
揮発油(ガソリン)税などの暫定税率維持を含む税制改正法は4月30日に衆院で与党などの3分の2以上の賛成多数で再可決され、成立しました。再可決に至った理由や道路特定財源の一般財源化などについて、公明党の北側一雄幹事長に聞きました。
――暫定税率の「回復」でガソリン価格が値上げされます。なぜ与党は税制改正法案を再可決したのですか。
北側一雄幹事長 国民の皆さまが、現状の原油高や物価高の中で、ガソリン代が安い方がよいと考えるのは当然の話です。しかし、3月31日に暫定税率の期限が切れ、国と地方の財政に一日当たり約60億円もの穴があいています。総務省によれば、36道府県と12政令指定都市で予算執行の一部が凍結されています。
この状態を放置すれば、単に道路予算の執行だけでなく、教育や福祉などの予算執行にも支障をきたしてしまいます。地域の経済や産業、雇用にも悪影響が出始めていることから、全国の知事や市町村長からは「一刻も早く暫定税率を回復すべきだ」との切実な声が上がりました。
ですから、地方経済や国民生活に責任を持つ与党としては、暫定税率を回復しないわけにはいかなかったのです。この点について、国民の皆さまにご理解をお願いしたいと思います。
――税制改正法については結局、参院での意思が示されませんでした。
北側 参院第一党の民主党の責任は極めて大きいと思います。衆院は、税制改正法案を2月29日に可決し参院に送付しました。しかし、委員会開催や採決時期など参院運営の主導権を握る民主党は、3月中の丸1カ月間、全く審議しませんでした。4月8日にようやく委員会で審議入りしたかと思えば、今度は3週間以上、参院としての結論を出しませんでした。
国民生活に密接にかかわる歳入法案である税制改正法案を年度内に処理しなかったのも異例ですが、「審議」と「議決」の拒否を2カ月も続けるようなことは、国会の長い歴史の中でも一度たりともありません。これは議会制民主主義を愚弄する前代未聞の暴挙と言わざるを得ません。民主党の対応は厳しく非難されるべきです。
憲法59条には、衆院から法案が送付されて60日がたっても参院が採決をしない場合、参院は否決したとみなすとの規定があります。この規定に基づいて、与党が衆院で同法案を再可決したことはやむを得ない判断だったといえます。
――4月28日の自民党と公明党の党首会談で合意した「道路特定財源の一般財源化」はどのように実現していきますか。
北側 党首会談では、税制改正法案の再議決とともに、道路特定財源を2009年度から一般財源化する法案について年内に成案を得て、早期に国会に提出して成立させることで一致しました。法案化の目標時期を示したことで、4月11日の「政府・与党決定」(道路特定財源は今年の税制抜本改革時に廃止し09年度から一般財源化する)をさらに具体化したといえます。
今後は、党首会談で合意した道路政策と税制抜本改革に関する「与党協議会」を早急に立ち上げ、一般財源化の09年度実現などに向けた検討に着手します。そして、国民の皆さまに実現への道筋を示してまいります。また、政府においても閣議で4月11日の「政府・与党決定」の内容を確認し決定する運びとなっています。
――道路関連支出のムダを徹底的に削減すべきとの国民の声にはどう応えますか。
北側 「政府・与党決定」では、公明党の強い主張を受けて、道路関連公益法人や道路整備特別会計関連支出のムダについて「徹底的に排除する」ことで合意し、道路関係法人以外の、行政と密接な関係にある公益法人についても「集中点検を実施し、支出のムダを徹底的に是正する」ことを明記しました。
その結果、冬柴鉄三国土交通相(公明党)は4月17日に国交省の改革方針を発表しましたが、この改革方針を踏まえ、公明党は同24日に、太田昭宏代表が福田康夫首相に会い、税のムダをさらになくしていくために「道路支出改革」の実現を強く申し入れました。公明党は、国民の皆さまに納得いただけるよう、道路支出のムダ削減に徹底して取り組んでまいります。
――参院では、道路特定財源の維持を盛り込んだ道路整備費財源特例法改正案の審議も遅れています。
北側 道路特定財源は、08年度をもって廃止し、09年度から一般財源化する。これが大前提です。ですから、08年度について言えば、すでに成立した08年度政府予算が道路特定財源の維持を想定して組まれているため、道路特例法案の成立が欠かせません。
同法案には、国から地方への財源交付や無利子貸し付けをはじめ、高速道路料金の引き下げなどのための措置も盛り込まれています。地方自治体が予算を予定通り執行できない事態を避けるために、参院で同法案をできるだけ早く議決する必要があります。
――道路特定財源のうち自動車重量税の見直しはどうなりますか。
北側 新たに設置される与党協議会で議論になると思いますが、4月の「政府・与党決定」は、暫定税率分も含めた税率については、環境問題などを踏まえて「今年の税制抜本改革時に検討する」としています。また、昨年末の与党税制改正大綱でも、自動車関係諸税について暫定税率も含めて税制の簡素化に向けて検討することで合意しています。
このうち「走行」にかかるガソリン税の暫定税率をなくすことは環境問題に逆行することになりかねませんが、多くの国民が自動車を保有する時代に、「保有」に着目して課税する自動車重量税は軽減措置が検討されてしかるべきです。
その意味で、自動車関係諸税の簡素化は、これから重要な論点になってきます。道路特定財源を一般財源化する中で、暫定税率をどうするかという議論も当然起こるわけで、こうした議論の中で、公明党の主張をしっかりとぶつけていきたいと思います。
(2008年5月1日付 公明新聞)