社会保障と税の一体改革と公明党――石井啓一政務調査会長に聞く
今月召集される通常国会では「社会保障と税の一体改革」が焦点になるが、消費税増税の議論が先行し、肝心の社会保障の全体像は今なお鮮明さを欠いている。一体改革と公明党の対応について、石井啓一政務調査会長に聞いた。
(2012年1月1日付公明新聞)
『増税議論ばかり先行、年金先送りは無責任』
――社会保障と税の一体改革の議論の問題点は。
石井啓一政務調査会長 まず政府・民主党は、一体改革の目的である年金、医療、介護をどうするかの全体像を国民に明示する責任がある。しかし、それが不十分なまま、手段である消費税を上げる議論ばかりが先行している。
社会保障の将来像が国民に鮮明に伝わっていないことが最大の問題点だ。
――民主党は年金抜本改革を公約に掲げましたが。
石井 野党時代の民主党は現行の年金制度を批判し、「年金一元化」とともに、全額消費税で最低保障年金を実現するとしていたが、今なお、その姿が示されていない。
今回の一体改革では当然、抜本改革案が示されるものと思っていたが、2013年に先送りされた。本気でやるなら、今回の一体改革の中で提示すべきだ。
――一方、厚生年金の支給開始年齢引き上げが政府・与党で議論されました。
石井 支給開始年齢の68歳引き上げの議論は、今の年金制度では将来が不安なので検討を開始したのだ、という誤ったメッセージを国民に送った。
自公政権時代の04年の改革で、年金制度は5年ごとに財政検証されることになったが、09年の財政検証では、経済対策、少子化対策にしっかり取り組めば、現行の年金制度そのものは揺るぎなく安定していることが確認されている。
こうした点を説明せず、唐突に68歳引き上げを議論すること自体、国民の不安をあおるだけだ。
――年金制度改革に対する公明党の対応は。
石井 「年金100年安心プラン」を建物に例えると、04年の改革で100年住宅の基礎と柱はがっちり構築できたといえる。だから、現行の年金制度の骨格を変える必要は全くない。
ただ、100年住宅といっても、水回りや間取りを変えるなどリフォーム(改修)は必要だ。100年間、全くそのままではなく、部分的には改善が必要だ。
具体的には、無年金や低年金が深刻な問題である。このため公明党は、低所得者の基礎年金を25%上乗せする加算制度の創設や、年金の受給資格期間「25年」を「10年」に短縮することなどの対策を提案している。
――税制の抜本改革についての公明党の考えは。
石井 公明党は年金、医療、介護、子育て支援などの社会保障を充実させるためには、消費税を含む税制の抜本改革で安定財源を確保することは必要だと考えている。
ただ、前提条件として(1)社会保障改革の全体像を示す(2)景気を回復させる(3)行革、ムダゼロを徹底する(4)消費税引き上げ分は社会保障と少子化対策に使途を限定する(5)消費税だけでなく所得税、相続税など税制全体の中で財源を生み出す――ことを挙げている。こうした努力なしに国民の理解は得られないはずだ。
――一体改革に対する与野党協議で公明党は、どう対応しますか。
石井 社会保障の議論をした後、それを賄う財源について、消費税を含む税制改革でどう確保するのか議論するのが筋だ。まずは民主党が13年に示すという年金の抜本改革案の提示の前倒しを求めたい。
一体改革の中で年金抜本改革が抜け落ちているのでは、どれだけ税金が必要なのかも分からない。 医療については、高額療養費制度の改善が不十分である。介護は、介護従事者の処遇改善が確実に行われるか不明確である。通常国会の論戦では、こうした問題について政府・与党を厳しく追及していく決意だ。