「100年安心」は揺るがず――年金めぐり、福島社会保障調査会長に聞く


出生率の向上は十分可
少子対策は公明のトータルプランに
運用利回り大きく、年金積立金は増加
公明の推進で3月から「ねんきん定期便」(年金情報を提供)
 少子高齢化が進行する中で、老後の生活を支える公的年金に国民の高い関心が寄せられています。新人口推計の影響や被用者年金の一元化など当面する年金の諸課題について福島豊・党社会保障制度調査会長に聞きました。


――昨年12月に発表された「日本の将来推計人口」で、将来の出生率が前回推計より低く見積もられたことを受け、年金の100年安心プランは大丈夫かとの声が上がっています。

福島・社会保障制度調査会長 100年安心プランの本質は、少子高齢化が急速に進んでいく中にあって、若い世代の負担を青天井で上げるのではなく、上限を明確にした。これが一つのポイントです。

 一方で保険料に上限を設ければ給付が下がる。これについては、積立金を取り崩すという大きな政策転換によって、モデル世帯で現役時代の50%は保証するという給付の下限を設けることができた。これが二つ目のポイントです。
 
 そして2100年までの約100年間にわたる超長期の年金財政の安定した見通しを立てさせました。

 当然、人口推計が変われば、財政見通しに影響します。しかし、足下の出生率の低下が実際に年金財政に影響を及ぼすのは20年先のことであり、直ちに年金の給付に影響が出るわけではありません。今、生まれた子どもが被保険者として年金の支え手となるまでには時間差があるのです。

 100年安心プランの出生率の前提は50年時点で1・39。現在は1・26(05年)ですが、必要な対策をとれば出生率のアップは十分に可能です。

 厚生労働省は19日、国民の結婚や出産に関する希望がすべて満たされた場合、40年時点の出生率が1・75にまで高まるとの試算を発表しました。希望と現実のギャップを3分の1解消できれば、1・40に上昇する見通しを示しています。未来はこれからの取り組み次第です。
 
 だからこそ公明党は、子育て支援の重要性をいち早く訴え、わが国の少子対策を切り開いてきました。今後も具体的な処方箋として、公明党が策定した少子社会トータルプランを着実に実現していきます。
 
 また、年金財政に影響を与えるのは出生率だけではありません。景気回復は年金財政に大きな追い風となり、特に積立金の運用<グラフ参照>は100年安心プランの前提を大きく上回っています。05年度の年金積立金の実質運用利回りは同プランの前提(0・50%)を6・51%も上回りました。


<注> 「国共済」は国家公務員共済。「地共済」は地方公務員共済。
「私学共済」は私立学校教職員共済。保険料率は労使で半分ずつ負担。
 
 これらのプラス要因を受け、05年度は、同プランの前提では厚生年金、国民年金ともに収支が赤字で合計で3・8兆円の積立金を取り崩す見通しでしたが、逆に2・1兆円を積み増し、積立金残高は150兆円を突破しました。このように足下の年金財政は堅調であり、いたずらに危機感をあおるのは誤解を招くものです。年金財政はさまざまな要因をトータルに判断することが重要です。


――07年度予算案でも基礎年金の国庫負担割合が引き上げられました。

福島 大事なことは保険料だけで年金制度が支えられているわけではなく、税金がもう一つの柱としてあります。

 公明党は前回改正で基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げるよう強く主張し、09年度までに2分の1に引き上げることが法律に明記されました。

 それに基づき毎年、税の投入割合を高めています。人口構造の変化にも安心できる年金制度とするためには、税で支える割合を高めていくことが不可欠です。


――被用者年金の一元化に関する基本的な考え方は。

福島 最大のポイントは官民格差の是正です。公務員の共済年金では、3階部分の職域加算が税金で賄われており、「民間より優遇されている」と国民から批判の声が上がっています。

 もう一つは、公務員も厚生年金のグループに入ることによって、保険集団が拡大され、制度の安定性をより一層高めていくことができます。

 政府・与党は昨年末、被用者年金一元化の基本方針で合意し、10年度に公務員の共済年金を廃止し、厚生年金に統合することになりました。

 これで民間サラリーマンと公務員との間で同一保険料・同一給付が実現。公務員の職域加算は廃止されます。公明党は被用者年金の一元化による官民格差の是正をマニフェスト(政策綱領)に掲げ、公務員の共済年金を厚生年金に統一する形での一元化を強力に推進してきました。


――社会保険庁改革については。

福島 昨年の臨時国会に改革法案を提出しましたが、その後も社会保険庁の不祥事が相次いで発覚し、国民の不信感が極まりました。

 そこで公明党は自民党との協議で、「今のままでは国民の理解が得られない、もう一度、一から議論をして改めるところは改め、真に解体的出直しにふさわしい内容にすべき」と主張し、昨年末の与党年金制度改革協議会で新たな基本方針が合意されました。

 基本方針では、社会保険庁を廃止、解体。運営業務は非公務員型の公的新法人を設立して担わせることになりました。その際、人員は大幅に削減。「民間にできることは民間で」との基本的な考え方のもと、第三者機関が事業仕分けを行い、民間への業務委託を積極的に推進します。

 一方で国の制度としての年金の信頼を損なわないために、公的年金にかかる財政責任と管理責任は国が担います。

 国税庁との統合の議論もありましたが、保険料の徴収をすべて国税庁に統合するのは事務的な面でかえって非効率になる可能性があります。そこで悪質な滞納者について国税庁に委託して強制徴収を行います。

 全体として組織がいくつもに分割されて、解体的出直しにふさわしい内容になりました。


――パートへの厚生年金の適用問題は。

福島 国民の間に賛否両論がありますが、少なくとも正規雇用者と同様の働き方をしているパート労働者について、処遇面で格差があってはなりません。


――国民に分かりやすい年金制度とするため、加入者への情報提供が進みますね。

福島 公明党の推進で、08年4月から、国民年金と厚生年金のすべての被保険者を対象に、保険料納付実績や年金額の見込みなど年金に関する個人情報を分かりやすく提供する「ねんきん定期便」が送付されます。

 同定期便は一部前倒しで実施され、07年3月からは35歳になった人に、07年12月からは45歳になった人に対して、加入期間の履歴を通知。また、07年12月から、55歳以上の人には保険料納付実績や年金額の見込みを先行してお知らせします。


(2007年1月27日付 公明新聞)