
麻生太郎首相が10日、2020年までの二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス削減の中期目標を「05年比15%減」(90年比8%減)にすると正式発表しました。その評価と意義について、公明党地球温暖化対策本部の田端正広本部長(衆院議員)に聞きました。
――中期目標が「05年比15%減」に決まりました。
田端正広本部長 政府は当初、「05年比14%減」(90年比7%減)で調整を進めていたのですが、最終段階でマイナス1%を上積みして05年比15%減に決まりました。これは、公明党が「野心的な高い中期目標を」と訴え、わが党の斉藤鉄夫環境相が最後まで粘り強く麻生首相に主張した結果が反映されたものだと実感しています。
――中期目標決定をめぐる動きは。
田端 首相が中期目標設定を決めるに当たり、経済への影響を懸念する一部の経済団体や労組が「05年比4%減」(90年比4%増)という緩い目標を要求する一方、斉藤環境相が「05年比21〜30%減」(90年比15〜25%減)という高い目標設定を求めてきました。私たちは斉藤環境相の見解を支持する立場から、今月4日、河村建夫官房長官に申し入れを実施しました。
――公明党が特に強調したことは。
田端 景気回復、そして経済成長の視点から、日本が世界に誇る省エネ・環境技術をさらに磨き、国際競争力の維持・向上へと結び付けるため、温室効果ガス削減の高い目標設定が必要だと強く訴えてきました。昨年の時点で、福田康夫首相(当時)は「05年比14%削減なら可能」と表明していました。しかし、その後、政府は20年までに太陽光発電の導入量を現在の20倍にすることや、エコカーを新車販売の2台に1台にすることなどを打ち出した上で、一連の経済対策で補助制度や、太陽光電力の固定価格買い取り制度の導入など、低炭素社会づくりの政策実行に踏み出しています。それらと整合性を持った高い目標を求めました。
――温室効果ガス削減の新しい枠組み構築に向け、目標の数字に注目が集まりました。
田端 今年12月に国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)がデンマークで開かれます。そこでの合意に向け、13年以降の排出削減の新しい枠組み“ポスト京都議定書”の国際交渉がスタートします。それを踏まえ、日本の中期目標が「すべての主要排出国が参加できるよう、日本が交渉のリーダーシップを発揮できる数字か否か」が焦点になりました。つまり、世界一の排出国・米国、先進国に高い削減率を求める中国やインドを新しい枠組みに引き入れるため、日本が自国の中期目標で「決意」を示す形になったわけです。
――今後の国際交渉への期待は。
田端 今回の中期目標は、省エネなどによる国内削減分、いわゆる真水のみの「05年比15%減」です。EU(欧州連合)の中期目標は「05年比13%減」、米国は「05年比14%減」ですので、それを上回る日本の“15%減”は見劣りしません。さらに、真水以外の森林吸収や外国との排出権取引は「今後の国際交渉を見て判断」としており、それらを加えると23%前後まで削減幅が上積みできる含みがあります。麻生首相は「15%減」を「本格的な国際交渉に向けた第一歩」としていますが、しっかりと合意できるよう頑張っていただきたい。
――50年までの長期目標をめざした道筋はつきましたか。
田端 昨年の北海道・洞爺湖サミットで合意した「50年までに世界全体で半減」に向け、日本は既に「50年までに60〜80%削減」という長期目標を立てています。公明党は、中期目標が20年までの単発で終わることなく、それ以降も長期目標実現までの道筋をつけるよう求めました。その結果、麻生首相は「20年の15%減達成が、30年の約25%減、50年の約70%減につながる」という見通しを示しました。
――今後の地球温暖化防止への決意は。
田端 地球温暖化が進めば、気候変動による洪水・高潮の頻発、農産物の大被害、伝染病拡大などで被害額が年間17兆円にも上るという研究結果もあります。温室効果ガス削減は、次世代を守るため、私たち現役世代にとり待ったなしの課題です。国民だけでなく、政府、産業界も具体的な行動を起こして目標を達成し、環境先進国として世界のリーダーシップを発揮していきたい。
そのために公明党は「基本法」制定を視野に入れ、低炭素社会づくりの具体的な行動を加速させていきます。
『中期目標のポイント』
◎2020年までに温室効果ガスを05年比15%削減
◎太陽光発電やエコカー、省エネ住宅の促進など経済発展と連動
◎「15%減」は省エネなど国内削減分の“真水”
◎森林吸収や外国との排出権取引は「国際交渉を見て判断」
◎50年までの長期目標(05年比60〜80%)実現へ道筋
(2009年6月12日付 公明新聞)