
福田内閣発足に当たり自民、公明両党は25日、今後取り組む重点政策課題を盛り込んだ「連立政権合意」を交わし、両党の連立政権の継続を確認しました。そこで、今回の連立政権合意の意義やポイントについて、北側一雄幹事長に聞きました。
――今回の連立政権協議の意義は。
北側一雄幹事長 今回の政権協議を前に公明党は先週、異例ではありましたが、「連立政権協議に臨むに当たって」という基本姿勢を取りまとめて発表。24日の政権協議は時間をかけて行いました。
政権協議では、先般の参院選の結果を踏まえ、「どこに民意があるのか」「なぜ(与党は)選挙で厳しい結果となったのか」を総括し、協議をしなければならないと私たちも考えましたし、自民党の福田康夫新総裁もそういう意識だったと理解しています。
小泉内閣、安倍内閣の時代、改革をしっかり前に進めてきましたし、これからも改革は続行しなければなりません。人口減少社会、本格的な高齢社会の到来、さらに、経済がグローバル化する中で、わが国が今後、活力があって安心の社会をどうつくっていくのかを考えた時、これまでの社会のあり方、制度、仕組みを見直していく必要があり、今後とも改革を前に進めなければなりません。それは、今も何ら変わっていません。
しかし、改革を急ぐあまり、地域間の格差の問題、弱者に対するセーフティーネット(安全網)の問題への対応などが十分ではなかったと率直に反省しなければならない。負担増になる方々の痛みや、地域格差の現実を直視し、不安を解消していくための対策を具体的に提示し、国民生活に重きをおいた政策を実行していく必要があります。
『財源含め早急に結論出す』
――今回の合意についての評価は。
北側 政権合意には、公明党の基本姿勢が概ね取り込まれ、公明党の主張が数多く反映されたと評価しています。福田新総裁自身も公明党の基本的な考え方と問題意識を共有されていると思います。
――「負担増の緩和」の内容は。
北側 来年4月から実施が予定されている高齢者医療制度については、(1)70歳から74歳までの窓口負担を従来の1割から2割に引き上げる(2)75歳以上の新たな後期高齢者医療制度における被扶養者からの保険料徴収――の問題がありますが、それぞれの凍結について「早急に結論を得て措置する」と、凍結の方向での合意ができました。また、来年度に実施予定の児童扶養手当の一部削減についても「凍結」の方向での合意ができました。
――高齢者医療費の負担増凍結は「改革の先送り」との指摘もあるが。
北側 制度そのものをやめてしまうと言っているのではなく、負担増になる方々への激変緩和の対策、説明をしっかりと丁寧にやっていくということです。
もう一つは、高齢者医療制度について、もう少し議論をしようということです。高齢者医療制度では、65歳から75歳未満の方を前期高齢者、75歳以上の方を後期高齢者と位置付け、窓口負担は65歳から70歳未満は3割、70歳から75歳未満は1割(現役並み所得者は3割)、75歳以上の方も1割(同)という仕組みになっています。
現行では、前期高齢者の前半(60代後半)と後半(70代前半)で、片方が3割で片方が1割となっています。来年4月から実施する制度改正では、70代前半の方に2割負担をお願いすることになっていますが、前期高齢者の前半と後半の方で、現行制度でも来年度からの新制度でも仕組みが違っています。むしろ、前期高齢者全体の65歳から75歳未満の医療保険制度のあり様について、例えば、統一した医療保険制度にするなど、少し時間を掛けて議論をすべきではないかと思います。
その間、例えば1年なら1年(制度改正を)凍結して、前期高齢者、後期高齢者の医療のあり様について議論を深めた上で、制度全体をどうしていくのかという議論をした方がいいのではないかと考えています。
――「凍結」を具体化する時期・手法は。
北側 与党のプロジェクトチーム(PT)で、具体的な方向、やり方について、今まさしく議論をしているところであり、早急に結論を得たいと考えています。
――児童扶養手当の一部削減を凍結する理由について。
北側 もともと、母子家庭への就業支援が効果を発揮しているかどうかなどを踏まえて、(削減の)中身は決めるという前提がありました。当時の厚生労働相は公明党の坂口力副代表でしたが、国会でもそういう答弁をしています。現状では、就業支援が十分に実っていないのではないかということから、来年度からの手当の一部支給停止については、凍結の方向で議論を進めていきます。
――これらの負担増「凍結」の財源については。
北側 年末の予算編成過程の中で財源を捻出していく方針で、それについても与党PTで議論していきます。
『政治とカネ「1円以上に領収書」は画期的』
『透明化前進へ政党間協議を』
――「政治とカネ」の問題について合意した意義は。
北側 今回、「1円以上の全ての支出に領収書等添付を義務付け」で合意したのは画期的なことです。これまでは5万円以上の支出に領収書等の添付を義務付け、5万円以下はいらないとなっていました。「1円以上」にするには法改正が必要ですが、合意によって、少なくとも1円以上の全支出について、何かあれば公開するという前提ができました。
ただ公開の在り方については、自民党と公明党との間で、政権合意の段階では意見が一致しませんでした。1円以上の全ての支出に領収書添付を義務付け、さらに、それも公開すべしというのが公明党の意見の大勢で、自民党は、すべての公開については消極的です。自民党が主張している「独立した第三者機関」について、制度の骨格がどのようなものなのか。ぜひ自民党から基本的な骨格、イメージを早く提示してもらいたい。
政治資金の問題は、全政党、全政治家にかかわる政治資金のルールを決める話です。ここは、ぜひ政党間でしっかり協議して、成案を得られるように努力したい。それぞれの政党が自分の主張に固執して成案ができなかった場合、結局、今の議会構成では、どの案もすべて否定されて現状のままになってしまいます。それは最悪のことです。現状を変えて、政治資金の透明化に向けて前進するには、政党間協議に民主党はじめ野党にも参加していただき、合意形成しなければならないということをよく理解していただきたい。
――その他の特筆すべき合意事項は。
北側 地域活性化は、福田政権にとっても大きな政策課題だと思います。地域に行けば、例えば「インフラ(社会基盤)整備が不十分なために地域の活性化が進まない。地域の安心が確保できない」などの話があります。そのため、地域コミュニティーの再生や本当に必要なインフラの整備など、地域活性化策を大胆に講じることになりました。
また、地方自治体間の財政力も大きな違いがあります。この財政力の格差是正についても、年末の予算編成、税制改正の中で議論していきます。
救急医療については、ドクターヘリの配備促進や、救急患者の受け入れを確実に行うためのシステムづくりなどの整備を盛り込みました。奈良県で起きた“妊婦たらい回し事件”などが再び起こらないような体制を早急につくりたい。
行政改革では、歳出削減、税金の無駄遣いを一掃するため、事業仕分け作戦などを徹底して、内閣を挙げて取り組んでいくことで一致しました。
国際貢献ではテロ対策の問題もあります。今、海上自衛隊がインド洋において、テロ対策として海上阻止行動をしている艦船に対する給油活動をしていますが、国際社会の評価も高く、継続の要請も強い。先般も国連安保理で、これまでの活動への評価や継続への期待が表明されました。ぜひ継続しないといけませんが、11月1日で期限を迎えます。政権合意では「今国会において、海上自衛隊による対テロ抑止活動を引き続き可能とするための法整備を行う」としましたが、ぜひ、野党の協力、国民の皆さまの理解を得て、継続できるよう努力していきたい。
(2007年9月8日付 公明新聞)