「第2の安全網(セーフティーネット)」構築急げ――坂口力副代表(党社会保障制度調査会長)に聞く
再挑戦可能なトランポリン型に
公明、格差・貧困対策で提案
公明党の山口那津男代表、井上義久幹事長は、1月22日、27日の衆・参予算委員会の質疑で、現場の声を踏まえた貧困・格差対策として、年金、医療、雇用分野での“第2のセーフティーネット(安全網)”の構築を提唱、政府から前向きな答弁を引き出しました。そこで党社会保障制度調査会長の坂口力副代表に公明党の提案の背景とポイントを聞きました。
(2010年2月2日付公明新聞)
『「生活保護」手前で救済』
『年金加算、高額療養費制度の改善、訓練・生活支援給付の恒久化など具体策』
――貧困・格差問題が深刻化している
坂口 背景には、所得格差が大きかった高齢者が増加したことと、経済のグローバル化で企業間競争が激しくなる中、企業が賃金の低い非正規雇用を増やし、働いても豊かになれない「ワーキングプア」(働く貧困層)を生み出したことがあります。
――それに、どう対応するのか。
坂口 先の衆・参予算委員会で山口代表、井上幹事長が「第2のセーフティーネットが必要」と主張したように、公明党は安全網を“2階建て”にすべきとの考えです。1階部分には深刻な困窮者のために「生活保護」がありますが、その上にもう1段、「救いの手を差し伸べれば自立できる」という人向けに「トランポリン型」の安全網を張るべきと考えます【図参照】。

――具体的には。
坂口 まず「年金」では、「無年金・低年金」対策が重要です。
予算委員会の論戦でも井上幹事長が、▽保険料の事後納付期間の延長(現行2年を5年に)▽受給資格期間の短縮(現行25年を10年に)▽加算年金制度の創設(低所得者に、基礎年金を25%上乗せ)――の提言を掲げたパネルを示し、公的年金の改善を主張。受給資格期間の短縮に関して鳩山由紀夫首相が「重要な発想だ。25年はやはり長すぎる。検討したい」と表明し、多くのマスコミが報じました。
――低所得者への加算年金制度とは。
坂口 これは、基礎年金の国庫負担割合は現在5割(2分の1)ですが、6割まで引き上げることで、低所得者の基礎年金額を25%程度上乗せしようという公明党の提案です。これだと満額で月6・6万円の国民年金が8・3万円程度にアップ。首相も「厚労相と相談したい」と前向きな姿勢を示しました。
――「医療」では。
坂口 がんとか慢性疾患の方は、医療費の自己負担額が高額になり、生活が大変です。その場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される「高額療養費制度」がありますが、改善を求める声が多くあります。
今回の論戦で山口代表と井上幹事長は、▽70歳未満の「一般」区分の所得の低い層には自己負担限度額が高すぎる▽1回の医療費が2万1000円を超えないと世帯で合算できない▽「月をまたぐと合算できない/病院が別なら別計算/同じ病院でも外来と入院は別計算/同じ病院でも診療科が別なら別計算」などで恩恵を得られない人がいる――など、制度の不備を挙げ、それぞれ改善へ前向きな答弁を得ています。
――未曾有の不況で失業も増加、「雇用」の安全網も重要だ。
坂口 住む場所もない、所得もない、預金もない人への対応は“待ったなし”です。
非正規雇用で雇用保険の対象外となり失業給付が受けられない人や、給付期間中に次の仕事に就けない人が増えているため、公明党は前政権時代に、職業訓練とその間の生活費を保障する「訓練・生活支援給付」を創設しました。従来なら生活保護に頼らざるを得なかった人の救済に大いに役立っています。
論戦で公明党は、この制度の恒久化や未就職新卒者への適用拡大などを主張し、長妻昭厚労相から「2011年度から恒久的な措置として実行したい」「新卒者にも適用する」との答弁を引き出すなど、大きな成果を収めることができました。
――ほかに必要な安全網は。
坂口 企業の倒産を防ぐ手だても、従業員・家族を「生活保護」の手前で救う意味で重要です。国が企業に休業手当の大半を助成する雇用調整助成金をはじめ、総合的な支援策を整備する必要があります。安全網を強固にするため、何が必要か党内で作業チームをつくり議論を深めていきたいと思います。
『政府も前向き答弁』
【年金・事後納付期間の延長】 過去10年まで遡って保険料を払えるようにする(厚労相)
【年金受給資格期間の短縮】 重要な発想だ。25年はやはり長すぎる。検討したい(首相)
【加算年金制度】 低所得者に年金を上乗せする発想は大事。厚労相と相談したい(首相)
【高額療養費制度】 患者の負担軽減のため、どんな対応が可能か十分検討したい(首相)
【訓練・生活支援給付】 11年度から恒久的な措置として実行。新卒者にも適用する(厚労相)