
自民、公明両党は13日に2008年度の与党税制改正大綱を決定しました。自民党との協議の中で公明党が主張してきたポイントや党の訴えが反映された内容などについて、公明党の井上義久税制調査会長(副代表)に聞きました。
――今回の税制改正論議で最も訴えてきたことは。
井上税調会長 地域格差の拡大や原油高騰などが懸念される中、国民一人一人の目線に重点を置き、暮らしを守ることを心掛けました。厳しい財政状況ですが、個々の協議では公明党として主張すべきは譲らず、さまざまな点で意見を反映させることができたと思います。
――事業承継税制をはじめ、中小企業支援策が大きく前進しました。
井上 公明党が一貫して訴えてきた、事業承継税制の抜本拡充が実現できたことは大きな成果です。事業主の高齢化で廃業率が開業率を上回る状況が続く中、中小企業が円滑に次世代に継承されるかどうかは地域の経済や雇用にも影響します。
5年以上の事業継続、雇用の8割維持などを条件に本来、納付すべき相続税の8割を軽減(現行1割軽減)します。ただ条件を欠けば本来納めるべき相続税を納めることになります。こうした仕組みにすることで、中小企業の存続を可能にし、地域の雇用維持、活性化に連動させるのがポイントです。必要な法律を整備し、早ければ来年10月以後の相続から適用されます。
このほか、IT(情報技術)を促す情報基盤強化税制、従業員教育を支援する教育訓練費控除制度なども、中小企業が利用しやすいように拡充。ベンチャー企業投資を支援するエンジェル税制も大幅拡充されます。
――道路特定財源では、暫定税率の10年延長が決まりました。
井上 道路整備については重点化、効率化することにし、当初の案より道路整備中期計画の事業量を圧縮しました。
特定財源の使途には、納税者である自動車ユーザーの理解を得るため、原油高騰による負担軽減対策、高速道路料金引き下げ、渋滞解消対策などを加えるよう訴え、反映されました。
自動車関係諸税などについては、わが党の強い主張を反映して5年後の道路整備見直しやそれ以前と想定される税体系の抜本的改革に併せて簡素化、暫定税率見直しを含めた検討を行うことも確認しました。
――都市と地方の税源格差問題では。
井上 地域格差を是正する上で、地方財源の偏りをどのように是正するかは喫緊の課題でした。具体的には、税体系の抜本的改革が行われるまでの暫定措置として法人事業税の一部を分離した新税を設け、都道府県に再配分します。さらに、この偏在是正策で生じた財源を地方交付税特別枠として市町村に重点配分します。
地域格差是正の観点から税源に踏み込んだ非常に大きな成果です。
――証券税制の軽減税率の扱いについては。
井上 昨年の大綱で1年間延長して廃止することを決めており、その方向で原則廃止されます。一方で、株式市場を支える個人投資家の実態を踏まえ、また、貯蓄から投資への流れを強化するために、株式などの譲渡損と配当とを相殺して納税額を圧縮できる損益通算制度を導入。優遇廃止による激変緩和対策として、個人投資家のために09年から2年間の軽減税率適用を決めました。
――ほかに税制改正のポイントは。
井上 住宅関連では、家庭における温暖化対策として期待される省エネ住宅改修促進税制が創設されます。昨年の耐震化促進税制と同じように、窓の改修工事、床・天井などの断熱工事のために住宅ローンを借りる場合、一定条件のもとでローン残高の2〜1%を最長5年間、税額控除するものです。新築住宅の固定資産税を半減する特例なども延長。不動産取得税、登録免許税も軽減されます。
環境対策では、低燃費車や低排ガス車を購入した際に、自動車取得税や自動車税を軽減する自動車グリーン税制も2年間延長します。
出身地などの自治体に寄付した場合に住民税の1割まで税額控除する「ふるさと納税」も創設。民間の自発的な公益活動を強力に促進する観点から寄付金税制も大幅に拡充されます。
障害者の「働く場」確保につながる税制も設けられます。授産施設などに発注額を増加させた企業に対し税制上の優遇を行います。
――消費税を含む税体系の抜本的改革については。
井上 社会保障の給付と負担のあり方をめぐる議論では、消費税の扱いが前面に出る場面がありました。しかし、公明党は消費税については所得税、法人税、資産課税などの税制全体のバランスの中で議論すべきと強く主張。こうした考えは大綱の中にきちんと盛り込ませました。
年金制度を安定させるため、基礎年金国庫負担割合の2分の1への引き上げへの道筋を明確にしたことは、今回の最も大きな成果です。所得税の定率減税廃止による増収分を09年度までに全額充当することになりました。自民党とは来年度も今年度を上回る繰り入れを行うことで合意しました。
――「ねじれ国会」の影響を懸念する声もありますが。
井上 予算と税制は一体のものです。税法成立は予算とともに最優先の課題として取り組んでいきます。その際、必要に応じて野党とも協議を模索していきたい。予算は自然成立も可能ですが、税法は衆参両院での可決が不可欠です。参院で多数を占める政党が、いたずらに国民生活を混乱に陥れるような対応を取るべきではないと申し上げておきたい。
(2007年12月18日付 公明新聞)