消費者が主役の行政に!――木庭党消費者問題対策本部長に聞く



 公明党は2月21日、偽装食品や、冷凍ギョーザ事件で問題となっている「食の安全」への対応や、悪徳商法、消費者行政の一元化などの消費者問題を幅広く協議し、法整備や提言の取りまとめをめざす消費者問題対策本部(木庭健太郎本部長=参院議員)を設置した。同本部は発足後、横浜検疫所の視察など積極的に行動している。木庭本部長に、対策本部設置の意義と役割について聞いた。


『対策本部の役割――消費者の保護へ法整備、提言など総合的な取り組み進める』

――消費者問題対策本部設置の必要性と役割について。

木庭健太郎本部長 近年、ミートホープ社などによる食品偽造問題、中国産冷凍ギョーザの農薬混入事件などにより、「食品は本当に安心・安全なのか」といった、消費者にとって切実な問題が提起されています。

 また、商取引に関しても円天など偽造通貨や悪質リフォーム事件など法の不備を突く事件が多発している上、ネットを舞台にした詐欺が横行するなど消費者を取り巻く環境が大きく変化しています。こうした中、消費生活に関する苦情や相談の件数は4年続けて100万件を超えるなど、今、消費者保護へ総合的な取り組みが必要な時期にきているといえます。

 特に、今の行政の体制が消費者本位、生活者本位の組織であるかどうか、大いに疑問です。金融悪徳商法なら財務省、農薬問題は農水省と、対応する窓口もバラバラで消費者に分かりづらい上、タテ割り行政の弊害、業界主体の対応といった批判も聞かれています。

 こうした現状を、生活者、消費者が本当に主役となる時代へ転換するため、消費者を取り巻く諸課題を幅広く協議し、調査活動を行いながら法整備や提言の取りまとめを図る組織として、今回、党消費者問題対策本部を設置しました。具体的には、「食の安全」「物価問題」「悪徳商法」「消費者行政の一元化」の四つの分野で提言をまとめていきたいと思っています。


『食の安全――安全、安心な「食」の提供へ水際チェックなど不備補う』

――緊急の課題である「食の安全」への取り組みは。

木庭 “食”は国民生活の基本です。公明党はこれまで、安全な食品行政の確立へ、原産地表示、原材料・添加物表示、製造年月日表示、果汁の%表示などを推進してきました。また、03年にはBSE(牛海綿状脳症)問題をきっかけに“食の憲法”と言われる食品安全基本法を制定するなど、食の安全へ主導的役割を果たしてきました。

 しかし、今回の冷凍ギョーザ事件などによって、これまでの体制では対応できない不備が明らかになってきた面があります。

 例えば、結果的に入院が必要な被害者を出してしまったわけですが、最初に異変が起こった時点で打つ手はなかったのか。なぜその情報を全国の食品関係者の間で共有できなかったのか。つまり、入院しなければ情報として上がらなかった情報の入り口の段階、情報を共有できなかった横の連携の問題、そのうえ関係する省庁が複数にまたがり、中央と地方の出先機関の連携の関係にも課題があるなど、いくつもの段階で問題が浮き彫りになりました。

 また、野菜など輸入される原材料については水際の段階でチェックする体制がありますが、輸入加工食品については無かった。

 さらに、食の安全から食料自給率の問題も注目されています。こうした問題を総合的に検討しながら、対策本部として、「日本人の食の在り方」ともいえる提言をまとめていきたいと思っています。


『物価問題――国民生活に影響のある事態には国の責任で緊急に対処』

――「物価問題」についてはどう対応していきますか。

木庭 これまで物価は比較的安定してきたと言えますが、ここにきて原油高による輸送、原材料、加工コスト(費用)の上昇からくる諸製品の値上げ、小麦、大豆の原材料の値上げを受けての商品の値上げなど、物価を押し上げる動きが懸念されます。

