『非公務員の新法人設立』
『国民の信頼回復へ効率的な業務を可能に』
『公明党が“解体的出直し”主導』
公的年金の運営を再構築するため、現在の社会保険庁を廃止し、非公務員型の年金新組織(日本年金機構)に保険料の徴収事務などを引き継ぐ社会保険庁改革関連法案の国会審議が進んでいます。そこで、公明党社会保障制度調査会長の福島豊衆院議員に、改革を進めてきた公明党の取り組みや法案のポイント、民主党案との比較などを聞きました。
――社会保険庁改革に対する公明党の取り組みは。
福島豊社会保障制度調査会長 5月8日の衆院本会議で審議入りした政府・与党の社会保険庁改革関連法案は、改めて出直したということもあって、与党がリーダーシップを発揮して徹底した改革を実現するためにとりまとめたものです。
具体的には社保庁を廃止し、公的年金の財政責任、管理運営責任を厚生労働相に引き上げた上で、業務の実施については、新たに非公務員型の年金新組織を設置し、厚労相の直接的な監督の下で、一連の運営業務を行わせるものです【図参照】。年金新組織を「法人化・非公務員化」することが最大のポイントです。
ここに至るまでには、社保庁のさまざまな不祥事、その組織のあり方に対して、国民、メディアなどから多くの批判を受け、当初、非公務員化ということに対して官僚側からの抵抗もありましたが、徹底した改革を行うため、今回の改革の断行を決断したわけです。
――2004年に発覚した社保庁の不祥事に対し、是正措置も取られてきましたが。
福島 04年に発覚した社保庁による年金保険料のムダ遣いや加入者情報の漏えい、幹部職員による収賄、納付率低下などで厳しい批判を浴びたことに対し、当時の坂口力厚生労働相(公明党)が社保庁改革私案を発表(04年6月)し、改革を主導しました。
内容は、民間からの長官登用、内閣官房長官のもとに有識者会議を設置し組織のあり方を検討することが柱です。
同年7月に損害保険会社副社長だった村瀬清司氏が初めての民間出身の長官に就任し、改革が本格化。同年11月に「緊急対応プログラム」、05年9月に「業務改革プログラム」が策定され、社保庁内部での改革が進められました。そして06年の臨時国会に社保庁の改革法案が提出されました。
しかし、その後も不祥事が相次いで発覚し、国民の不信感が極まりました。そこで公明党は自民党と協議し、「もう一度、一から議論して改めるところは改め、真に解体的出直しにふさわしい内容にすべき」と主張。06年末の与党年金制度改革協議会で新たな基本方針を合意し、社保庁を廃止、組織を6分割し、今回の解体的出直しにふさわしい内容になりました。
――政府・与党の社保庁改革関連法案が優れている点について。
福島 一つは、年金新組織を法人化し非公務員化することによって、効率的な業務実施組織にふさわしい人事管理が可能になる点です。
二つ目は、巨大組織だった社保庁を解体、機能に応じて分割し、それぞれの組織の目的の明確化、ガバナンス(統治)の効きやすい組織にすることです。
三つ目は、行政組織のスリム化を進める新しい仕組みをつくることです。民間企業に委託できるものは委託し、独立行政法人などの法人化を進め、事業運営の効率化を進めます。
大切なポイントとして、第三者機関による事業の仕分けを進め、年金新組織が単なる看板の架け替えにならないよう進めていきたいと思います。また、保険料の未納の問題について、社保庁改革の目的の一つは、納付率を上げることにあったわけです。これについては、独立行政法人化、非公務員化することによって、能力と実績に基づく人事管理ができ、事務の効率化に向けたインセンティブ(意欲)を与えることができます。民間に任せた方が効率も上がり、徴収率の向上にもつながることが期待できます。
一方、非常に悪質な滞納には、国税庁という強力な組織を活用し、強制徴収を行います。効率化を図ると同時に、さまざまなケースに対応できるような仕組みを構築することが、今回の法案によってできます。
『民主の歳入庁法案 巨大な官僚組織、改革に逆行』
――民主党が歳入庁法案を提案していますが。
福島 政府・与党案は、年金新組織を法人化し、非公務員化しているのに対して、民主党案は、社保庁と国税庁を統合した「歳入庁」を設置し、公務員のまま残すとしています。
公務員のまま国税庁と統合することは、看板を架け替えて「焼け太り」させるだけで、巨大な官僚組織をつくってしまい、改革とは逆行するのではないでしょうか。
民主党の歳入庁法案は、国税庁の所得情報や徴収ノウハウを活用することで年金保険料の未納をなくすと説明していますが、国民年金の被保険者には所得税が非課税の方々も非常に多く、国税と徴収の対象が大きく異なり、国税庁のノウハウの活用で徴収率が上がり未納がなくなるとは思えません。
――最近、年金記録の問題が指摘されていますが。
福島 マスコミ報道によると、基礎年金番号漏れ5000万件などの年金記録に関する課題が指摘されています。
1997年(平成9年)1月、年金相談や年金裁定(年金の受給権を確定)時の記録確認に手間や時間がかかるといった問題、届け出漏れを解消するため、国民年金や厚生年金など公的年金制度に加入する人の年金記録を一元的に把握する基礎年金番号をスタートさせました。
ところが、基礎年金番号導入の経緯の中で、例えば、退職後に結婚したり、再就職の際にさまざまな理由で別の年金手帳番号を交付された場合などがある中で、97年当時に加入していた年金手帳記録番号のみが基礎年金番号として付番され、その他の番号は旧来の番号のまま管理されるという状態が続いているケースがたくさん存在しています。
基礎年金番号漏れ5000万件というのは、基礎年金番号を導入する前の加入履歴5000万件が未統合のまま記録が残っているということです。基礎年金番号を導入する際に、国民の皆さま一人一人に政府として通知しましたが、統合の手続きをされた方は一部の方にとどまったのです。
年金受給年齢に到達していない多くの方は、年金受給の際に統合すればよいという考えの方もたくさんおられたのではないかと思います。いずれにせよ、こうした記録はなくなるわけではありませんので、裁定の際の統合の手続きなどにより統合されていく過程の一つの局面だととらえられると思いますし、現に、毎年100万件を超える裁定を行う中で整理され、逐次減ってきております。
しかし、その中で、自分の納めた年金記録がなくなったりして、年金受給の権利が侵されるようなことがあってはならないと考えています。
そこで公明党が推進し、08年4月から、国民年金と厚生年金のすべての被保険者を対象に、保険料の納付実績や年金額の見込みなど、年金に関する個人情報を分かりやすく提供する「ねんきん定期便」が送付されます。この定期便は、07年3月からは35歳になった人に、07年12月からは45歳になった人に対して、前倒しして加入期間の履歴を通知。また、07年12月から、55歳以上の人には保険料納付実績や年金額の見込みを先行してお知らせすることになっており、こうした統合も進んでいくと思います。
社会保険庁では、こうした年金記録についてのお尋ねなどに対して年金相談特別体制を敷いて対応していますが、過去の年金の記録に疑問がある場合など一人一人の立場に立って丁寧な対応を進めるよう公明党として要請しています。
(2007年5月16日付 公明新聞)