【新制度のポイント】
・保険証が新しくなる
・保険料は安くなる人が多い
・治療、窓口負担は変わらない
・担当医を持つことが可能
75歳以上(65〜74歳の寝たきりの人なども含む)を対象にした新たな「後期高齢者医療制度」が4月から始まりました。新制度の利点とともに、低所得者への負担軽減策を実現した公明党の取り組みなどについて、坂口力副代表(元厚労相)に話を聞きました。
――新制度を導入した理由は。
坂口副代表 高齢者、特に75歳以上になると複数の病気にかかったり、治療が長期化する傾向があります。そこで高齢者の心身の特性や暮らしに配慮した医療サービスを提供するために、独立した制度が設けられました。
また、老人医療費は2006年に約10・8兆円でしたが、25年には約25兆円まで増えると推測されており、これまでの老人保健制度では、現役世代の負担が非常に重くなります。そこで財源を公費5割、現役世代4割、75歳以上1割負担として、負担率を公平・透明化しました。これまでの老健制度は各市区町村ごとに運営されていたので、特に小さな市町村は長い間、保険財政に苦しんできました。こうした格差を是正するために新制度の運営は、都道府県単位の広域連合が当たります。これで負担がかなり均等化されると思います。
これらの改善によって、若い人にも高齢者にも安心してもらえる持続可能な制度に改革されました。
――新制度のポイントは。
坂口 (1)保険証が新しくなり、(従来は2枚だが)1枚提示すればよくなる(2)保険料が安くなる人が多い(3)これまでと同様の治療が受けられる(4)担当医(かかりつけ医)を持つことが可能(5)窓口負担は変わらず――などを挙げることができます。
――保険料は従来に比べ安くなりますか。
坂口 安くなる人の方が多い。居住地や現役時の所得によって違うので一概には言えませんが、全国平均値で見ると、単身世帯で年額79万円の基礎年金だけの人は、これまでの国民健康保険(国保)の保険料は年間3万3100円(06年度)でしたが、新制度では1万2500円程度になります。夫婦世帯で基礎年金だけの場合、同様に4万円だったのが、2万5000円程度になる見込みです。
国保の保険料に比較して、単身世帯や年金収入が概ね年間500万円以下の夫婦世帯は、保険料は現状維持かそれ以下の金額になると厚生労働省は試算しています。
具体的な保険料は加入者全員が等しく払う均等割と、所得に応じて払う所得割を合計して決まります。均等割は所得に応じて7割、5割、2割と段階的に軽減されます。一方、所得割は年間153万円以下の年金受給者にはかかりません。所得の少ない人には非常に低く抑えてあるのが特徴です。
――患者一人一人に担当医が付くとはどういうことですか。
坂口 患者が希望すれば担当医が付き、高齢者を継続して診る「高齢者担当医制度」が創設されました。ただ、担当医を決めたくなければ、それも自由です。
例えば、患者の身体の状態が把握できていれば、効果的な治療ができ、薬も質量ともに適切なものが出せ、結果として医療費が抑制されます。高齢者にとって普段から見てもらえる医師がいることは非常に大切です。そして担当医を通し、いろいろな専門医や、手術が必要な時は大きい病院を紹介してもらう利点もあります。
退院して自宅に帰ってくると、患者は担当医と看護や介護に当たる地域の医療機関と連携して診てもらえるようになる。例えば軽い脳梗塞を起こし、救急病院で治療を受けた後、在宅や地域の施設でリハビリなどの治療を受けやすい体制をつくるということができます。
――担当医制度などで「診療制限」や「医療差別」が起こりませんか。
坂口 起こりません。診療回数を無理やり減らす制度では決してありません。ただ、患者が多くの病院を渡り歩くというのは決していいことではなく、的確で少ない診療回数で、その人の健康管理がきちんとできれば、患者の負担も減ります。
また、おなかの調子も悪いが腰痛も気になるし、足も痛いという場合は、当然、他の病院で診てもらって構いません。
――4月から新たに保険料を負担する200万人に対しては軽減措置が設けられました。
坂口 現在、75歳以上の人は約1300万人。その中で約1100万人は、これまで個人単位で保険料を納めてもらっていました。残り約200万人は子どもなどの被用者保険の扶養家族になっていました。
しかし、75歳以上全員を対象にした制度をつくったのですから、一部の人が保険料を払わないと不公平が生じます。負担を分かち合い、この保険制度を継続し、お互いに支えていきましょうということです。ただ、急な変化により負担が大きくなるので、公明党が強く推進し、4月から9月までの保険料は免除し、10月から09年3月までは9割軽減することになりました。
一方、同じく4月からスタートした「高額医療・高額合算制度」は、医療保険と介護保険の両方を利用する世帯の自己負担が、著しく高額にならないように合計の自己負担額に上限を設け、限度額を超えた分は申請すると払い戻される制度です。
例えば、現行制度では夫婦とも75歳以上で一般所得の場合、医療費は53万円、介護費は45万円で、年間の限度額は合計して最高約98万円にも上りますが、合算制度導入後は、限度額が56万円となり、現行より42万円も減額されます。
さらに、低所得者の場合、住民税非課税世帯で31万円、年金収入80万円以下等で19万円に抑えるなど細かく配慮をしています。別の保険間で合算するという考え方は今までになく、初めて採用された制度です。これも公明党が推進し、実現させました。
【後期高齢者医療制度――国保と比べて保険料の負担は軽減】
『国民年金受給者――2800円(国保)→1000円』
『厚生年金受給者――7700円(国保)→5800円』
厚生労働省によると、4月からスタートした75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度の保険料が、これまでの国民健康保険(国保)の保険料(2006年度)と比べて、単身世帯や年金収入が概ね年間500万円以下の夫婦世帯は、現状維持かそれ以下の金額に抑えられることが明らかになった。
具体的には、(1)月額6万6000円の基礎年金受給者は、国保の保険料の月額2800円から1800円軽減され、1000円程度になる(2)月額16万7000円の平均的な厚生年金受給者は、同様に7700円から5800円程度に減る――見込みだ。
負担額の比較は全国平均で算出したもので、実際の金額は居住地によって異なる。
一方、これまで子どもの被用者保険の扶養家族で保険料が不要だった人は、公平化という観点から新たに保険料を負担することになるが、急な変化により負担が大きくなるので、4月から9月までの半年間の保険料は免除されている。その後の10月から09年3月までは9割軽減され、全国平均で月額350円程度となる見通しだ。これは、公明党が強く推進し、負担軽減を実現したものだ。
(2008年4月11日付 公明新聞)