
日本人の死亡原因の第1位である、がん対策の前進は国を挙げた急務の課題となっています。公明党は昨年6月にがん対策プロジェクトチームを発足させ、以来、党独自の提言をまとめ上げるなど、がん対策強化を積極的に推進してきました。そこで同プロジェクト座長の浜四津敏子代表代行に、がん対策の現状や、公明党の取り組み、今後の課題などについて話を聞きました。
??わが国のがん対策をどう見ていますか。
浜四津座長 わが国では、国民の2人に1人が、がんにかかり、3人に1人が、がんで亡くなっています。がんで亡くなる方は年間30万人にも上っています。しかも、がんにかかる率(罹患率)や死亡率は、ともに上昇を続け、誰がいつ、がんを発症しても不思議ではありません。多くの国民が大きな不安を感じています。
国は、過去20年間にわたり、がん対策を講じてきました。現在、がんの発症率や死亡率を減少させるため、「第3次対がん10カ年総合戦略」を実施しています。しかし、罹患率や死亡率が上昇していることをみても、がん対策が十分な成果を挙げているとは言えません。また、がん対策予算が少ない上に、「取り組みも遅く、体制がバラバラで効果も低い」と患者団体などから指摘されてきました。
?? 公明党が、がん対策強化に本格的に取り組むきっかけは。
浜四津 昨年春、あるがん患者団体の方から、「ぜひ、直接会って話を聞いてほしい」との電話をいただきました。すぐに患者さんやご家族、サポート(支援)される方々に直接お目にかかりました。
お話を聞いて分かったことは、患者さんやご家族の8割以上が日本のがん医療に不満を持っておられることです。そして、良い病院や医師を探してさまよう患者の姿は“がん難民”と称されるほど深刻であることなど、さらに本腰を入れた対策の必要性を痛感しました。
一方、欧米では日本と違って、がんの罹患率、死亡率ともに減少を続けています。「いったい、どこが日本と違うのか。日本のがん対策の問題点を明らかにし、一刻も早く取り組まなくてはならない」との思いで、公明党は昨年6月9日、「がん対策プロジェクトチーム」を発足させました。これまでに16回にわたって、識者を招いての勉強会や関係者との意見交換、病院などの現場視察を精力的に行ってきました。
??調査活動や現場の視察で浮かび上がった課題は。
浜四津 要約すると、大きく七つの問題点が浮かび上がってきました。一つは、住む場所や病院によって、治療の内容、レベルに大きな差がある、地域間・病院間格差です。その結果、多くの患者さんが標準的ながん治療すら受けられずに亡くなっています。
二つ目に、海外で承認されている抗がん剤が日本で未承認のために使用できず、遺伝子治療や免疫治療などの先進的がん治療も日本では受けられません。
三つ目に、放射線療法や化学療法などの、がん治療専門医の圧倒的不足。
四つ目に、がん患者に対し、外科、内科、放射線科、精神科などの各医師や、看護師、薬剤師などがチームを組んで治療にあたる「チーム医療」が日本で普及していないため、患者さんが最適な治療を受けられる体制になっていません。
五つ目に、患者さんが治療のための情報を得ることや、安心して相談できる窓口が不十分。
六つ目に、がん治療にとって早期発見・早期治療が不可欠にもかかわらず、欧米でのがん検診受診率80〜90%に対して、日本では10〜20%と極めて低いこと。
七つ目に、終末期医療および緩和ケアが不十分で、医学教育の見直しが必要ということです。
??それらの課題に対する公明党の取り組みは。
浜四津 法私は、昨年9月29日の参院代表質問で、この問題点を取り上げ、小泉純一郎首相に日本の国家戦略として、がん対策に取り組むよう求めました。これに対し、小泉首相から「患者や国民の立場に立ったがん医療の充実に努める」との前向きな答弁がありました。
また、昨年7月には来年度の予算要望を厚生労働相に行いました。こうした結果、12月24日に決定した来年度の予算政府案では、今年度144億円だった、がん関係予算が、来年度は159億円に10%以上も増額され、公明党の要望が大きく反映されています。
予算政府案に盛り込まれた主な施策は、(1)乳がんの早期発見に有効なマンモグラフィの緊急整備(2)禁煙支援、生活習慣改善によるがん予防の推進(3)地域がん診療拠点病院の機能強化(4)がん専門医の育成(5)終末期医療の充実(6)がん医療技術の開発振興(7)がん情報センターの設置??などです。
??公明党はがん対策の推進へ提言も発表していますが。
浜四津 公明党のがん対策プロジェクトチームは、これまでの取り組みを踏まえ、今後の国のがん対策を大きく前進させるため、患者さんやご家族など国民の皆さまの声を反映した「がん対策の推進に関する提言」を取りまとめ、昨年11月16日に文部科学相、17日に厚労相にそれぞれ申し入れました。
提言では、(1)患者・家族の声を反映したがん政策の改革(2)早期発見・予防の強化(3)副作用や合併症の積極的予防(4)地域・病院間格差の是正(5)医療水準の飛躍的向上(6)緩和医療、終末期医療の充実(7)がん研究の推進(8)国際連携および国際貢献の強化(9)代替医療の研究促進??の9分野にわたり、具体的ながん対策の実施を求めています。
公明党は、多くの国民の皆さまの不安を解消するため、いつでも誰もが自由に、がん検診が受けられる「検診体制」の整備、がんと診断された時に、日本中のどこにいても必要な情報が得られ、安心して相談でき、的確ながん治療が受けられる「がん予防・治療先進国・日本」をつくるために、これからも党を挙げて、がん対策強化に全力で取り組んでいきます。