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「児童手当」復活、拡充へ。来年4月から恒久法で――民自公3党合意のポイント。石井啓一政調会長に聞く

民主、自民、公明3党は4日、子どもに対する手当の見直しで正式合意しました。合意のポイントと公明党の対応などについて、石井啓一政務調査会長(衆院議員)に話を聞きました。
(2011年8月7日付公明新聞)

『所得制限導入し、財源の一部を震災復興に充当』
『「子ども手当」は廃止 年度内は特措法で支給』

――3党合意のポイントは。

石井政調会長 現行の「子ども手当」を2012年度から廃止し、自公政権時代の「児童手当」をベースにして拡充する方向になりました。具体的な支給額ですが、従来の児童手当と比較すると、3歳未満が月額1万5000円(児童手当では1万円)、3歳から12歳(小学校卒業まで)は第1、2子が1万円(同5000円)、第3子以降が1万5000円(同1万円)。中学生は児童手当の支給対象ではありませんでしたが、一律1万円が支給されます。これは、公明党が09年衆院選マニフェストで掲げた児童手当の支給額倍増を、実質的に満たす内容となっています。

 所得制限は、支給対象年齢の子どものいる家庭の9割をカバーしていた従来の児童手当の考え方を踏襲し、夫婦と子ども2人の家庭のケースで、額面年収960万円程度ということで決着しました。

 なお、民主党政権は昨年度から16歳未満の年少扶養控除を廃止しました。所得制限に該当する世帯は、控除廃止の上に手当もなくなり負担が大きくなるため、今回の合意では、税・財政上の措置を検討し来年度から対処することとしています。

――新しい制度の実施はいつから。

石井 支給額の変更は今年10月分からですが、支給時期が2、6、10月の年3回なので、実際は、10月~来年1月分が支給される来年2月から適用されます。また、所得制限については来年6月分から導入され、6~9月分が支給される来年10月からの適用となります。

――現在の子ども手当「つなぎ」法の期限が切れる10月以降はどう対応しますか。

石井 現在施行されている「つなぎ」法は、昨年度の子ども手当法をそのまま半年間延長したものです。3党協議で民主党は当初、手当の支給額だけ変えて、さらに半年延長する考えでした。しかし、私たちは単純な延長は認めず、来年度から子ども手当法を廃止し、児童手当法を基本とした制度に移行するための特別措置として新法をつくるよう主張。10月分から来年3月分まではそのための新しい法律をつくって運用することになりました。

 来年度以降は恒久的な制度として「児童手当法に所要の改正を行うことを基本とする」ことを確認し、今年10月分からの特別措置法の付則にも、その旨を明記。法的な担保が盛り込まれています。

――所得制限の対象世帯では、経済的負担が増加し、不満の声もあります。

石井 今は東日本大震災という未曽有の災害に見舞われ、復興財源も確保しないといけません。政府の子ども手当の財源は今年度2・9兆円でしたが、今回の見直しで2・2兆~2・3兆円の規模に改め、年間6000億から7000億円もの財源を生み出し、復興に充当できる形になっています。支給対象から外れる1割の所得の高い世帯には、震災復興のためにご協力いただきたいという考えに立っています。

 ただし、年少扶養控除が廃止された上に、子どもへの手当にも所得制限が設けられるので、今回の3党合意にある通り、所得制限対象世帯にも何らかの配慮を検討することとしています。

――新しい制度の名称は。

石井 法的には、3党とも「児童手当法の改正」ということで合意しています。内容的にも児童手当の実質的な拡充であり、山口那津男代表は“進化”と述べています。ただ、民主党内には「子ども手当」という名称にこだわりのある人もおり、名称については恒久法をつくる際の課題として残っています。

――3党協議で、特に公明党が強く主張したことは。

石井 まずは、安定した財源が確保された中で制度設計をやらなければならないということ。民主党のマニフェストは、とかく財源があやふやなものが多いのです。

 従来の児童手当の所要額は年間1兆円で、財源は「国、地方、事業主」の負担で確保されていました。今回、年少扶養控除の廃止によって、国、地方で計1・1兆円の財源が生み出されます。公明党は、従来の児童手当の1兆円にその1・1兆円を加えた2・1兆円程度を新たな手当の財源規模として考えました。

 なおかつ、震災という非常時の中で、一定以上の所得の方には復興財源の創出に協力いただくよう主張し、結果として合意内容の通りに収まったということです。

――今回の協議を通じて、民主党マニフェストの問題点が改めて浮き彫りになりました。

石井 もともと民主党は、1人当たり一律月2万6000円の子ども手当を支給するとうたっていました。しかし、半額の1万3000円ですら、財源確保に汲々としている状況を見れば、満額支給できる見通しなど全くなかったことは明らかです。

 さらに、民主党のマニフェストでは、費用を「全額、国費で負担する」としていましたが、実際には地方負担が残ったまま。従来の児童手当の財源の形はそのまま残して、その上積み分だけを全額国庫負担にするという二重構造になっている。これも民主党政権のゴマカシです。

 政権交代の前、国民に、いとも簡単に実現できるかのように言っていた民主党のいいかげんさが、はっきり見えたと思います。

――今回の合意により、赤字国債を発行するための特例公債法案に賛成するのですか。

石井 4月29日に民主、自民、公明3党の政調会長が交わした確認文書には、特例公債法案成立の前提となる条件が示されており、子ども手当の見直しも大きな要素の一つです。しかし、高速道路の料金無料化など、他の歳出見直しも必要ですし、今年度第1次補正予算の財源に流用した、基礎年金国庫負担引き上げのための財源2・5兆円の補填のあり方も確認しなければなりません。特例公債法案の成立に向けては、それらの条件を一つずつクリアしていくことが必要です。

『3党合意の内容』

〇実施時期
  手当の見直しは2011年度10月(12年2月支給分)から。所得制限の導入は12年度(6月分)から

〇支給額
 ■一般世帯(非所得制限世帯)
 ・3歳未満(一律)1万5000円
 ・3~12歳
  (第1子、第2子)1万円
  (第3子以降)1万5000円
 ・中学生(一律)1万円

 ■所得制限世帯
  必要な税制上、財政上の措置を検討し、12年度から所要の措置を講じる

〇所得制限
  年収960万円程度(夫婦と児童2人世帯)

〇法制上の措置
  12年度以降は、児童手当法に所要の改正を行うことを基本とする

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