮
◎乳幼児負担軽減を3歳未満から小学校入学前までに拡大
◎出産育児一時金を30万→35万円に拡充
??公明党の主張はどのように反映されていますか。
福島 今回の改正に当たって公明党は、(1)「国民の目線」に立った改革(2)少子化への配慮(3)年金生活者など高齢者負担への配慮??を一貫して主張してきました。
この結果、負担が2割に引き上げられる70〜74歳については、年収が年金80万円以下の低所得者や、住民税非課税世帯の自己負担額の上限を現行通り(外来で月8000円、入院を含む世帯の合計で1万5000円または月2万4600円)に据え置くことと同時に、患者の負担を軽減するため従来の償還払い制度を見直し、窓口で自己負担限度額のみ払えばよいという制度に変わります。
少子化対策の観点では、出産育児一時金が今年10月から現行の30万円から35万円に5万円引き上げられ、3歳未満を対象にしている乳幼児の負担軽減措置(2割負担)が08年度から小学校入学前までに拡大されます。
また、医療保険と介護保険の自己負担の合計が著しく高額になる場合には、上限を設けて負担を軽減する制度が創設されます。
さらには、小児科や産科、へき地の医師不足への対応について、診療報酬で配慮がなされると同時に、都道府県単位で医師不足対策の推進が規定されました。
このように、今回の改革では公明党の坂口力元厚労相が先頭に立ち進めてきた医療の安全や予防の推進、また子育て支援の拡充などさまざまな施策が大きく前進したのと同時に、国民の負担の変化へのきめ細かい配慮を求めた公明党の主張が数多く反映されています。
??「新たな保険医療制度体系を実現」については。
福島 これには二つのポイントがあります。
一つは、超高齢社会を見据え、75歳以上の後期高齢者を対象とした新たな保険制度を08年度に創設します。
これは、保険料負担の世代間の公平を図り、現役世代の負担の透明性を確保するためのものです。もちろん、高齢者の方々にとって大きな負担増にならないように経過措置を設けたり、十分に配慮していきます。併せて、診療報酬体系についても高齢者の特性に合わせた体系を創設することとなっています。
もう一つは、政府管掌健康保険の都道府県単位の運営など都道府県の関与を強化することです。これは都道府県単位での医療費の適正化の取り組みと医療保険の運営をリンク(連動)することを図ったものであり、医療費の適正化が進めば保険料の水準もそれに応じて引き下げることも可能とするものです。