目に見える本格復興早く――財確法案衆院通過で石井政調会長に聞く
東日本大震災から8カ月半がたちますが、いまだ33万人近くの被災者が避難生活を続けています。そんな中、本格復興のための今年度第3次補正予算(21日に成立)の関連法案として、復興債の償還財源を賄うための臨時増税などを盛り込んだ復興財源確保(財確)法案の修正案が24日、衆院本会議で公明党などの賛成多数で可決しました。法案賛成の理由や公明党の主張などについて、石井啓一・党政務調査会長に聞きました。
(2011年11月27日付公明新聞)
確実、迅速な復興財源
遅過ぎる政府の対応
新たな建設の槌音聞こえず
――復興財源確保法案に賛成した理由は。
石井政調会長 被災された方々は現在、応急仮設住宅や民間借り上げ住宅に入居していますが、その大半は勤め先の会社が再建されないために収入のめどが立たず、将来的な生活の見通しが不安定です。
また、津波被害によるがれき撤去はおおむね進んでいますが、その後、新しい家1軒、新しい橋1本、新しい堤防1カ所さえ建設されず、ただ更地が広がっているだけの地域も少なくありません。つまり、目に見える形で復旧・復興の槌音がほとんど聞こえてこないのが現実です。これはひとえに、政府の対応があまりにも遅過ぎ、本格復興のための財政的な手当てが遅れている証拠です。
公明党は、被災地の自治体や住民から、本格的な復旧・復興のための今年度第3次補正予算の早期成立とともに、執行するために必要な財源の早期確保について再三、要請を受けてきました。こうした声を受け、財源確保法案をめぐる民主、自民両党との修正協議に積極的に参加し、最終的には修正案に賛成しました。
――復興財源の柱である復興債について。
石井 復興債は、復興基本法によって、復興の財源調達の手段として位置付けられたもので、復興庁の設置や復興特区の創設と併せて公明党が復興を進めるために提案したものです。
「償還期間が最長60年と長期にわたる赤字国債や建設国債を活用すれば増税を回避できるのではないか」との指摘もありますが、悪化している日本の財政状況や欧州の財政不安の高まりを踏まえると、既存の国債を追加で大量発行することで、市場がどのように反応するかは不透明です。そこで、復興財源を必要な時、必要なだけ、確実かつ迅速に確保するため、独自の復興財源が必要と判断しました。
――償還期間について。
石井 公明党の考え方は、税による国民負担を最小限にすることが大前提です。3党協議では、復興債の償還期間について、当初の政府案だった「10年」が最終的に25年間に延ばされました。これで単年度の負担額は軽減されました。
――「過去の大規模災害時、増税しなかった」との意見もあるのでは。
石井 例えば、東日本大震災の被災規模を見ると、阪神・淡路大震災と比べて3倍以上であり、一時的に必要な財源の金額が全く違うことに留意しなければなりません。
『公明、税外収入確保迫る。決算剰余金、民間資金活用などで、国民の負担を最小限に』
――復興財源の確保での公明党の主張は。
石井 一つ目は、長期間、歳出削減に取り組む点です。公明党は政府が当初考えていた5年間だけでなく、それ以降も取り組むよう訴え、政府に実施を約束させました。
二つ目は、決算剰余金の活用です。剰余金とは予想を上回る税収増などで、決算時に余ったお金のことです。公明党は、この剰余金を復興債の償還財源に優先して充てるよう提案しています。
三つ目は、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)を進めることです。これは、民間事業者が公共事業の設計から資金調達、建設、運営までを長期契約として一括受注する手法です。これにより、行政は建設時期に一度に資金を支出しなくて済み、単年度の財政支出を抑えることができます。
このうち、決算剰余金の活用は修正案の付則に盛り込まれました。他の二つは、復興基本法に同じ主旨が盛り込まれていることから、復興財源についても適用することを確認しました。
――政府保有資産の売却も提案しています。
石井 はい。政府は保有する日本たばこ産業(JT)株や日本郵政株、エネルギー対策特別会計が保有する資源開発企業株の売却などを検討しています。有力な税外収入の財源になり得るものとして、精査する必要があります。
――復興増税について。
石井 この国難を乗り切るため、国民の皆さまへの負担として、国税は法人税と所得税、地方税は住民税から税負担をお願いせざるを得ない部分が出てきます。
政府は、当初5年間で19兆円、10年間の合計で23兆円という復興財源を想定していますが、これは阪神・淡路大震災から類推したものが多く、今後、膨らむ可能性があります。公明党は、新たに増える復興費用については安易に増税に頼らず、歳出削減とともに政府資産の売却など税外収入で担保するよう3党協議や国会論戦で迫り、政府にその実現を約束させました。