 “物価は市場原理で決まる”とはいえ、国民生活に深刻な影響がある場合は政治の責任できちっと対応しなければならないでしょう。例えば、今回の原油高に対して公明党は、寒冷期に当たっていたこともあり、国民生活に多大な影響があると判断し、緊急に“福祉灯油”という形で対応させていただきました。また、漁船、離島を結ぶ航空機、地方のバス路線維持に対しても、事業者だけでなく個人に対しても緊急対策として補助を行いました。

 原油高対策に関連しますが、車を所有することに重い負担があるということに対しては、公明党の主張で自動車損害賠償責任保険(自賠責)の保険料を、4月から自家用普通自動車で29%、9260円安くするなどの対応をとりました。

 これもユーザー、消費者の視点からムダを見直すことによって消費者に還元できた公明党の実績です。

 消費者問題対策本部としては、今後も物価の安定をめざしつつ、物価の動向に注視して、必要があれば緊急に対処していくつもりです。また、消費者のために何ができるのか、消費者に還元できる部分はないのかも探っていきます。


『悪徳商法――法の抜け道を無くし、信頼できる行政相談窓口を設置』

――「悪徳商法」への対策については。

木庭 牛のオーナーになれば収益を配当するとか、見せかけの工事で代金を請求する悪質リフォーム事件など、言葉巧みに消費者をだまし利益を得る詐欺的な商取引、悪徳商法の被害が多発しています。一番多い相談は、身に覚えのない請求やサラ金に関するものが全体の3割近くに上っています。

 なぜこうした問題が起こるのか。それは、本来ならこうした問題に対応する法律があるにもかかわらず、適正に執行されていない、対応を怠っているという面もありますが、対応する法律が、実際に起きている事件に追いついていない面もあります。

 公明党はこれまで、消費者を守るための法整備を進めてきました。しかし、事件を起こす者は、法の抜け穴を巧みに突いてくる。

 ですから、こうした消費者を食い物にする問題がいつ、どのような形で起こっているのか、アンテナを張って一つ一つの事例を集約し、法に不備があればすぐに改正していける体制をつくっていかなくてはなりません。

 それに、被害者が泣き寝入りをしてしまうケースが多い。「面倒だから」とか、「被害額が我慢できる程度だから」などの理由が挙げられていますが、消費に関する問題が起こったらすぐに相談できる、信頼できる行政窓口が整備されていないことも原因としてあります。対策本部ではこうした面も検討していきます。


『消費者行政の一元化――タテ割りの弊害排し、強い司令塔の機能持つ機関必要』

――急がれる「消費者行政の一元化」への取り組みについては。

木庭 食品の安全対策についても、第一報への的確な対応や、速やかな情報の伝達・共有によって被害を最小限に抑えることができます。また、悪徳商法についても、早い段階で起きている問題の動向をつかみ、法整備を行えば消費者を守ることができます。

 それには、消費者が「おかしい」と思った段階で、すぐに「ここに相談すればいい」とはっきり分かる“消費者110番”のような窓口が確立されることが必要になってきます。

 すでに行政窓口として消費生活センターがありますが、地域によって規模に差があり、実際に相談に来られる方は、苦情相談の経験のある人の4%にしかすぎません。

 さらに、これまで食品や商品に関する苦情は、関係する省庁が対応してきましたが、タテ割り行政の弊害で、いつまでも事態が進展しないといった苦情も多くありました。

 そもそも、その業界の振興を図っている役所に業界の苦情を持ち込むこと自体に無理があるとの意見もあります。

 各国の例を見ても、消費者がしっかりと行政に位置付けられていて、フランスなどでは消費者に対する総合的な窓口があり、消費者に関する政策を企画、立案する権限も持っています。

 日本も消費者を主役にした行政を進めるためには、集まった情報を的確に分析し、対策の実行については、他の行政機関に対しても対等に物が言える強い司令塔の機能を持った新たな行政機関が必要です。

 政府としても消費者行政の新機関の設置に向け検討を始めています。早い段階で公明党としての意見を集約し、政府に対して積極的に提言していきたいと思っています。

(2008年3月9日付 公明新聞)