iWoman 公明党女性委員会

news clip

メニュー

補正予算案になぜ反対するのか――石井啓一・政調会長に聞く

公明党は、11日の中央幹事会で、政府の2010年度補正予算案に反対することを決定しました。そこで、公明党が反対する理由や論戦の経緯などについて、
石井啓一・政務調査会長(衆院議員)に聞きました。
(2010年11月14日付公明新聞)

『公明の提案、十分に反映せず』

――補正予算案に反対する理由は。

石井啓一・政務調査会長 政策面で3点の理由があります。

 一つは公明党が9月2日に発表した緊急経済対策が十分に反映されていない点です。

 政府・民主党は、「公明党が提案した24項目のうち23項目、95%以上を盛り込んだ」などと主張しています。これは公明党の提案を大雑把に括って、提案が一部でも入っていたり、ごくわずかな予算額の計上であっても「提案を盛り込んだ」と見なす民主党の勝手な考え方です。

 そこで、公明党が独自に提案の反映状況を精査したところ、提案68項目のうち予算額で半分以上を反映させたものは22項目(約32%)しかありませんでした。多少反映させたのも22項目(同)で、全く対応していないのは24項目(約35%)にも上りました。

『中小企業、地方、農家に冷たい』

――2点目の理由は。

石井 中小企業、地方、農家に冷たい内容になっている点です。

 中小企業に対しては、世界金融危機後の資金繰りを支えてきた緊急保証制度が今年度で打ち切りになってしまいます。政府は小口零細企業保証やセーフティネット保証で補うとしていますが、対象は限られ、これらでカバーできない中小企業が金融機関から貸し渋りを被る恐れがあります。金融円滑化法も今年度で打ち切りとなるため、公明党は延長を強く訴えてきましたが、政府・民主党に具体的な動きは全くありません。

――地方経済の疲弊も深刻です。

石井 公明党は自治体が自由に使える地域活性化臨時交付金を1兆2000億円規模で手当てするよう求めてきましたが、補正予算案では約3500億円にとどまっています。

 政府・民主党は、これに加え、地方交付税を約3000億円増額すると言っていますが、地方交付税は国税として一括徴収したものを地方に再配分するもので、もともとは地方のお金です。これに対し、交付金は純粋に地方の収入を増やすお金です。これを約3500億円にとどめてしまう補正予算案は、地域の厳しい経済情勢に対する認識が不足していると言わざるを得ません。

 地方にとっては、観光振興も重要で、公明党は500億円の計上を提案しましたが、補正予算案では、わずか13億円しかありませんでした。

――米価下落も深刻です。

石井 コメの全銘柄の9月時点の相対取引価格(出荷団体・業者が卸売業者に売る際の値段)は、昨年同時期に比べ1俵当たり約2100円も下落し、農家が悲鳴を上げています。

 政府・民主党は戸別所得補償制度を実施すれば、コメの需給が引き締まり、コメ余りがなくなると主張してきましたが、過剰作付は解消されていません。公明党は30万トン程度のコメの緊急買い入れを求めましたが、政府・民主党は対応していません。

『デフレ脱却、景気回復に力不足』

――政府の補正予算の執行で景気は回復軌道に乗りますか。

石井 デフレ(物価の持続的な下落)脱却、景気回復に不十分な内容です。これが補正予算案に反対する第3の理由です。

 デフレ脱却と財政健全化は日本の経済財政運営で重要な課題です。これを両立させるには、継続的な予算である当初(本)予算は財政事情に配慮し、堅実な予算編成にする必要があります。一方、一時的な支出の補正予算で思い切った景気対策を講じるべきです。

 この観点から見ると、補正予算案の財源として、09年度決算剰余金約1兆6000億円のうち半分の8000億円しか充てていないのは問題です。

 剰余金の全額を活用して補正予算を編成した事例が過去にあるにもかかわらず、せっかくの財源をすべて補正予算案に充てないのは、デフレ脱却への真剣さを疑わざるを得ません。

 さらに、雇用の安全網に一定の予算を計上していますが、民間が自主的に雇用を増やせる本格的な雇用対策にはほど遠い中身です。

――補正予算案の編成について菅政権の対応は鈍いものでした。

石井 デフレや円高が深刻化する中、公明党は8月3日の衆院予算委員会で景気対策の必要性を指摘し、9月2日には緊急経済対策を発表し、補正予算案の編成を求めました。

 にもかかわらず、政府が経済対策を決め、その財源となる補正予算案を国会提出したのは10月29日のことです。公明党が補正予算案の編成を訴えてから2カ月近くも経過しており、あまりにも対応が遅すぎます。経済への危機感が乏しいとしか言いようがありません。

