誰もが尊重される国に――「ユニバーサル社会」で浜四津代表代行に聞く


“心のバリアー”取り払う
全ての人が能力発揮し、輝く「共生・共助」を促進
「一人を大切に」との公明党の理念を具現化
 公明党が強く推進している「ユニバーサル社会」の形成について、読者から「イメージがつかみにくい」「分かりやすく教えてほしい」などの声が寄せられました。そこで、浜四津敏子代表代行(与党ユニバーサル社会形成促進検討プロジェクトチーム副座長)に、ユニバーサル社会の定義や意義、実現に向けた取り組みなどについて聞きました。


――「ユニバーサル社会」とは、どのような社会のことですか。

浜四津 「障害の有無や性別、年齢、国籍などにかかわらず、すべての人が自分の能力を発揮して、自分らしく幸せに生きる社会」です。ぴったりする日本語がありませんが、あえて言い換えるなら「共生・共助社会」と言えると思います。


――もう少し、分かりやすく言うと。

浜四津 ソウル・パラリンピックで活躍し、また長野パラリンピック開会式では感動の歌声を披露したレーナ・マリアさんという女性がいます。彼女は、生まれながらに両腕がなく、左脚は右脚の半分の長さしかありませんが、歌手としても、画家としても大活躍しています。レーナさんは私に「障害を持って生まれて本当によかったと思います。障害は私の個性の一つです。そしてスウェーデンに生まれて本当によかった。子どものころから『あなたは価値のある人。やろうと思えば何でもできる』と言われて育ちました。障害が理由でできなかったことは何もありません」と、にこやかに語ってくれました。

 「ユニバーサル社会」は、レーナさんのような豊かな生き方をすべての人に可能にする社会です。日本をそういう社会へ大転換したいと考えています。


――ユニバーサル社会のための「基本法」づくりに取り組もうとしたきっかけは。

浜四津 1990年、米国で「障害を持つアメリカ人法」(ADA)が成立しました。これは社会のあらゆる分野で障害者が参加する機会を平等に保障する法律です。当時、日本では障害者は大切に保護すべき、という考え方でしたから、法律の理念と日本の現状との違いに大変ショックを受けました。

 参院議員に当選させていただいてから、「『日本版ADA』をつくりたい」と思い続けてきました。10年ほど前に、障害者を「チャレンジド」(挑戦する使命を与えられた人)と呼んで、「チャレンジドを納税者に」という画期的な運動を展開している社会福祉法人のプロップ・ステーション理事長・竹中ナミさんと出会い、意気投合。以来、与党でプロジェクトチーム(PT)を立ち上げて視察や勉強会を重ね、立法化への準備を進めてきました。


――与党で検討中の法案の内容は。

浜四津 現在、与党PTでまとめている法案の概要では、(1)障害の有無、性別、年齢等にかかわりなく、すべての人が能力と個性を活かす元気な社会(ユニバーサル社会)を総合的・計画的に推進(2)そのために、それぞれの特性に対する理解の促進や、能力・個性を発揮できる機会の創出、相互の意思疎通、共助・協働の促進に取り組む(3)国は基本計画を策定。地方自治体は基本計画を定めるよう努める(4)内閣府に「ユニバーサル社会形成促進会議」を設置――などが柱です。


――この基本法が制定されると、どんな効果が期待されますか。

浜四津 わが国は、今、経済の衰退、地域や家庭の荒廃、少子化、無差別殺人の多発など、大きな課題に直面しています。それは「立場の弱い人、ハンディのある人が、社会の片隅に追いやられていることと無縁ではない。根っこは同じだ」と私は考えています。

 誰もが平等に社会に参加して、いきいきと生きることができる社会になれば、社会全体に活力が生まれ、新産業が興り、経済も活性化するでしょうし、地域や家庭も再生していくと信じます。


――男女共同参画や、障害者など、各分野の基本法で十分との見方もあります。

浜四津 日本は憲法14条で「すべて国民は法の下で平等である」と謳っています。

 ユニバーサル社会基本法は、この憲法の理念をさらに深めて、単に“差別を禁止”するのではなく、発想を転換して、“すべての人が尊重される社会”へと大きく踏み出すものです。まさに、公明党の「一人の人を大切に」との政治理念を、社会に具現化するものと考えています。


――今後の見通しは。

浜四津 今後、検討しなければなりませんが、私個人としては与党で早期に法案をまとめ、野党の賛同も得て来年の通常国会に提出したいと思います。基本法が制定されれば、心の中の「バリアー(障壁)」をなくし、「すべての人が社会から期待される存在へ」と変える取り組みが始まります。その重要な法案を、しっかりしたものにまとめ上げ、成立させていきます。

(2008年8月23日付 公明新聞)