
揮発油(ガソリン)税の暫定税率維持を含む税制改正法案が年度内に成立せず、道路特定財源の暫定税率が4月1日で期限切れとなりました。これが国民生活などに与える影響と、今後の対策などについて、公明党の北側一雄幹事長に聞きました。
――ガソリン税などの暫定税率が失効しましたが、なぜこうした事態になったのですか。
北側幹事長 4月1日から道路特定財源の暫定税率が期限切れとなり、ガソリンスタンドをはじめ国民生活に混乱を来し、地方財政にも大きな影響を与えています。こういう事態になったことは、与党としても政治の責任を痛感しています。
いま国会は、いわゆる「ねじれ国会」の状況です。衆院では与党が多数を占めていますが、参院では野党が多数で、参院の国会運営は第一党の民主党が主導権を持っています。
懸案の歳入法案(税制改正法案)は2月29日に衆院で可決され、その日に参院に送られました。民主党は同じ日に参院に「対案」を出したにもかかわらず、両案とも3月の丸1カ月間、全く審議をしませんでした。前代未聞、異常な参院の運営だったと言わざるを得ません。
そもそも1月30日に衆参両院議長あっせんで与野党幹事長が、予算案と歳入法案ともに、「年度内に一定の結論を得る」と合意しました。これについて、河野衆院議長から「衆参両院で総予算及び歳入法案の従来の審査の慣例に従う趣旨である」との発言があり、それを各党幹事長が確認しています。
長い国会の歴史の中で、予算案が成立しているにもかかわらず、歳入法案が成立していない例は一度たりともありません。また、予算案が年度末に成立していなくて暫定予算を組んだ例は何度もありますが、そのときも歳入法案は年度内に成立しています。なぜなら、歳入法案の期限が切れてしまうと国民生活などに大きな混乱を来すからです。それが、長い国会の慣例であり、良識だったのです。にもかかわらず民主党は、この1カ月間、審議入りさえさせなかった。これは国会、なかんずく参院の国民に対する責任放棄です。
要するに民主党は、道路財源の暫定税率を期限切れにさせて、国民生活や地方財政の混乱を犠牲にしても福田内閣を追い込んで政局に持ち込むことが狙いだったと言わざるを得ません。 『暫定失効で地方財政に打撃』
――暫定税率の失効によって、どのような影響がありますか。
北側 特に、ガソリンスタンドなどに大変な迷惑をかけ、消費者にも混乱を招いています。そういう意味で、国民生活の混乱が現に生じています。さらに、影響が大きいのは地方財政です。地方議会でも3月議会で2008年度の予算が成立していますが、この予算は、暫定税率が維持されて、それに見合う歳入があることを前提にしています。暫定税率が消えることによる収入減は、国税と地方税を合わせて2兆6000億円。地方財政だけでも、国からの交付金も含めて1兆6000億円。その他、国からの地方への補助金もあります。
それが入らなくなったことにより、多くの地方自治体では、予定していた道路事業の入札や契約を凍結するような事態も生じています。その結果、地方の地場の産業にも大きな影響を与えてしまうことになりかねず、地方経済にも悪い影響を与えます。
『子育てや医療への影響懸念』
私の地元の堺市を例に上げると、08年度の堺市の道路特定財源による歳入予算は169億円ですが、暫定税率が切れると、108億円もの収入がなくなってしまいます。その結果、新規の事業はもちろん、継続の事業も滞り、道路の維持管理など緊急性の高いものしかできなくなってしまいます。
また、単に道路整備ができないだけではなくて、生活にも大きな影響を与えることが、危惧されています。例えば、宮城県の知事は、「私学への補助金や病院事業への補助金などを削減することになり、結果的に子どもを持つ家族や病院に通院している人たちなどに影響が出ると思う」と発言されています。
ちなみに、堺市議会でも08年度予算が通っていますが、この予算案に民主党は賛成しています。堺市だけでなく、多くの地方議会で民主党は予算案に賛成しています。国政での民主党の対応の仕方と全く矛盾しています。
『つなぎ法案で道連れ増税回避』
――混乱を最小限に抑えるための対策について。
北側 3月31日に期限が切れる税法は道路関係だけでなく、たくさんありました。このため与党は、いわゆる「道連れ増税」を防ぐため、道路以外の部分について、07年度の措置を延長する「つなぎ法案」を提案。それを、両院議長の下で野党も受け入れ、道路以外の部分については混乱を避けることができました。
『首相提案軸に修正協議を』
『道路財源 09年度から「一般化」は画期的』
また、道路部分の暫定税率失効によって、特に全国4万7000店舗のガソリンスタンドには大変大きな影響を与えています。このガソリンスタンドの経営に悪い影響を与えないようにするため、31日に政府がガソリンスタンドの経営者に対する資金繰り対策として、金融面での支援策などを打ち出したところです。
最も大きい地方財政の問題については、「国の責任において適切な財源措置を講じる」と決めました。
大事なことは、混乱を最小限にする意味で、暫定税率が切れている状態を早く解消するため、参院での審議を促進し、できるだけ早く議決し、参院での意志を明確にすることです。私どもは、地方財政などのことを考えると、少なくとも08年度予算については暫定税率を維持しなければならないと考えています。
――新たな首相提案の評価と今後の与野党協議については。
北側 3月27日に首相が今後の道路整備や道路特定財源について、新たな提案をしました。中でも「道路特定財源は廃止し09年度から一般財源化する」というのは極めて画期的な提案で、公明党として高く評価したいと考えています。マスコミも「歴史的な決断」と評価し、民主党の有力な幹部も「すべて一般財源化することは、一種の革命に等しい」と発言。民主党の中にも支持が広がっている状況です。
私は首相提案を軸に、ぜひ与野党で今後の道路整備のあり方、道路財源のあり方について、しっかりと論議をしなければならないと考えています。民主党も、ぜひ協議に応じていただきたい。
『公明、さらなる景気対策を要請』
――さらなる原油高対策や景気対策は。
北側 いま、国も地方も、少なくとも道路に関しては入札ストップという状況があり、これが経済に与える影響は大変大きいものがあります。まずは、予算を円滑に執行できる状態にすることが最大の景気対策です。
政府は昨年末に、2000億円以上の原油高対策を取りまとめ、いま実施しているところですし、資金繰りが厳しい中小企業への金融支援も取り組みを進めています。3月31日の福田首相とわが党の太田代表の党首会談でも、太田代表から、さらなる原油高対策、景気対策を検討するよう首相に提案しています。
(2008年4月2日付 公明新聞)