 その上、「政治とカネ」の問題には不熱心で、外交をめぐる問題では拙劣な対応が目立ちます。菅首相の政権運営そのものが問われていることも厳しく指摘しなければなりません。

『学校耐震化、ワクチン接種など、評価できる政策も』

――公明党が提案し、補正予算案に反映された施策は、どういったものですか。

石井 まず挙げられるのが学校耐震化の推進です。公立小中学校約2800棟分の予算が計上され、耐震化率は83%超にまで上昇します。

 家電・住宅エコポイント制度の延長・拡充も公明党が強く訴えてきた施策です。本来なら、今年12月末で打ち切りですが、10年度予算の予備費を活用して、家電エコポイントは来年3月末まで、住宅エコポイントは来年12月末まで延長することになります。補正予算案でも住宅エコポイントは拡充され、リフォーム時に設置される太陽熱利用システムなどが対象に加わります。

 公明党が強力に進めてきた妊婦健診の公費助成(14回分)は、11年度の実施は未定でしたが、1年間延長することになりました。

 子宮頸がん、小児用肺炎球菌、ヒブ(インフルエンザ菌b型)のワクチン接種に対する公費助成に関しても10、11年度の実施が盛り込まれています。これらは公明党の粘り強い取り組みが実を結んだ成果です。

『キーワード解説』

【緊急保証制度、金融円滑化法】
 長引くデフレに追い打ちをかけるような円高の打撃を受けながらも必死に踏ん張る中小企業を支援するため、公明党は、資金繰り不安の解消に向け、来年3月末で期限切れとなる「緊急保証制度」の延長と保証枠の拡大を求めました。

 緊急保証は、信用保証協会が一般保証と別枠で、融資額の100%を保証する制度です。世界金融不安が高まる中、公明党の推進で2008年10月末にスタートして以降、保証承諾金額の累計は23兆円を突破。多くの中小企業の倒産を防ぎ、雇用を守ってきました。しかし、危機感の薄い民主党政権は、来年3月末で打ち切る方針です。

 一方、公明党は、金融機関に中小企業向け融資などの返済猶予を促す「中小企業金融円滑化法」の延長も要請。来年3月末で期限切れの同法について、政府は衆院予算委員会の質疑で「延長を視野に入れて検討する」(金融担当相)と答弁したにもかかわらず、いまだに対応していません。

【地域活性化交付金】
 疲弊した地方経済を再生させるため、公明党が提言した緊急経済対策は、「地方の活性化」に重点を置いています。

 その柱に掲げたのが、地方自治体にとって使い勝手の良い「地域活性化臨時交付金」(仮称、1兆2000億円規模)の創設です。

 同臨時交付金は、地方自治体の主体的な判断で、災害・防災対策や雇用創出など幅広い事業に充当することを想定。需要を生み出すことを目的に実施する国の補助事業などで、地方自治体側の財政負担にも対応できる交付金として提案しました。

 しかし、補正予算案の「地域活性化交付金」は、わずか3500億円にとどまっています。

 交付金の額が大きいほど「景気対策に機動的で有効に対応できる」(山口那津男代表)のですが、補正予算案の規模では地域活性化には力不足です。

【コメの緊急買い入れ】
 本年産の米価が急落し、農家の間には収入減への強い不安感が広がっています【グラフ参照】。米価下落の主な原因は、09年産米の大量の持ち越し在庫や10年産米の過剰作付で需給バランスが崩れたこと。民主党政権が今年から導入したコメの戸別所得補償制度による補てんが、そのまま価格の下げ圧力になっているとの指摘もあります。

 公明党は同制度開始前から、出口対策(需給調整対策)の必要性を指摘してきましたが、政府は「戸別所得補償制度の導入で需給が締まる(=過剰供給にはならない)」と強弁。「思考停止状態」(石田祝稔・党農林水産部会長)に陥ったかのように何も手を打ちませんでした。

 収穫の秋を迎え、米価下落に歯止めがかからなくなりました。公明党は「国の責任で解決すべきだ」と訴え、緊急経済対策の中で30万トン程度のコメ緊急買い入れを提案しました。ここでも政府は消極姿勢に終始。TPP(環太平洋連携協定)と相まって農家の先行き不安は募るばかりです。

ページのトップへ