虐待から子どもを守る。成立した改正児童虐待防止法――伊藤渉党対策PT座長(衆院議員)に聞く


「相談所」が強制立入調査――育児放棄にも対応 親の“つきまとい”禁止
公明の主張で安全確認を迅速化

 虐待の恐れがある家庭に対し、児童相談所による強制立ち入り調査を認めた改正児童虐待防止法がこの通常国会で成立しました。そこで、改正のポイントなどについて、公明党児童虐待防止対策プロジェクトチームの伊藤渉座長(衆院議員)に聞きました。


――今回の改正のポイントは。

伊藤渉座長 まず重要な点は、児童相談所が民生委員などから虐待の疑いを伝えられた際、子どもの安全確認を必ず行うよう、義務規定にしたことです。

 連絡を受けた児童相談所は、その家庭を訪問し、子どもの安全確認を行いますが、親の妨害や非協力的な対応などでスムーズにできないケースもあります。

 現行制度では警察の協力を得て、警察官職務執行法による強制的な立ち入り調査を行えますが、家の外まで子どもの悲鳴が聞こえるなど虐待による被害が濃厚な状況にならないと、この手段に踏み切れません。

 また、虐待としつけを見分ける判断が非常に難しいのが実情です。ネグレクト(育児放棄)のように、食事を与えないなど子どもの生命が危険にさらされている問題への対応は特に困難です。

 このため、改正法では、従来の調査によっては子どもの安全確認ができず、さらに都道府県知事が保護者に出頭を求めて拒否した場合に限り、児童相談所が裁判所の令状に基づいて強制立ち入り調査を行うという仕組みを新たに設けました。

 一方、子どもを施設で保護した場合、施設近辺で親が徘徊するなど、子どもに精神的圧迫を加える事例も少なくありません。これも改正法では、施設付近の徘徊や子どもへのつきまといを禁止できるようにしています。子どもの安全確保を強化するために、大事な措置です。


――公明党の主張が反映された点は。

伊藤 さまざまありますが、特に強調したいのは、安全確認の迅速化です。今回の改正では、従来の制度に加え、これまで安全確認が困難だったネグレクトなどの問題への対応が可能となり、児童相談所にとって子どもの安全確認を行う選択肢が広がりました。ただし、新たな仕組みでは、裁判所への手続き等により、結果として安全確認までの時間がかかってしまう場合もあると考えられます。

 このため、公明党はどこまでも児童の安全確保を最優先に考え、児童相談所に対し、まずは現在の仕組みによる安全確認を迅速に実施すべきことを主張、条文に盛り込ませました。


――今後の課題は。

伊藤 今回の改正で、子どもの安全確認の迅速化に向けた環境が整備されました。今後、重要なことは、新たな制度を運用していく児童相談所、市町村の体制をさらに充実させていくことです。そのために必要な予算措置をはじめ、虐待防止から被虐待児童の自立まで、公明党はきめ細かな支援を引き続き推進していきます。

(2007年7月3日付 公明新聞)